アーティストのTV露出と日本の音楽文化の活性 ~ONE TONGUE SUMMIT #3

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◆寿司屋のような音楽番組が観たい!

 様々なアーティストのTV露出で、今後果たして音楽の活況は取り戻せるでしょうか……? やっぱり音楽は音楽好きのなかだけで楽しむものでは勿体ないと思うんですよね。

ふく 力を入れていた『水曜音楽祭』は見事に討ち死にしましたね。『僕らの音楽』を復活させてくれればなと思います。’90年代のV系を盛り上げた『Break Out』みたいに、ブームの火付け役になるような番組が現れない限り大きい風穴を開けるのはなかなか難しいと思います。CD全盛期の’90年代と同じやり方をしてもなかなか消費者に届かないですよね。状況も価値観も当時と違いますし。やっぱりMステなのかなぁと思っちゃいますが、番組内で「今の小学生に昔の曲を聴かせてみた」みたいな妙な企画やるんだったら、出演者にもっと話させるか歌わせてくれと(笑)。

Ken Yokoyama『I Won’t Turn Off My Radio』(2015)

 ははは、確かに。でも最もパワーがある番組はやっぱりミュージックステーションだと思います。Ken Yokoyamaも出たいと言ったのがMステですから。出演も狭き門なんだろうなと思います。

ふく Ken YokoyamaがMステに出た時のことをWebのコラムに綴っていましたが、Mステ側もKen Yokoyamaをお茶の間に届けようと誠心誠意動いてくれたみたいで。これ読んだ時なんだか嬉しかったんですよ。Mステは過去にもTHE YELLOW MONKEYが『JAM』で出演した際にほぼノーカットで演奏を流したり、番組観ていても凝った演出が見られたりします。ただ曲を歌って演奏して終わりではなくて、1曲1曲を大切に、簡単に消費してほしくないなと思います。最新曲じゃなくて少し前のリリース曲で出たりする人もいますが、それでも構わないんですよ。曲の届け方さえ考えられていれば。そうすることによって、ドラマが生まれると思うんです。

 うんうん、そうですね。番組制作者側の意向が見えるものは視聴者も無自覚のうちに心が掴まれていると思います。それは音楽媒体も同じですね。わたしはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやBLANKEY JET CITY、Cornelius、DIR EN GREYをTVで知ってバンドにのめりこんでいったので、バンドのTV露出に期待をたくさんしています。ライヴハウスを拠点に活動しているバンドたちがTVという枠のなかでどんなふうに振る舞ってくれるのかを見るのも楽しみだし、ライヴハウスの一端をお茶の間に届けられる。加えてライヴハウスとはまったく違うフィールドでどうやって自分たちを見せていくのか戦う姿が見られるのも面白いです。ふくさんが期待するアーティストのTV露出や、TV番組の未来とは?

ふく 未来……。これまた昔話でしつこいんですが、昔のヒットチャートって今見ても知ってる曲ばかりで。5 年後、10年後に今の時代のチャート見ても印象に残っている曲ってそうないと思うんですよね。回転寿司みたいに次々と新しい曲や人を紹介しては消費していくんじゃなくて、まわらない寿司屋みたいに、どっしり構えて丁寧に視聴者に届けてほしいです。音楽番組観てワクワクしたいですよね。あ、あとは上質な音楽バラエティが少ない! 『パパパパパフィー』、『Matthew’s Best Hit TV』の復活希望です(笑)。

 アーティストの人柄が見られるのもTVの良さですしね。やっぱりSSTVみたいな音楽チャンネルだと音楽好きにしか届かないので、幅広い年齢層と音楽好き以外を取り込むためには地上波の音楽番組の力が必要だと思っています。

 

ABOUT AUTHOR
◆沖 さやこ(ライター)
2009年3月に音楽系専門学校卒。音楽ライターのアシスタントを経て、2010年5月からフリーランスライターとして活動を開始。横浜、大阪、伊豆に在住歴があり、現在は神奈川県屈指の城下町と江戸を往来する毎日です。ライターの傍らで実家の飲食店の手伝いもしてます。日本文化とダムと漫画と文学をこよなく愛す。→ワンタンマガジン内記事一覧

◆ふく(福島 大祐、編集)
福岡で情報誌の編集をしているエンタメ好きのアラサー男です。映画ページ担当。街の取材をしたり、いろんな人にインタビューしたり。音楽は「偏見をなくして触れる」がモットー。漫画も愛していて年間100冊以上買って読みます。多分。→ワンタンマガジン内記事一覧

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