90sの洋楽をルーツに持つZ世代SSW・Katie Fordが目指す「自分らしい音楽」

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◆英語で曲を作るのがいちばん自然で、いちばん自分の感情をクリアに出せる

――高校生で帰国したKatieさんは、シンガーソングライターとして本格始動します。

Katie 母の計らいで中2の時にひとりでライブに出たので、その流れでひとりで活動するようになりました。好きな音楽がUKロックやオルタナ、グランジなのでバンドに憧れはあったんですけど、なかなか仲間が見つからないし、組んだとしても全員のスケジュールを揃えるのも大変だし、ケンカもあるかもしれないし、練習もしなきゃいけなくなるし……。

――かなりの練習嫌い(笑)。そこからほどなくしてオリジナル曲を作るようになるわけですが、Katieさんの楽曲は「相手に伝えられない気持ち」が描かれたものが多い気がしました。

Katie 直接相手に言えないことも含め、自分の心境を曲にしています。でも自分の感情だけで走るのではなく、誰かに共感してもらえたらいいなと思うので、具体的な表現はしないようにしていますね。どんな受け取り方でも構わないし、いろんな捉え方で楽しんでほしくて。そういう曲になるようには意識して曲作りをしています。全編英語詞なので必ず和訳を載せるようにしているんですけど、和訳はダサくなっちゃいますね……(笑)。


Katie Ford「Love in my veins」(2021.5.10 CACかわら“番” 未公開シーン)

――いやいや、そんなことないですよ。

Katie みなさんそう言ってくださるんですけど、自分で読むと「イタい!」と思っちゃう(笑)。

――もともと英語詞で作ってらっしゃるから、それを日本語にすると少なからず違和感があるのかもしれないですね。

Katie よくいろんな人から「日本語で曲を作りなよ」「日本語で聴きたい」と言われるんですけど、わたしにとっては英語で曲を作るのがいちばん自然で、いちばん自分の感情をクリアに出せるんです。もともと日本語で文章を書くのが苦手だったし、曲を書くうえでは英語のほうがニュアンスも雰囲気も着地させやすくて。……だからわたしは日本語の曲を作る気がないんですよ。

――でも英語がわからない人にも歌詞が届くように和訳も載せるんですよね。素敵な歩み寄り。

Katie ありがとうございます(笑)。曲を作るうえで英語詞は譲れないんです。


eo Music Try 20/21 mineo Award カバー曲 歌唱・演奏部門 投票数第1位「Katie」ライブ

――2020年3月に高校を卒業後、1stアルバム『sunrise』の制作、ヒューマンビートボクサー・momimaruさんの楽曲にゲスト参加、「eo Music Try 20/21」のカバー曲部門で1位、「THE FIRST TAKE STAGE」のセミファイナリストなど、コロナ禍でありながら精力的に活動をなさっている印象があります。

Katie 2020年は大学に入ったものの全部オンライン授業だったので、家にいる時間がすごく長くて。だから曲を作ったり、オーディションに応募したり、出られるライブには出たりしましたね。これまでに1番を取ったことがなかったので、オーディションに応募するのは勇気が要ったんですけど、Twitter経由でおすすめしてもらった「eo Music Try 20/21」に思い切って応募したらたくさん投票していただいて。ちょっとだけ自信がつきました。

――「THE FIRST TAKE STAGE」きっかけでリスナーさんも増えたようですね。

Katie 「THE FIRST TAKE STAGE」もInstagram経由で「Katieさんに合うと思います」とおすすめしてもらって。海外の人もたくさん観ているコンテンツだし、オーディションへの抵抗もなくなっていたので挑戦しました。セミファイナリストまで残ったことで、審査員の方が自分をアーティストとして認めてくださったんだなと自信になったし、YouTubeのコメントに「Nick Drakeみたい」と書いてくださっている人もいて……すごくうれしくて! 「Love in my veins」は「THE FIRST TAKE STAGE」で歌ったことで、自分のなかで大きな意味を持つ曲になりました。


セミファイナリスト14組 / THE FIRST TAKE STAGE

Katie その時に初めて批判的なコメントをもらって。でも傷ついたというよりは、これまでそういう意見をもらったことがなかったから、いろんな人に聴かれてることを実感しました。今よりもっと若い頃に受けてたら自信を持って臨めなかっただろうし、それを持てたのは「eo Music Try 20/21」の経験があったからですね。「Love in my veins」のTHE FIRST TAKEを通して、伝えたい歌は伝えられたし、本当の自分を見せられました。でも運もあったと思います。

――運、ですか。

Katie いままでの人生のなかでいちばん緊張したし、最初の挨拶なんて「誰?」と思うくらい借りてきた猫みたいだし(笑)。ほぼ素人みたいな自分が立派な音楽スタジオと機材で撮影と録音をしてもらったことは本当に贅沢な経験だったし、そういうなかでも自分の本来の力を発揮できたことは運だと思うんです。そういう場で後悔のないパフォーマンスができて、考え方も姿勢もいい方向に変わりました。受けて本当に良かったですね。

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「Teens Beat Champ」でグランプリを獲得したエントリー曲は初めてDTMで制作した楽曲。様々なオーディションに挑戦するなかで最新作をリリースする彼女の目指す世界とは

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