解散、復活、飛躍、活動休止……激動の2016年を振り返る~ONE TONGUE SUMMIT #6

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◆海外市場で結果を残したベビメタと宇多田ヒカル

BABYMETAL 『METAL RESISTANCE』(2016年)

 そしてBABYMETALが全米ビルボード39位にランクイン。坂本九さんの【上を向いて歩こう】以来の快挙だそうですが、彼女たちの勢いも止まりませんね。彼女たちはいったいどういうところが海外へウケてるんでしょう?

ふく BABYMETALのブレイクは、日本のアイドルブームの発展からある程度偶発的に生まれたものじゃないかと思ってるんです。

 というと?

ふく そもそも日本と海外では「アイドル」の捉え方が異なっていて、幼さや可愛さを全面に出しているのが日本のアイドル。一方、女性としてのカッコよさや成り上がりのセレブ要素を含めたCOOL&CUTEな印象なのが海外のアイドルですかね。

 少し前で言うBritney SpearsやHilary Duff、いまで言うAriana Grandeみたいな感じですよね。アイドル的存在の歌姫というと、Taylor Swiftもカウントできるかな?

ふく 日本は近年のアイドルブームによりさらにアイドルの定義が多種多様化、国外から見れば奇怪なガラパゴス的進化を遂げていっています。その流れのひとつとして生まれたのが幼いアイドルにメタルを組み合わせたBABYMETALで。テクノとアイドルを組み合わせたPerfumeの世界進出や、きゃりーぱみゅぱみゅの存在という下地がある上で、コアで独自のフィールドができあがっているメタルシーンに十代の女の子が登場するというのは、日本国外の方が衝撃的な捉え方をしたのかもしれません。だって我々はそれより前にももクロがプロレスやったり、BiSがマラソンやったりを見てきていて多少耐性ができていますからね。楽曲の良さや神バンドによる圧倒的パフォーマンスはともかく、最初は「今度はメタルやるアイドルが出てきたかー」ぐらいに思っていましたよ(笑)。


BABYMETAL – KARATE (OFFICIAL)

 ああ、確かにそうですね(笑)。思い返してみると、Taylor Swiftも「カントリー界に若い超絶美人が現れた!」というところから話題になりましたし、BABYMETALは海外のメタル界で言うそれなのかな。本人たちが演奏せず、メロイックサインではなく日本を思わせる狐のサイン、おまけに狐の面という和要素がワンポイントだったところも受け入れられやすかったのかも。

ふく さくら学院のプロジェクトとして未踏の地を探していたら、とんでもない金脈掘り当てちゃった!というのが運営側からしても本音じゃないでしょうか。

宇多田ヒカル 『Fantôme』(2016年)

 なるほど~。日本の文化はやはりなんだかんだで特殊なんでしょうね。日本の歌姫と言えば、やはり宇多田ヒカルの復活は大きな話題になりました。おまけにアメリカでもヒットしたとのこと。

ふく 宇多田のアルバムが世界的にもヒットしたのは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』主題歌の【桜流し】が収録されていたから……という話もあるみたいですけど、どうなんでしょう? 日本国外側の意見を聞いてみたいですね。「Utada」としてかつて世界進出したときと違い、今回はそういったヒットをそこまで狙っていたわけでないでしょうし、宇多田本人もTwitterでチャートインの第一報を聞いて驚いていましたからね(笑)。

 ただ、海外の影響という意味ではピコ太郎大ヒットに軍配があがるでしょうか……?(笑) Justin Bieberが動画を拡散したことをきっかけに大ヒットという逆輸入感もありますし、インターネットの影響で日本の文化も海外から注目されているのだなと。それはきゃりーぱみゅぱみゅの【PON!PON!PON!】のあたりからそうかもしれませんが。

ふく YouTuberなる人たちも現れ、音楽に限らず様々なエンターテイメントがいつどこで国境を越えてヒットするかわからないというのは、面白い時代になったもんだと思います。潮目の変化を感じますよね。

>> テン年代のターニングポイントとなる1年

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