indigo la End【雫に恋して】【忘れて花束】
読者さんやアーティストさんからおすすめしていただいたMVを毎日紹介する「紹介されたMV紹介チャレンジ」DAY 14は、こめぐさんからのオススメで2015年にリリースされたindigo la Endの両A面シングル『雫に恋して/忘れて花束』のMVです。監督は岡田文章さん。小島藤子さんが出演なさっています。
【雫に恋して】のMVと【忘れて花束】のMVは2部作になっていて、【雫に恋して】では川谷絵音さん演じる川谷絵音さんと小島さん演じる女性との出会いから別れまで、【忘れて花束】ではお互いを忘れるための最後のデートが描かれています。
またこれがですよ。川谷絵音さんが演じているのが川谷絵音さんなんですよ。劇中に出てくるバンドもindigo la Endですし、【雫に恋して】に出てくるライヴシーンの会場はindigo la Endの育った下北沢ERAですし、エキストラとして参加してるお客さんは実際ファンの方々ですし、付き合う前の彼女のTシャツにしてたサインもガチの絵音さんのサインなんですよ。フィクションなのにちょこちょこノンフィクション入ってくるからめちゃくちゃ生々しい! よく使うスタジオの店員さんと仲良くなるのもめちゃくちゃ生々しい! 小島さんも絵音さんも自然体の笑顔や表情なのもあって、絵音さんの恋愛を覗き見してるみたいでドキドキしちゃう! このMVをきっかけにスタジオ店員になろうと思った人もいらっしゃるかもですね。
この恋愛ストーリーの重要なテーマになっているのは、ふたりの間に生じる「社会的格差」。これが原因でだめになってしまった恋愛って、あるあるだと思うんですよね。このMVの場合は彼氏がどんどん売れっ子バンドマンになっていって、でも彼女はずっと変わらないまま。彼氏側からしたら自分はなにも変わっていないし、彼女との関係も良好なのに、彼女側からしたらどんどん自分が彼に相応しい人間ではないような、置いてけぼりのような気がしてしまう。
彼氏は全然自分が変わっていってる意識もないし、置いてけぼりにしてるつもりもないから、彼女が別れ話を切り出すのも意味がわかんないんですよ。でも実際、環境が変わると人って変わるものなんですよね。接する人が変わると顔つきも変わるし、態度も変わってきて、そうすると選ぶ髪型や洋服も変わって――と変化の連鎖が起きていく。【雫に恋して】の演奏シーンはライヴ会場なのでラフな格好ですが、【忘れて花束】の演奏シーンはしっかりと衣装を着ているところも、彼氏の変化の暗喩のような気がします。身近な人が変わっていくことに寂しさを感じると、人は「自分も彼に相応しい人間になるために努力しよう!」となるか、このMVの彼女のようにその場から立ち去ってしまうかのどちらかになるんですよね。
ライヴ中、2年ぶりに彼女の姿を見つけた絵音さんは「ちゃんと別れるために1日だけデートしてくれない?」と提案するわけですが、まあまたこれも罪深い提案ですね!! 本当に終わらせるためのデートなの? やり直すための口実じゃないの! やり直したいって素直に言いなさいよ~! と心のなかのオネエが爆叫び。そしてここで彼女は、想いが残っているにもかかわらず、このデートで彼を突っぱねるんですよね。これは彼女のプライドであり、最後の報復でもあると思うんです。
でもほんと、好き同士なのにお付き合いできないって悲しすぎますよね。オナゴの強がりとプライドに気付けよ&よりを戻したいならはっきり言いなさいよ彼氏~! でもって変な意地張るのやめなさいよ彼女~! なんでもうあなたたちは~!!! と、彼氏彼女の共通の友人ポジションの自称サバサバ系女子みたいなことを言いたくもなりますよ。ほんと、若い恋愛の象徴みたいな感じがして、胸が苦しい……。苦しいよカヲル君……。うまくいかないってことは縁がなかったこととも言いますが、生きてきて思うわけですよ。本当に手放してはいけない人を手放してしまうこともけっこうあるって。そのためにも、人間素直がいちばんです。
おうちで過ごす時間が増えている人も多いので、ちょっと気になる人や友達にこのMVをシェアして、LINEとかでお互いの恋愛観を語り合ってみても面白いかもしれませんね。こめぐさん、おすすめありがとうございました!(沖 さやこ)
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