PAELLAS 『D.R.E.A.M.』
MINI ALBUM(CD)
PAELLAS
『D.R.E.A.M.』
2017/09/06 release
SPACE SHOWER MUSIC
甘い夢のようにロマンティックな、平熱の現実世界
カラフルな音楽性で、グルーヴはどこまでも平熱。“リアリティ”という概念の新しいかたちを提示するようだ。東京を中心に活動する5人組・PAELLASの、2016年12月にリリースしたアルバム『Pressure』以来となる新作。“洋楽ライクでアーバン”というキャッチフレーズが用いられるバンドはここ2、3年で増えてきたと思うが、様々なジャンルをミックスして自分たちの音楽を構築するセンスは日本人ならではだろう。PAELLASの場合はロック、R&B、ニューウェイヴ、ハウスなどを自由に取り込んでいる。そのうえでキーになるのは、先述の“平熱”だ。冷え切っているわけではない、だけど極度に熱いわけでもない。平熱を保つグルーヴは、東京の夜にそびえる無数のビルの窓ガラスから漏れる明かりのよう。常に静かに光り続けていて、確かにそこに人がいる。そこにはその人間のドラマがある――PAELLASの音楽は、その人間のそのままの体温を丁寧に描き出しているのではないだろうか。
PAELLAS “Shooting Star” (Official Music Video)
一般的にはエモーショナルになりがちなアウトロのギターソロも、華やかなシンセの音色も、ウィスパーになりきらないヴォーカルも、彼らの音楽で鳴っている音すべてが同じ温度を保つ。それは不必要に音を重ねず、派手な展開を作らず、効果的なフレーズをループさせるというアンサンブルとも非常に相性がいい。特に低い声の男の英語の語りから幕を開けるM4【MOTN】。ドラムのシンバルが刻むリズムとシンセのリフの作る音像と、じょじょに広がりを見せる展開は、心地よくもありスリリングだ。密やかに燃えるダイナミズム。彼らの編みだすリアリティは、甘い夢のようにロマンティックである。(沖 さやこ)
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・Amazon:PAELLAS/D.R.E.A.M.
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