佐藤静奈、小高芳太朗、聖絵、3人のソングライターが考える言葉と音楽の世界

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◆小高芳太朗、ソロとLUNKHEADの関係性は

小高芳太朗『それでも』(2018.8)

――佐藤さんは小高さんのソロアルバム『それでも』を聴いて、LUNKHEADの時よりも言葉数が多いと感じたそうです。

佐藤 はい。それは小高さん個人が言いたいことが多いからなのかなと思ったんですけど、いかがでしょう? なかでも【蜘蛛の糸】は異彩を放っていて、新しい小高さんを見ることができたと思いました。

小高 『それでも』の【トリス】と【蜘蛛の糸】は、作ろうと思って作っていなくて、止まらないまま全部溢れ出ちゃったというか。そういうことはあんまりないんですけど、【トリス】の歌詞を書いているときは「このまま歌詞を書き続けたら100番くらいまで行ってしまう」と思ったから途中で止めたんです。そこから抜粋してエディットしましたね。【蜘蛛の糸】も同じ感じ。めちゃくちゃかっこいいオケができたけど、これメロディ乗らねえなと思ったから、ポエトリーにしようと。

――どんな精神状態だったのでしょう?

小高 いたってフラットですよ。だからこそ頭のなかにあったものが全部出てきてしまったというか。日常生活でこういうことを吐き出すとすげえ心配されるけど、曲ならびっくりしてくれる(笑)。それはソングライターのオイシイところですよね。曲を書くうえで負の感覚は栄養だなとも思います。


小高芳太朗「トリス」MV short ver.

――LUNKHEADには少年像がありますが、『それでも』は大人の小高さんを感じる作品でもありました。小高さんは『それでも』を遺書のつもりでお作りになったとおっしゃっていましたよね。

小高 いつ死んでもいいやと思いながら毎日生きているし、同時にまだまだやれることがある、自分から生まれるものはまだまだある、もっとすごいものが作れる、もっとすごい歌が唄えると信じているところもあって。LUNKHEADは来年結成20周年だし、メンバーの人生の責任もあるし――もう少し生きていないとまずいと思ってもいるけれど、いつ死んでもいいなと思ってもいる。自殺はしたくないし、痛いのもいやだから、ふっと消えるように死ねないかな?(笑)

佐藤 (笑)。すごくわかります。

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小高 38年生きてきて、生きることに飽きちゃっている感覚もある。そんなときにソロアルバムを作ることになったから、体裁とかよりも自分を全部出しておくことを優先しておきたかったんです。誰にも言えないことも全部『それでも』で言っておきたかった。そういう意味でも遺書、かな。たぶんLUNKHEADでの反動もあったと思いますね。LUNKHEADは来年結成20周年で、そこに向かって走っていっているところだから、『それでも』はそれと真逆のモードで(笑)。だからこそ、頭のなかにあるそういうものをゲロっておきたかったんだと思いますね。

>> ソングライターの制作の原動力は?

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