佐藤静奈、小高芳太朗、聖絵、3人のソングライターが考える言葉と音楽の世界

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ss_teidan_1佐藤静奈、LUNKHEAD小高芳太朗、un-not聖絵
3人のソングライターが考える言葉と音楽の世界

L→R
聖絵(un-not)
佐藤 静奈
小高 芳太朗(LUNKHEAD)

我々リスナーがなにげなく耳にしている音楽。作詞作曲をつかさどるソングライターは、いったいどんな思考のもと楽曲制作をしているのだろうか? 今回はシンガーソングライター・佐藤静奈をホストにし、彼女が「いま話を聞きたいソングライター」を招き、ソングライティングのなかでも「歌詞」にフィーチャーした鼎談を行った。青森は津軽で生まれ育った佐藤、愛媛で生まれ育ち東京に身を移して20年近くバンド活動をしているLUNKHEADの小高芳太朗、東京で生まれ育ちシンガーソングライターとしてもバンドプロジェクトun-notとしても活動している聖絵と、育ってきた環境も異なる3人。制作者のパーソナリティが垣間見られる会話となった。

取材・文 沖 さやこ
撮影 安西 美樹
取材協力 学校法人ミューズ音楽院/ミューズモード音楽院

 

shizunas_a_photo佐藤 静奈(さとう・しずな)
青森出身のシンガーソングライター。2013年、ヴォーカルを務めたロックバンドの解散をきっかけにピアノ弾き語りへ転向。約2年そのスタイルで活動し、現在はフルバンド編成およびアコースティックバンド編成を中心に活動中。2014年に1stミニアルバム『切り取った一瞬を。』をリリース。2015年から現在まで東京ネットラジオレギュラー番組「DJ佐藤静奈の“こえがきこえる”」パーソナリティを担当。2018年に2ndミニアルバム『フーカ・リッカ』をリリース。北国の自然にふれて育まれた感受性ゆたかな歌詞を、エモーショナルな楽曲にのせて歌う。ライヴでのその佇まいは、時に“イタコ”と評されることも。映画の音声ガイドなど音楽以外の仕事にも挑戦している。
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lunkhead_a_photo小高 芳太朗(おだか・よしたろう)
4ピースロックバンドLUNKHEADのギターヴォーカル。1999年に地元・愛媛県新居浜市でバンド活動を開始。2004年メジャーデビュー。2012年に初のソロアルバム『眠る前』をリリース。ソロリサイタルのツアーファイナル・下北沢タウンホールは即日完売を果たす。2018年8月にはソロ2作目となる『それでも』をリリース。12月には追加公演として北沢タウンホールワンマンを予定している。バンドでは2018年4月から3ヶ月連続配信シングルをリリースし、3ヶ月連続ワンマンライヴを慣行(全公演ソールドアウト)。来年の結成20周年に向けて精力的に活動中。
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unnot_a_photo聖絵(まさえ)
シンガーソングライター/ネオアコースティックバンドun-notのVo/Agt/Per/Gadget/作詞作曲を担当。東京出身。2013年5月 1st EP『時速30分』、2015年1月に2nd EP『MINSTREL SONG』をリリース。新宿、渋谷を舞台にしたMVが話題となる。2016年6月ZIP-FM主催のSAKAE SP-RINGに出演を果たす。共同プロデューサーに森安信夫氏を迎え、2017年5月24日に初の全国流通フルアルバム『MUSIC ALLEY』をリリース。渋谷タワーレコードにてインストアライブを開催した。2019年に新作をリリース予定。
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◆ソングライターはなにを最重要、最優先にしているのか?

――ソングライターにはメロディ重視の人、歌詞重視の人、アレンジ重視の人と様々ですが、みなさんはいかがでしょうか?

小高 芳太朗(LUNKHEAD) 自分が表現するうえではメロディと言葉が50:50だと思います。LUNKHEADの場合は自分のイメージを反映させたデモを作っても、メンバーが全部ぶち壊すようなフレーズを作ってきよるんですよ。だから俺も「お前らがアレンジで散々やらかしても俺のメロディと言葉は揺るがないから、どんどん好きにやってくれ」と思ってLUNKHEADの曲を作ってますね。

聖絵(un-not) どれも同じくらい大事なんですけど、まずわたしはビートから作りますね。

小高 へぇ~、かっけえ!

聖絵 ビートを作ると、それに合う言葉が頭のなかに出てくるんです。「あとふたつ母音があれば歌いたい言葉が歌える!」というときは2拍増やしたりもします。言葉はビートに左右されるとも思うので、「ここは歌詞の意味的には“イ”がいいんだけど、ビートは“ア”がいいんだよなー……」と思ったときは「ア」でいきますね。

佐藤 静奈 わたしは大体、サビの核になる歌詞とメロディが一緒に降ってきて、そこから広げていくことが多いです。歌詞にはまらないメロディだなと思ったらメロディを変えることもあって――【フーカ・リッカ】も最初にバンドメンバーに送ったデモのメロディと完成したもののメロディが全然違うんです。そういう意味では言葉の比重が高いのかな。

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(L→R)聖絵、佐藤静奈、小高芳太朗

小高 言葉自体がメロディを持ってますもんね。小学生の時に「童謡の【この道】のメロディは歌詞のイントネーションと同じ」と習ったのをすごく覚えていて、それは歌詞を書くうえですごく気にしていて。言葉がもともと持っているメロディで、曲のメロディは変わってくる。俺はメロディとアレンジができたあとに歌詞を書くから、楽曲のメロディと言葉のメロディがなかなか合わなくて……ノリノリで曲を作ってたときの自分を呪ってます(笑)。俺は軸になるテーマがないと歌詞が書けなくて。たとえばLUNKHEADの【うちにかえろう】は、歌詞のテーマが「シチュー」に決まったら歌詞が書けた。

――その「シチュー」に辿り着くまでに時間が掛かるということですね。

小高 身近な誰かがぽろっと言ったことがテーマになったり、財布を落とした時に歌詞が書けたり(笑)。制限がある歌詞という枠組みのなかで、内容をどう膨らませていくか――というのは過去の経験が出てきたりしますね。

佐藤 小高さんの歌詞を読んで初めて「歌詞に句読点を使ってもいいんだ」と思いました。小高さんからはそういう影響も受けてますね。

小高 自己満かもしれないけど、歌詞を目で見たときの美しさにもこだわっていて。ひらがなにするのか漢字にするのか、スペースを空けるのか句読点を入れるのか改行するのか、というところまで考えて。LOST IN TIMEの海北(大輔)くんが「小高くんの歌詞が絵として綺麗」と言ってくれた時は、ああ、伝わってくれている人がいたわー……と知れて、うれしかったですね。

>> ソングライターはどんなときに「やりきった」と感じるのか? 3人それぞれが考える「曲が完成する」とは

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