ONE TONGUE AWARDS 2014

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ONE TONGUE AWARDS 2014
福島 大祐が選ぶ年間ベスト・アルバム&アーティスト

年齢を重ねるほど時間の経過を早く感じる現象を「ジャネーの法則」と呼ぶらしいですね。KOTOSHI MO OWARIです。さて、例のごとくいろんな音楽を聴き漁った2014年。今年リリースの作品からウンウン唸りながら10枚選出しました。
 

10位:Charisma.com『DIStopping』

Charisma.cоm / イイナヅケブルー
デビューアルバムである前作『アイ アイ シンドローム』収録の【HATE】がMV含めとてもキレ味鋭い楽曲で、それ以来彼女たちの動向を追っています。2 ndの今作は1st以上の出来で、リードトラック【イイナヅケブルー】のMVもこれまたカッコいい! 平日はOLというブレイク前のオアシズ大久保さんのような生活をしている2人が、スタイリッシュにエレクトロとラップで毒を吐く姿がなんとも痛快。
 

9位:武藤彩未『永遠と瞬間』

武藤彩未 20140423 Debut Album 「永遠と瞬間」 Trailer
現在のグループアイドル隆盛のカウンターとして次はソロアイドルがくる!なんて言われていますが、その筆頭としてよく挙げられる武藤彩未ちゃん。さくら学院在籍時代は疎いのですが、’80年代アイドル歌謡のカバーアルバムを出したり、尊敬する人物が松田聖子だったりと18歳にしてなかなか渋い。その影響なのか、ハッキリした滑舌で歌われる彼女のアイドルソングは清涼感たっぷりで実に聴き心地がいいです。玉石混淆さまざまなアイドルが氾濫している今は「昔のアイドルが好きです」「’80年代の影響受けています」なんてコも多かれ少なかれ目にしますし、そんな中で違いを見せていけるのか、2015年は勝負の年でしょう。
 

8位:中田裕二『BACK TO MELLOW』

中田裕二 / 薄紅(from Album『BACK TO MELLOW』)
タイトル通りメロウに回帰した4thアルバム。いまだに椿屋四重奏の音楽と比較されることも多いですが、ソロ作の中でそんな人々に一番プッシュしたい作品です。33歳になってやっと本人の音楽が実年齢に近づいてきたのか、物憂げで、美しい日本語から品と色気が感じられて、中田節が凝縮されている一枚。【愛の摂理】【そのぬくもりの中で】【未成熟】【PURPLE】【ドア】【薄紅】など、路地裏の古ぼけた喫茶店で流れていそうな味わい深い楽曲ばかりです。
 

7位:パスピエ『幕の内ISM』

パスピエ – トーキョーシティ・アンダーグラウンド
テクノポップはそのままにバンド感が増し、良い意味でメジャーらしく、どの曲もシングルのようなキャッチーさ。特に1曲目【YES / NO】から【トーキョーシティ・アンダーグラウンド】【七色の少年】【あの青と青と青】までの流れはそのままベストアルバムにしても成り立ちそうなほど。【とおりゃんせ】【MATATABISTEP】もフロアをガンガン揺らせそうなキラーチューンぶりです。それにしてもパスピエも所属するレーベル・unBORDEの勢いは凄い! androp、CAPSULE、きゃりーぱみゅぱみゅ、indigo la End、ゲスの極み乙女。、神聖かまってちゃん、高橋優、チームしゃちほこ、tofubeatsなど、ひと癖ある注目株の若手が勢揃いしています。まるで音楽業界の麦わら海賊団や~!(彦摩呂)
 

6位:きのこ帝国『フェイクワールドワンダーランド』

きのこ帝国 – 東京 (MV)
楽曲単位で2014年のベストを選ぶならトップはBIGMAMAの【Sweet Dreams】かドレズコーズの【スーパー、スーパーサッド】、もしくはきのこ帝国の【東京】かもしれません。そう、ここでも「東京=名曲説」は立証されているのです。雰囲気重視のお洒落すぎるシューゲイザーはつい敬遠してしまうんですが、歌モノとしても成立しているのでスッと浸れました。“Cocco・meets・ファズサウンド”と称したい。
 

5位:Shiggy Jr.『LISTEN TO THE MUSIC』

Shiggy Jr. / LISTEN TO THE MUSIC
この一枚でドーンと評価を上げたShiggy Jr.。「シギジュニ」なんて略されているんですね。「ポップは正義!」と言わんばかりに、キラキラとした王道シティ・ポップが満載。Vo.池田智子の「マドンナではないけど隣のクラスのちょっと気になる女子」感からも目が離せません(褒めてます)。女の子を描かせたら桂正和氏と並ぶぐらいのキュートさを表現する(個人調べ)漫画家・江口寿史氏によるCDジャケットも秀逸。こりゃ手に取っちゃうわ。
 

4位:MERRY『NOnsenSe MARkeT』

MERRY 「NOnsenSe MARkeT」MUSIC VIDEO
12月24日リリースのアルバムを滑り込みでさっそくランクイン。彼らの掲げる哀愁漂う“レトロック”は今作も健在で、前作『Beautiful Freaks』以降、Vo.ガラの椎間板ヘルニアによる活動休止やメンバーの怪我など試練が多かったことに起因したのか、「俺らこんなもんじゃへこたれねえぞ」と逆境に立ち向かう強い意志を感じるパワフルな楽曲が揃った印象です。通常盤なら税込2592円とお買い得。
 

3位:椎名林檎『日出処』

椎名林檎 – 『NIPPON』
「椎名林檎ならこれぐらいやるだろう」というハードルの高さがあるので3位に入れていますが、もっと上の順位でもなんら問題はなし。これが新人の1stアルバムなら1位に入れていたでしょう。相変わらず曲と曲の繋ぎのテンポが良いです。【NIPPON】から続いて【ありあまる富】でアルバムの幕を閉じるのも非常にしっくりきます。
 

2位:大森靖子『洗脳』

大森靖子「ノスタルジックJ-pop」MusicClip
ギターの弾き語りだった初期から一転、絵の具をぶちまけたようなカラフルな楽曲がズラリ。メジャーに行ったことを機に、ちゃんと資金をかけて制作したであろうことが感じられます。アバンギャルドなキャラクターに注目が集まりがちだけど、楽曲はどれもギミックたっぷりで楽しい。「ハム速見みてるおっさん」「ググってでてくるとこなら どこへだっていけるよね!」「新曲いいね 踊れないけど」などなど、タブーなしの開けっ広げな歌詞が刺さります。こじらせがちな十代の頃に聴いていたらマジで洗脳されていたかもしれない。
 

1位:TK from 凛として時雨『Fantastic Magic』

TK from 凛として時雨 『Fantastic Magic』
ソロワークではストリングスや鍵盤を積極的に採用するTK。これがかまいたちのような彼の冷やかな声と相性抜群で、「早く時雨やってよ」と言えないほどどの楽曲も美しくドラマティックに響いています。触れたら壊れてしまいそうな繊細さと、でも壮大でもあるという二律背反が確かに存在しているのです。シングル【unravel】B面の【Fu re te Fu re ru】も殺傷力抜群の曲で、贅沢言うならこれも収録してほしかったな。ちなみに、SMAP稲垣吾郎に提供した【Dramatic Starlight】(アルバム『Mr.S』収録)なんて曲もあり、こちらはTKテイストにデジタルな感触と稲垣吾郎のまろやかなボーカルが合わさった興味深いナンバーです。
 

他にきゃりーぱみゅぱみゅ『ピカピカふぁんたじん』、柴田淳『バビルサの牙』、クリープハイプ『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』、Dragon Ash『THE FACES』も入れたくて悩みましたし、ちゃんと聴けていない、でもきっと好みであろうアルバムもあるのですが、現時点ではこの10枚が2014年の私的ベストですね。いつかはこういったセレクトにイスラエルのパンクバンドとか入れられるようなワールドワイドな音楽通になりたいものです(嘘)。

そしてそして、2014年のベストアーティストはこのグループですね。はいドーーーン!!!
 

ベストアーテイスト2014:乃木坂46

乃木坂46 『気づいたら片想い』
2014年は彼女たちにとって大きなトピック、試練があった年でした。組閣の発表によるAKBとのメンバー交換留学、生田絵梨花の休業、スキャンダル、そして紅白落選。それと同時に成長、飛躍を感じさせる場面も多々あり、西野七瀬や生田絵梨花のセンター抜擢など次世代がグングン伸びてきています(個人的には16歳・齋藤飛鳥に注目!)。それはセールス面にも表れていて、2014年のシングルCD売上トップ10には8位と10位にランクイン。1~7位はAKBと嵐で独占されていますが、SKE、NMB、HKTらのAKB姉妹グループを上回っているのです。アイドルファンの中でもいわゆる“楽曲派”を満足させる良質な楽曲が多くて、【気づいたら片想い】は個人的にここ半年で一番聴いたアイドルソング。清純をウリとしたアイドル性と曲の良さを同時に語れるというのがポイントなのです。1月リリースの1stアルバムにはファン投票によるカップリング曲の人気上位10曲が収録されますが、私的乃木坂カップリング曲BEST5を発表して終わりとします。

●侮れない! 乃木坂カップリング曲勝手にBEST5●
【他の星から】
【孤独兄弟】
【何もできずにそばにいる】
【ダンケシェーン】
【あの日 僕は咄嗟に嘘をついた】

以上!(橋本奈々未推し・福島 大祐)

>>ONE TONGUE AWARDS 2014(沖 さやこ 篇)
>>ONE TONGUE AWARDS 2014(沖 丈介 篇)

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