LUNKHEAD-10th ANNIVERSARY『一世一代のみかん祭』密着レポート
楽屋に先回りし、メンバーを待つ。この長丁場を乗り切った4人の顔は開放感に満ちていた。壮さんはお酒を飲みたそうだが、運転があるとのことでおあずけ。「帰ってしこたま飲む」と言う。桜井さんも「良かった良かった。長かったけど。……なんか良かった! 俺のドラムもめちゃくちゃ良かった!」と、ほっとした表情。最後に楽屋に帰ってきた小高さんの第一声は「酒が飲みたい! 酒が飲みたいんじゃー!」。そう言いながらスポーツドリンクを飲む。わたしがあっという間でしたね、と言うと、小高さんは「時間の感覚がいつものワンマンとあんまり変わらない(笑)」と言い、桜井さんも「そうだね。だけど、長い!」と続け笑わせる。「なんか俺いまもずっと左足が攣ってて。(【美しい人】での)変なジャンプがものすごいしんどくて、やっぱり乾燥してるから(2部の6曲目の)【スモールワールド】くらいから喉もヒューヒュー言ってて……“あれ? これもつのかな……?”と思って。でも最後あったまってきたらまた湿気で大丈夫になった」と小高さん。本当に喉がもって良かった。だが「野音は40曲いきましょう」という言葉に対しては即座に「余力ない! まず歩けない!」と言われてしまった(笑)。
スタンプを20個集めた観客を対象に行われた乾杯が終わったあと、合田さんに「2015年のLUNKHEAD」について訊いてみた。「2015年は新たな一歩ですね。road to~シリーズはいろいろ試行錯誤して、自分たちの考えたことをすべてやった感じなんです。だからある意味頭のなかがクリアになっているので、アルバムツアーや野音含め、今年さらに面白いことができそうかなと。自分たちだけだとどうしても限界というものがあるから、(移籍することで)新しい風が入ってくるのはすごくいいことだと思います。居酒屋に居合わせたLUNKHEADファンの徳間スタッフにたまたま声をかけられるという、奇跡的な出会いで今回こういうことになって……本当にありがたいなと思いますね」。合田さんは最後に「ワンタンマガジン、野音も(密着)やってくださいよ」と付け加えてくれた。そして同じ質問を小高さんにもしてみた。「2015年は“10周年よりすごい!”というのがテーマなんで、10周年のときよりもみんなをわくわくさせていきたいですね。とりあえずまずは野音を成功させる。その先はヒ・ミ・ツ♡(笑) 2015年は売れよう。みんなで売れよう!」。
この日は10周年の集大成というよりは、10年間ほぼ流れを止めなかったLUNKHEADの新たな一歩だった。そして、11年このバンドを信じ続けていた自分は間違いなかったなとも思った。長く続くバンドには、必ずファンの移り変わりが存在する。バンドを愛する人が増えると同時に、環境の変化や歳を重ねるごとに音楽から遠ざかってしまう人も多いし、それ以外の理由でもバンドから離れていく人はたくさんいるだろう。だが――何度もしつこく言っているが――LUNKHEADはいつの時代も「現在」が最も聡明で輝いている。これは絶対的な事実だ。『AT0M』以降、特に『[vivo]』での覚醒とそれ以降の勢いは、何かを背負い、覚悟を決めた人間でないと出せない強さや重み、深みや極限がある。ソングライターである小高芳太朗という人間の成長や悟り、気付きは広がりつづけており、年齢を重ねるごとに彼の感受性は鈍るどころか研ぎ澄まされるばかりだ。そんな彼が作る楽曲には、表現力が上がりつづける各プレイヤーの美学が貫かれたフレーズが溢れ、そのひとつひとつに楽曲への尊敬が通っている。そんな各々を認め合う主張が成立しているLUNKHEADの音楽が、眩いほどの光を放つのは必然なのだ。ああ、なんて華々しいんだ。だから『家』もいい作品であると信じて疑わないし、野音がこの新木場STUDIO COASTよりも素晴らしいライヴになることは最早決定事項なのである。長い長い轍を刻み続けたLUNKHEADの深い深い、青い咆哮。その声がいま、さらに大きく響こうとしている――。
LUNKHEAD 10th ANNIVERSARY「一世一代のみかん祭」
2015年1月18日(日) 新木場STUDIO COAST
■1部
01 前進/僕/戦場へ
02 インディゴ
03 月光少年
04 物思いに耽る庭
05 冬の朝
06 白濁
07 光の街
08 きらりいろ
09 HEART BEATER
10 三月
11 夏の匂い
12 白い声
13 ENTRANCE
14 体温
15 すべて
■2部
01 美しい人
02 闇を暴け
03 閃光
04 潮騒
05 果てしなく白に近付きたい青
06 スモールワールド
07 狂った朝
08 泡沫
09 共犯
10 echo
11 ゲノム
12 スターマイン
13 シンドローム
14 ぐるぐる
15 アルピニスタ
16 シンフォニア
encore1
17 うちにかえろう
18 いきているから
19 僕らは生きる
encore2
20 カナリアボックス