ストリーミング革命勃発! 音楽の聴き方はどう変わる?~ONE TONGUE SUMMIT #2
ONE TONGUE SUMMIT #2
ストリーミング革命勃発! 音楽の聴き方はどう変わる?
東京と神奈川を中心に音楽ライターとして活動している沖さやこと、福岡で情報誌の編集をし、エンタメ界に幅広く精通しているふくこと福島大祐が、タイムリーな音楽事情を語り合うコラム「ONE TONGUE SUMMIT」。今回のテーマは「音楽ストリーミングサービス」についてです。LINE MUSICの無料提供期間が終了し、ストリーミングサービスがこの先どうなっていくか、音楽がこれからどうなっていくかは、これからが本場ではないでしょうか。今回は沖と福島に加え、このワンタンマガジンでMV Watcherなどを執筆している俳優やモデル業を行う沖 丈介もこのワンタンサミットに参加しました。パッケージが持つ強み、ストリーミングサービスの利点、そしていい音を求めるとは――談義は様々なところまで発展していきました。エンタテインメント業界に身を置く3人でも意見は様々。これからの音楽について、一緒に考えてみませんか?
◆ストリーミングサービスの利便性、その先の可能性は――
沖 まずみなさん、ストリーミングサービスをどういうふうに使っていますか? わたしは無料期間にLINE MUSICとApple Musicを登録しましたが、曲数を加味すると、今後はApple Music一択予定です。仕事も仕事なので、いろんなアーティストの音源を聴く必要があるので、「資料」みたいな使い方になっています。
ふく とりあえず曲数が段違いということでApple Musicに登録してみましたが、邦楽が少なすぎますねコレ。同じミュージシャンでも配信しているアルバムとしていないアルバムがあったり。昔より音楽を聴く時間もかなり限られるし、もう少しニッチなところを補完してほしいです。洋楽を聴くぶんには良さそうです。音質も思っていた以上に良くて、個人的には今さら買うのもなという懐メロとか、あとYouTubeなどで発見しにくいカップリング曲を聴いたりするのに便利だと思いました。
丈介 僕は音楽のストリーミングサービスは利用していないのですが、dアニメというアニメのストリーミングサービスを利用しています。そのサービスで出会って「これは形として持っておきたい!」と思う作品がいくつもあるので、ストリーミングを通して「この作品の円盤を購入したい!」と思う人も少なからずいるのでは? と感じています。
ふく Apple MusicはWi-Fi環境下でない場合どれぐらい通信料かかるんでしょうね?
丈介 使用データ容量が記載されているサイトによると、14時間でだいたい1GBみたいですね。
沖 さて、それでは本題に入ります。ストリーミングサービスに関しては賛成派のアーティストと反対派のアーティストの両方がいます。論点の中心とされているのはビジネス面。賛成派としては「ビジネスとして素晴らしい」という意見が、反対派としては「音楽へ対価が支払われてない」という意見が出ています。ビジネスの観点での考え方は、両者の言い分とも理解できます。違法ダウンロードをされるよりも1回再生されると少なくとも収入があるという意味で、ビジネスとして有り難いということ。反対派の対価の安さというのは、一定数のファンを抱える大御所やCDの売り上げがあるアーティストに言えることかなと。どちらがいいのかは、当事者ではないから正直わからないです。
ふく 実際アーティスト側にどれぐらいの対価が支払われているんですかね?
沖 1回再生されるごとに0.4~0.6円が相場みたいですね。
丈介 アーティストとユーザーの中での金額で見る「音楽の対価」は噛み合うことはそうそうないのではないかな、と思います。あるアーティストが「DL購入では利益が少なくて活動が困るからCDを買ってほしい」とTwitterで呟いていました。でもパッケージよりも安く買えて、家や出先で手軽に購入できて、アルバム曲も1曲から購入できるようになっているので、ユーザーにとっては便利になっていると思うんですよね。ストリーミングも便利なツールです。比較的多くの人は便利を求めるし、便利なサービスはビジネスとして見るととても優れていると思いますし。ただ、いちリスナーとしては、その便利さでアーティストが殺されるようなことは避けてほしいと思う面もあります。
沖 でもまあ、聴きたいときにサッと聴ける便利さはありますよね。わたしもこの前インタヴュー取材をするにあたって、だいぶ昔のc/w曲を参考に聴きたかったんですけど、LINE MUSICで探してみたらあって。それにしても「便利」以外にストリーミングサービスができるサービスってなんでしょうね?
丈介 「独占公開」じゃないでしょうか。ラッパーで実業家のJay-Zが筆頭を務める音楽ストリーミングサービス「TIDAL」は、Nicki MinajのPVがTIDALのユーザー限定で配信されたほか、Princeのライヴの無料配信、そしてLil Wayneのアルバム『FWA』がTIDAL限定で配信されるなど、強い付加価値をつけてきてるんですよね。「TIDAL」はアーティストが運営するサービスであり、さらにBeyonce、Madonna、Daft Punk、Alicia Keys、Coldplay等、多数の著名アーティストたちが「TIDAL」の支援を表明していることも信用面での強みになっています。
沖 なるほど、アーティストの運営するストリーミングサービスの独占公開か。
丈介 TIDALがどのような利益や、ストリーミングとアーティストとの共存を築いていくのかなぁ、というのはすごく興味深いですね。