黒猫チェルシー休止から1年半――澤 竜次が開拓するミュージシャンとしての居場所

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gfr_2004_1黒猫チェルシー休止から1年半
澤 竜次が開拓するミュージシャンとしての居場所

 

2018年10月に活動休止をした黒猫チェルシー。メンバー4人はその後、それぞれ異なる表現活動をしている。ギタリストの澤 竜次は、黒猫チェルシーの活動休止前ラストライヴから数日後、事務所兼自主レーベル・Glass Family Recordの設立を発表。黒猫チェルシー活動時から結成していたFAIRY BRENDAやNOSだけでなく、後輩ミュージシャンが楽器隊として参加している澤竜次BAND、パンク界のレジェンドである頭脳警察のサポートミュージシャンを務めるなど、精力的な音楽活動を続けている。
2020年1月にはレーベル第1弾作品であり、FAIRY BRENDAの初の全国流通盤『Honey Trip』をリリース。現在彼はどんなふうに音楽とともに生活しているのだろうか。取材場所は昨年12月に東急沿線は旗の台駅徒歩1分の立地にグランドオープンしたスパイスカレー店・curry but curry。FAIRY BRENDA/CRAZY WEST MOUNTAINのベーシスト・西山達朗がオーナーを務める同店にて、澤に話を訊いた。

取材・文 沖 さやこ
撮影 nishinaga“saicho”isao(website
取材協力 旗の台・curry but curry(Instagram

 

fb_a_photo澤 竜次(さわ・りゅうじ)※写真中央
1990年12月11日生まれ、兵庫県神戸市出身のギタリスト/ヴォーカリスト/ソングライター。2007年3月に黒猫チェルシー結成。2014年5月にFAIRY BRENDA結成。2016年10月にNOS結成。2018年10月に黒猫チェルシーが活動休止し、自主レーベル兼事務所Glass Family Recordを設立。同年末には自身がギターヴォーカルを務める4マン自主企画「サワーソニック In 新宿レッドクロス ~Are You Experienced?~」を開催した。2019年、頭脳警察50周年バンドにギタリストとして参加し、澤竜次BANDを始動させる。2020年1月にGlass Family Recordの第1弾作品となるFAIRY BRENDAの初の全国流通盤『Honey Trip』をリリース。同年8月14日にFAIRY BRENDA初のワンマンライブを下北沢GARAGEにて開催する。
Glass Family Record website/Twitter @GlassFamily_Rec /Instagram @sawaryuji

 

◆「この先もずっと音楽の世界でしっかり立って活動をしていく」「自分の足で動いていく」という意志を表明したかった

――今回、取材場所としてFAIRY BRENDA/CRAZY WEST MOUNTAINのベーシスト・西山達朗さんがオーナーを務めるcurry but curryの2階スペースをお借りしました。バンドマンの方々がご友人とお店をオープンするケースも増えてきていますが、澤さんはこのような動きをどう捉えていらっしゃいますか?

ほんっと、尊敬しかないですね。もともと西山くんからお店を出すにあたっての試作品を食べさせてもらったり、話も聞いていて。このお店は古民家を改築して、階段以外の大工仕事はほとんど全部西山くん含むスタッフ3人が手作りしているんです。お店のオープニングパーティーで歌わせてもらったとき、感極まって泣きそうになって。自分としても貴重な体験をさせてもらいました。

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西山達朗(curry but curry店内にて)

――西山さんは音楽と並行して飲食業を立ち上げましたが、澤さんは他業種ではなく音楽に特化した生活です。なぜ黒猫チェルシーが活動休止したあと「自主レーベルの設立」という選択をなさったのでしょう?

まず遡ると、25歳くらいの時に「自分の活動のために動いてくれている人たちがどういう動きをしているのか、どういう助けをしてくれているのか、あまりにも知らないんじゃないか?」と思うようになって。

――25歳くらいというと、黒猫チェルシーがレーベルを移籍したり、2014年にFAIRY BRENDA、2016年にNOSを結成など、環境の変化が多かった時期でしょうか。

そうですね。マネージャーが変わった時や、環境が変わる同世代のバンドマンを見ながら「今の状態が一生続くわけではないんだな。移り変わるものなんだな」と実感したし、BRENDAやNOSのブッキングを自分でするようになって、自分で動かしていくことにどんどん興味が出てきていたんです。10代から大きな組織に入ったことで、学ぶことは多かったですね。

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澤 竜次

――澤さんにそういう興味が出てきたタイミングで、たまたま黒猫チェルシーの活動休止が重なったということですね。

そうです。「引き続き事務所に残るメンバーもいるけれど、自分はこの先どう活動していこう?」と考えたとき、「自力で活動してみたい」「自主で活動をしていく選択を取るなら今しかないかもしれない」と思ったんです。居場所を作りたかった。もちろんバンドも居場所ではあるんですけど、これまで黒猫を聴いてくれている人たちにも「この先もずっと音楽の世界でしっかり立って活動をしていく」「自分の足で動いていく」という意志を表明したかったんですよね。

――そして2018年10月にGlass Family Recordの設立を発表。この1年半の期間はいかがでしたか?

「僕個人としての人のつながりが大事だ」と身に染みて感じましたね。これまでお世話になった人たちとこの先いい関係を築き上げていくことも、この先にある新しい出会いも、自分がこれから何をしていくかがすべてやなと思います。CDの売り上げやお客さんの動員の影響が直撃してくるので、もちろん「ほんまに俺は大丈夫なんか?」と落ち込んだり不安になることもありますし、「このままじゃあかん。じゃあどうする?」と悩むこともたくさんある。でもダイレクトに食らうぶん「じゃあこうしてやる。もっと来い!」というモードにもなれてますね。

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澤はなぜこれだけ多くの形態で音楽活動を行うのか?
4バンドのフロントマンと頭脳警察のサポートギタリストを通して思うこと

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