解散、復活、飛躍、活動休止……激動の2016年を振り返る~ONE TONGUE SUMMIT #6
ONE TONGUE SUMMIT #6
解散、復活、飛躍、活動休止……激動の2016年を振り返る
東京と神奈川を中心に音楽ライターとして活動している沖さやこと、福岡在住の情報誌編集者・ふくこと福島大祐が、タイムリーな音楽事情を語り合うコラム「ONE TONGUE SUMMIT」。今回は年の瀬とかけまして、2016年の音楽トピックスを振り返ります。こんなに立て続けにいろんなことがあった年があっただろうか、と思うほど様々なニュースが飛び交った1年。みなさんは音楽とどのように過ごされましたか?
◆“SMAP SHOCK”から始まった波乱の年明け
ふく 今年は年明けからSMAPの解散報道が出て衝撃でしたね。1年を通して、いかにSMAPがみんなの人生に根付いているかをいろんな場面で再確認した気がします。『笑っていいとも!』が終わったときや『こち亀』の終了も同じ気分だったんですけど、当たり前のように生活に寄りそっていたものも、いつかなくなるときが来るんだなと。
沖 終わりが来てしまうのは仕方のないことですが、SMAPの解散は話題の広まり方が気持ちのいいものではなかったのがいまもつらいです。明らかになるべきではないところまで広まってしまったし、どこまでが真実かわからないところも……。
ふく そうそう、報道の始まりから解散まで、“みんなのSMAP”の終焉がこんな形でいいわけないですよね。エンターテインメント業界の功労者として最大の賛辞と共にハッピーエンドで終わらなければならない。
沖 SMAPに楽曲提供することを夢として抱えていたアーティストは多かったので、音楽の発展のひとつの大きなパイプがなくなってしまったなと思います。槇原敬之さんの再ブレイクやスガシカオさん、山崎まさよしさんから始まり、SMAPが音楽史に与えたものも大きいですよね。
ふく SMAPは90年代からいろんな才能をフックアップする存在でもあって。近年はA面B面アルバム曲問わずに赤い公園・津野米咲、雅-MYAVI、森山直太朗、サカナクション・山口一郎、クリープハイプ・尾崎世界観、凛として時雨・TK、SALU、川谷絵音、椎名林檎などなど、非常に柔軟なコラボレーションを見せていました。その様子も楽しんで見ていたのですが……。
沖 THE YELLOW MONKEYの再結成が発表されたのも同じ1月でした。
ふく 今年のアリーナツアーの福岡公演を観てメンバーの皆さんにも少しだけご挨拶したんですが、メンバー4人、本当に無邪気で楽しそうなんですよ。「ああ、バンドを心から楽しんでいるんだな」というのが伝わってきて。ただ、復活バブルと言いますか、紅白出場まで発表されましたけど、THE YELLOW MONKEYって全盛期の最大のヒット曲の『BURN』でも約90万枚で、現状はちょこっとだけ持ち上げられ過ぎな気もするんですけどね(笑)。いや、セールスだけじゃ測れない支持率やカリスマ性がありましたし、人気の面でもドーム公演やるほどでしたけどね。
沖 最大のヒットシングルが『BURN』とは……意外!! 『LOVE LOVE SHOW』か『JAM』だと思っていました。イエモン再結成は明らかにイエモン世代ではない若い子も盛り上がっているところも特徴的です。
ふく THE YELLOW MONKEY人気はフォロワーたちの影響も大きそうです。いまの若いバンドが青春時代によく聴いていたバンドとして彼らの名前を挙げ、それをきっかけに遡るファンも多そうですよね。
沖 イエモンといえばグラムロック、その祖とも言えるDavid Bowieが1月10日に亡くなりました。いまも信じられないくらいです。ラストアルバム『★(Blackstar)』も最期のつもりで作ったもので若手を積極的に起用したとのことですし、最期の写真なんて病気を抱える人とは思えないです。最期の最期までかっこよすぎて、人間じゃなかったんじゃないかなあ、なんて思うほどです。
ふく ボウイとプリンスが同じ年に亡くなるなんて、とんでもない年になりましたね。BOOM BOOM SATELLITES・川島道行さんの訃報も記憶に新しいです。
沖 Princeのように死とは突然訪れるものですが、川島さんの場合はメンバーやチーム、ご家族だけでなく、ファンもリミットを理解していたうえで最後の作品を完成させました。お別れは悲しいけれど……。ひとつひとつの準備ができたことは恵まれたことなのだと思います。
>> 90年代~2000年代の中堅・ベテランの健在っぷりも光る!