go!go!vanillas×ストレイテナー-2017.5.5 at 赤坂BLITZ
go!go!vanillas×ストレイテナー
go!go!vanillas presents READY STEADY go!go! vol.04
2017.5.5 at 赤坂BLITZ
童心をガソリンにハッピーをまき散らす情熱の暴走特急
取材・文:沖 さやこ
撮影:浜野カズシ
go!go!vanillasが2014年から毎年5月5日(=go!go!の日)に開催している自主企画対バンイヴェント「READY STEADY go!go!」。第1回目は忘れらんねえよとTHE ORAL CIGARETTES、第2回目はSAKANAMON、第3回目はUNISON SQUARE GARDENを迎えて開催され、今年はストレイテナーとのツーマンが実現した。ストレイテナーのフロントマンのホリエアツシはgo!go!vanillasのニューアンセム【おはようカルチャー】のプロデューサー。そんなバンドに対して「いま最も対バンしたいバンド」と勝負を挑めるバニラズの心意気は非常に気持ちがいい。
先攻ストレイテナー。メンバーが配置につくと、おもむろにホリエがギターを弾きだし、それに合わせてあとのメンバーも音を出していく。レゲエ風のゆったりしたイントロから、大山 純のムーディーなギターソロ、ナカヤマシンペイの日本人離れした迫力のドラミング、日向秀和のメロディアスなベースラインが重なり、僅かな導入の演奏だけでも感じ取れるバンドの凄みと音の説得力に感服だ。【From Noon Till Dawn】ではスリリングなアンサンブルで魅了、【Super Magical Illusion】ではユーモアの効いたハイセンスなフレージングが爆発する。メンバー全員のプレイのひとつひとつが自立し、等しく存在しているという、音楽ジャンキーの大人たちによる真剣な遊びはさすがのグルーヴ。大人の余裕がありながら、瑞々しい少年性も失わない。観客もその音に突き動かされるしか道はなかった。
メロディの美しい【DAY TO DAY】を壮大に届けたあと、ホリエが「踊ろう赤坂BLITZに愛を奏でて」「go!go!vanillasに捧げよう愛のダンスを」と歌い都会的な匂いが立ち込める【Alternative Dancer】へとつなげ、クールに決める。曲ごとに異なる景色を見せるドラマチックなセットリストに、助手席に乗って知らない街をドライブするのと似た心地よさと高揚を感じた。ホリエがメンバー紹介をしたあとに「いちばん有名な曲をやります(笑)。知っていたら一緒に歌ってください」と呼びかけて演奏したのは【Melodic Storm】。色褪せない名曲で会場を染めると、センチメンタルで甘酸っぱいポップナンバー【シーグラス】で包み込み、【TRAIN】でフィニッシュ。彼らの悪ガキ魂はこの先も消えないままなのだろうなと思わせるフレッシュで痛快な荒くれ感だった。ラストは4人で横一列に肩を組み深々と頭を下げる。最初から最後まで“この4人でストレイテナー”を貫いたステージに圧倒された。
青いライトに照らされたステージにElectric Light Orchestraの【Mr. Blue Sky】が流れ、ゆっくりとgo!go!vanillasのバックドロップが降りてくると、go!go!vanillasのメンバーが一斉に勢いよく駆け込んできた。フロントマンの牧 達弥が「日本でいちばん楽しいこどもの日にしようぜ!」と呼びかけると、1曲目は【マジック】。ジェットセイヤは立ちあがって観客に訴えかけるようにドラムを叩いたり、ベースの長谷川プリティ敬祐とギターの柳沢進太郎もステージを駆け回り、時に向かい合ってプレイと、メンバー全員がご機嫌で、ひたすらに全員の音が堂々としている。続いての【バイリンガール】はライヴの終盤かと錯覚してしまうほどの多幸感。観客も彼らに負けないほどエネルギッシュで、全身からgo!go!vanillasへの愛が溢れだしていた。
MCで牧が「今日の早朝に呪いのビデオが公開されたでしょう? それを見るとみんな子どもになっちゃうんだよ」と、企画・監督・撮影・編集などすべてをジェットセイヤが担当した【Ready Steady go!go!】のMVの話題に触れ、同曲を宇宙初演奏。続いての【ヒンキーディンキーパーティークルー】は、スピードが落ちるどころか加速する一方。どこから電源供給されてるのだろうか? と思うほどメンバー全員エネルギーはマックス、進太郎が最近購入したというギブソンのファイヤーバードも火を噴きまくる。「まだまだ熱くさせるぜ!」という牧の言葉に思わず「まだまだ熱くなるの!?」とひとりつぶやいてしまったが、彼の言葉は本当だった。タオルを取り出すように促した【ヒートアイランド】はフロアの前から後ろまでタオルが旋回。彼らに絶えずパワーを供給しているのは間違いなく観客で、この観客から燃え上がる炎は間違いなくステージの上の4人が起こしているものなのだと視覚的にも痛感した瞬間だった。観客の熱量と愛情を一身に受けつづける彼らには、怖いものなんて何もないのだ。
1stフルアルバム『SHAKE』収録の【ニューエイジ】、繊細なプレイが際立つ甘酸っぱいロックナンバー【セレモニー】のあと、5月17日リリースのニューシングル曲【平成ペイン】へ。プリティは小さく切った黒いガムテープを鼻の下に貼って同曲MVの“プリティ首相”に扮し、観客もサビのフリを完璧に躍りこなす。「赤坂、もっとむちゃくちゃなことやろうか! バニラズ名物、全員ヴォーカル始めるぞ!」とプリティが叫び【デッドマンズチェイス】をぶちこむと、全員がスーパーマリオで言うところのスターをゲットしたような無敵っぷり。弦楽器隊3人がステージを駆け回り、センターのマイクで一斉に歌う姿も熱くて眩しい。【カウンターアクション】ではセイヤがシンバルでドラムを叩いたり、進太郎はひっくり返ったりとやりたい放題。本編ラストの【ギフト】は牧が「また会いましょう」という気持ちを込めて大切に歌いあげ、楽器隊も清々しい笑顔を浮かべる。ハッピーエンドの映画のエンドロールを見ているような気持ちになった。
アンコールではバニラズのメンバーが日向から何度も山登りに誘われるもタイミングが合わず実現していないことを受けて【ライクアマウンテン】を演奏し、未発表の新曲を投下するという太っ腹のサプライズをプレゼントする。そのあと牧が「俺たちにはまだ大切な1曲があります。特に今日は“この曲なくては終われない”という曲がありますよね、みなさん! でもこの曲は俺たちだけで作ったんじゃないんだよ。この曲には欠かせないひとがいるんだよね」と言い、ホリエアツシをステージに呼び寄せた。
ホリエの手には鍵盤ハーモニカ。「こどもの日だから子ども仕様」という粋な計らいだ。「今日はホリエさんと一緒に“おはよう”したいと思うんですけど、いけますか!」と高らかに牧が叫び、ホリエが鍵盤ハーモニカソロを吹き、そこに4人がゆっくりと音を重ねて、【おはようカルチャー】でこの日を締めくくる。会場中から巻き起こる伸びやかで力強いシンガロング。歌うという行為は不思議なもので、そのひとが歌った歌は、そのひとの歌になるのだ。【おはようカルチャー】は明らかにこの会場にいた全員のアンセムになっていた。
ホリエもMCで言っていたとおり、音楽にかかわらず様々なイヴェントが多いゴールデンウィークで毎年自主企画ライヴを打つのは容易なことではないだろう。だが「ライヴハウスが最強だと思う」と語る牧の姿からも、自分たちの力で自分たちの音楽を発信するという強い意志を感じることができた。ステージに残ったセイヤが「大人になんかなるなよ。いつも胸にティーンネイジャーの心を! ロックンロール!」と叫び、バック転を3連続、側転もぶちかまして去る。最後の最後まで非常に胸がすくステージだった。“go!go!vanillasのカルチャー”の芽吹きは、もう始まっているのではないだろうか。
◆SETLIST
go!go!vanillas presents READY STEADY go!go! vol.04
ストレイテナー
01 From Noon Till Dawn
02 Super Magical Illusion
03 KILLER TUNE
04 DAY TO DAY
05 Alternative Dancer
06 月に読む手紙
07 原色
08 Melodic Storm
09 シーグラス
10 TRAIN
go!go!vanillas
01 マジック
02 バイリンガール
03 ティーンネイジャーノイズ
04 Ready Steady go!go!
05 ヒンキーディンキーパーティークルー
06 ヒートアイランド
07 ニューエイジ
08 セレモニー
09 平成ペイン
10 デッドマンズチョイス
11 カウンターアクション
12 ギフト
encore
13 ライクアマウンテン
14 新曲
15 おはようカルチャー(with ホリエアツシ)
◆go!go!vanillas Tour Information
go!go!vanillas Tour 2017
2017年9月9日(土)横浜 Bay Hall
2017年9月10日(日)水戸 LIGHT HOUSE
2017年9月16日(土)熊谷 HEAVEN’S ROCK VJ-1
2017年9月17日(日)高崎 club FLEEZ
2017年9月23日(土)神戸 Chicken George
2017年9月24日(日)滋賀 U-STONE
2017年9月28日(木)浜松 窓枠
2017年9月30日(土)長野 CLUB JUNK BOX
2017年10月1日(日)金沢 EIGHT HALL
2017年10月6日(金)仙台 Rensa
2017年10月8日(日)秋田 Club SWINDLE
2017年10月9日(月祝)盛岡 Club Change WAVE
2017年10月21日(土)高松 MONSTER
2017年10月22日(日)高知 X-pt.
2017年10月26日(木)米子 laughs
2017年10月28日(土)広島 CLUB QUATTRO
2017年10月29日(日)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2017年11月9日(木)宮崎 SR BOX
2017年11月11日(土)熊本 B.9 V1
2017年11月12日(日)福岡 DRUM LOGOS
2017年11月18日(土)札幌 PENNY LANE 24
2017年11月19日(日)札幌 PENNY LANE 24
◆go!go!vanillas Release Information
go!go!vanillas『平成ペイン』
2017.05.17 Release
01 平成ペイン (フジテレビFODオリジナルドラマ「&美少女 ~NEXT GIRL meets Tokyo~」主題歌)
02 Ready Steady go!go!
03 カントリー・ロード
8,200枚完全限定生産盤(CD+DVD):VIZL-1160 ¥1,800 + 税
通常盤(CD):VICL-37268 ¥1,200 + 税
◆More Information
・go!go!vanillas official site
・ストレイテナー official site