音楽を諦めたblgtz・田村昭太はなぜステージに帰ってこれたのか――4年半で得た自信と新たな発想
◆4年半何もしていなかったから、いまの気持ちになれた
――4年半ぶりのライヴは振り返ってみていかがでしたか?
気負いもなく、いままでやっていた曲を演奏した……こうやって喋ってるのと全然変わらない感覚でしたね。舞い上がることもなく、緊張することもなかった。一緒に演奏してくれる人がいないんじゃないかと思ったから(笑)、最悪ひとりでやるかなー……と思っていたんですけど、以前のサポートの3人が力を貸してくれて。でも焼き増しをしていても仕方がないので、ライヴを始める前からこの先を見ていましたね。これまでもCD 1枚1枚でやっていることや取り入れているもの、やりたいことは全然違ったので、これからもっと変わっていくんじゃないかと思ってます。
――わたしもblgtzのライヴを観たのは4年半ぶりでしたが、久しぶりに観たという感覚はあまりなかったんですよね。4年半は空白ではなく、田村さんが過ごしてきた4年半という時間を経たステージだったとも思いました。
でも、4年半って大きいですよね。活動してなかった間の自分に価値を置いていなかったことが、いま良い影響を与えているんじゃないかと思います。音楽家として腹をくくっているという小さい話ではなく、いち個人としてくくっているから動じないという、変な自信はあるんですよね。一度ドライな気持ちになって切っているぶん、いまは「バンドじゃないとだめだ」という考えは一切なくて。もっともっとパーマネントな感じで(音楽活動を)やっていくんじゃないかと思いますね。誰が録音に参加してくれてもうれしい――それくらいはどっしりした気持ちにはなっています。
――誰とでも活動ができるというのは、個人活動の強みですからね。活動ペースも自分次第ですし。
実際休止してる時間のほうが長いかもしれない(笑)。でも4年半何もしていなかったから、いまの気持ちになれたんだと思いますね。先のことを考えていたわけではないんですけど。音楽はライフワークというか、人付き合いと同じようなものになっている。
――共生できているということかもしれません。
たぶんそうだと思います。まだなにか始まっているわけではないんですけどね(笑)。
――いやいや、そんなことはないでしょう。ステージに帰ってきただけでなく、次のライヴとリリースのアナウンスもなさっていますし。
取り敢えずやる、出すとは書いたけれど、まだ何も決めていないので。自分を追い立てるためにアナウンスしたというか。頑なな独立志向――それで苦しんできたところもあるけれど、やっていきたいことを貫こうかなと思って。いつでも出せることが強みにもなる。海外のDJのシングルは録って1週間くらいで世に出したりするんですよね。そういう速度でできるところまでは変えたほうがいいかなと思っています。