タカナミ【金夜の社会】

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タカナミ-金夜の社会(Official Music Video)

読者さんやアーティストさんからおすすめしていただいたMVを毎日紹介する「紹介されたMV紹介チャレンジ」DAY29は、ようこさんからおすすめしていただいたタカナミの2019年に公開されたMV。同年4月にリリースされたEP『TUNAGU』の1曲目に収録されている楽曲です。

タカナミは北海道釧路市出身の凌さんを中心とした4人組ロックバンド。2018年春より凌さんが弾き語りを始め、ネットで公開したデモ音源が話題に。2018年9月にバンド形態で始動。2019年には『RO JACK』に優勝し、その夏『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』に出演を果たします。ノイジーなギターや爆発力のあるリズム隊といったパンク寄りのサウンドに、甘酸っぱくてロマンティックなメロディ、センチメンタルな匂いを宿すヴォーカル、青春の日々や葛藤が激情的に綴られた歌詞が光るバンドです。

【金夜の社会】はその言葉のとおり金曜の夜の青春を綴った楽曲で、MVにはレトロな画質で女子グループ、男子グループの金夜の社会や、メンバーさんが文字まみれの部屋のなかで歌うシーンが映し出されていきます。写ルンですとか8ミリビデオとかそういう類の画質で封じ込めると、どんな時代のものも思い出になる感覚がありませんか? 【金夜の社会】のMVも、今なんだけど今じゃない感じが交錯するところに青春の刹那感や、若者の生き急ぐ感覚がぎゅっと詰まっている気がします。

気の合う仲間と一緒に遊ぶことで生きていることを感じられる。遊び場が居酒屋、コンビニの前、ショッピングモール、道端、自宅、はたまた公園といった超身近で素朴な場所であっても、気の合う仲間といれば特別な空間。そんな仲間と朝まで一緒に楽しむ時間はまじで最高で、いつかこんな日も終わってしまうことをわかっているからこそ、それに抗うように《どうかこの夜だけは好きにさせてくれ》と願う。喜びと悲しみがない交ぜになった感情と、前述のレトロな画質の相性がこれでもかというくらい胸を締め付けます。10代の子たちにとっては「こんな青春を送ってみたい」という憧れにも映るんじゃないかな。プリクラ撮る前に化粧直しするシーンが生々しい笑

あとこのMVでシンボリックなのが「文字」です。歌詞も激しくうねる文字で綴られ、メンバーが歌って演奏するシーンでは文字の域を超えて絵のように見えるカラフルな言葉たちで埋め尽くされていたり、メンバーの身体に文字が描かれていたりと、言葉の存在感も強い。心の叫びが文字となり暴れ出す様子は、バンドのアティテュードの可視化なのかも。体当たりする人間たちの息づかい、汗、興奮が文字を通して、画面を越えて飛んでくるようでした。

最近はなかなかこんな金夜の社会を送ることができない状況で、あの夜もあの夜も思い出になってしまいそうで寂しくなる瞬間もありますが、その思い出があることで日々を生きることができるのも確かです。この夜を何度も越えた先にある金夜の社会は、どれだけ素晴らしいものだろうか――といまからわたしもとても楽しみです。また気の合う仲間としょうもないことで笑い合いたいですね。

タカナミは明後日、5月17日の夜に配信ライヴを開催予定なので、こちらも併せてチェックしてみてください。ようこさん、おすすめありがとうございました!(沖 さやこ)

 

◆Include Album on Spotify

Artist Page – タカナミ

◆Artist Information
https://taka73band.jimdofree.com/
https://twitter.com/taka73_band

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