PK shampoo 【京都線】

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【MV】京都線/PK shampoo

読者さんやアーティストさんからおすすめしていただいたMVを毎日紹介する「紹介されたMV紹介チャレンジ」。DAY38はナミさんからおすすめしていただいた、PK shampooの2018年公開のMVです。

MV4部作のうちの第2作目。1作目の【星】ではメンバーが街を歩くシーンに高速スクロールされるネットの書き込み、この【京都線】ではアニメ映像をノイジーに取り入れたカラフルな映像に仕上げ、中島らもの小説から取られたであろうタイトルである3作目の【空のオルゴール】では古いゲームセンターでのシーンをレトロな色味で収め、4作目の【神崎川】はヤマトパンクスが酒を飲んだり煙草を吸いながら街を歩き回るシーンをモノクロで捉える。4作観てみるとよりじっくりバンドの精神性に入り込めると思います。

【京都線】は実際6分超えの曲なんだけど、このMVは3分で終了して【空のオルゴール】へと続いていきます。MVは楽曲の世界観を辿りながらも途中で楽曲と分岐して【空のオルゴール】方面へと進んでいくという、手法も意外性があって面白いですね。途中で分裂して行先が分かれる電車みたい。

というのもあってMV面で言うと【星】と【空のオルゴール】のつなぎみたいな意味合いもあるんだけど、そのぶん4作のなかでいちばんカオティックな印象もあります。『フリクリ』や『うる星やつら』のアニメ映像だけでなく、VHS画面の表示やゲーム画面の表示、激しく揺れる殴り書きされた歌詞が入り乱れて、極彩色で繰り広げられていく無秩序でノイジーな映像は、4作のなかで最も観念的かも。それこそ歌詞にあるような《君がいない夜って 何してたんだろうな/思い出せないまま 夜明け》という焦燥感がそのまま映像になったような。

PK shampooのMVはどれも音楽同様に心や脳に直接はたらきかけてくるというか、楽曲の精神性をダイレクトに表現していると思います。そして心臓から鳴っている音楽は、聴き手の心臓のなかで響くんだろうなと。それは酒に酔うような、ヤニクラみたいな状態でぼんやり見上げる煙のような、ライヴハウスで音を浴びて身体が浮く感覚になるような、ちょっとした麻痺に近い快感なのかもしれません。叙情的な激情は、ひとりの夜を味わうアテにぴったりですね。ナミさん、おすすめありがとうございました!(沖 さやこ)

 

◆Include Album on Spotify

Artist Page – PK shampoo

◆Artist Information
http://pkshampoo.com/
https://twitter.com/pkshampoo

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