ココロオークション『魔法みたいな / Tegami』『スーパームーン / Together』

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SINGLE
ココロオークション
『魔法みたいな / Tegami』
2021.05.22 release
『スーパームーン / Together』
2021.06.11 release

 

NikkiとTegamiが導いた
「大切な人や日々を想う」ということ

 

様々なものと隔たりを取る必要がある2020年代。自分の身の回りの生活や、生き方をあらためて見つめ直す人は増えたのではないだろうか。焦燥や不安を感じるいっぽう、これまで当たり前だったものの尊さや微かな優しさに気付くことも、なかなか会えない誰かに想いを馳せるなかで目に見えないものを信じることも、少しずつ増えてきた。それは過去の自分が生きてきた証が、現在の自分を支えてくれていることと同義と言っていいだろう。

ココロオークションの2ヶ月連続リリースシングルにも、そういった趣を感じさせる4曲が揃っている。2021年に始動した楽曲プロジェクト〝Nikki〟と〝Tegami〟のもと制作された楽曲を収録した5月リリースの『魔法みたいな / Tegami』、昨年制作された2曲を収録した6月リリースの『スーパームーン / Together』。それぞれ異なる出発点でありながらも、いま我々の目の前にある日々をより趣深く照らしてくれる楽曲が揃った。

「魔法みたいな」は粟子真行(Vo/Gt)が約1ヶ月間毎日Tumblrで日記をつけるのと並行して、リスナーからも〝日常〟をテーマにした日記を募集し、それらをもとに歌詞を制作した楽曲。魔法みたいなことは起きない日々に一喜一憂しながらも、道行く花の美しさや頭上に広がる青い空などに心を奪われ、魔法みたいなことを集めようと奮起していく人間の姿が描かれている。


ココロオークション『魔法みたいな / Tegami』

《ピアノの前でにらめっこ 思いつくまではやめないぞ/白と黒を行ったり来たり 僕だけのメロディー降りてこい》というラインは、まさにソングライターの生々しい苦悩。愛嬌のある言葉選びだからこそシリアスに響かないが、実際はどんな心境なのだろう? そんなことを考えながら曲作り中の彼の姿を想像していくと、ふと自分のなかにも生きる意欲が湧いてきた。跳ねたリズムと瑞々しい音色たちで作り出されるサウンドは、軽やかさと力強さを併せ持ち、日々を懸命に生きる人への祝祭のように鳴り響く。《咲くかどうかわからぬ花に/水をやる意味はきっとある》――そんな願いを確信に変える、その名のとおり魔法みたいな楽曲だ。

「Tegami」は大野裕司(Ba)が架空の男女の文通を実際に手書き文字に起こし、それをもとに制作されたミディアムナンバー。男性の言葉と女性の言葉で細やかに表現を変えるボーカルも相まって、ドラマ性の高い楽曲に仕上がっている。とある理由で会うことが叶わないふたりの親密な愛情を混じりけなく彩るのは、シンフォニックなシンセと夜空に浮かぶ星のように静かに佇むピアノの音色。手紙に宿るロマンを丁寧に紡ぎ出している。2曲は日記と手紙の対極性を浮かび上がらせつつも、「魔法みたいな」は受け手からすればココロオークションからの手紙のようで、「Tegami」はふたりの間に生まれる愛情を記録した日記のようにも映る。そんな乱反射が、日々の何気ない日常をより豊かに育んでくれるようだ。

「スーパームーン」は、ライブのできない状況下で粟子が「みんな元気かな?」と考えていたら溢れるように言葉が出てきたという、80’sがほのかに香るポップソング。浮遊感や柔らかさを感じさせつつも、地に足のついたサウンド感は、追いかけても追いかけても遠くで光を灯す月のムードとよく合致している。月を通して遠くの誰かを想う、あの人もこの月を見ているかもしれないと想いを馳せるという古から生き続ける価値観を、スーパームーンという現代的な言葉でまっすぐ表現しているところもキャッチーでロマンチックだ。〝会いたい〟という気持ちを、哀しみではなく日々の活力として昇華しているところに、ココロオークションというバンドの性質が表れているような気がする。


ココロオークション『スーパームーン / Together』

2020年末に羽田空港で行われたライブで初披露された「Together」も、〝会えないなかでもあなたとはつながっている。なぜならばこうして想っているから〟というメッセージが込められている。そのストレートで自然体な〝想うこと〟の大きさを、リスナーへ軽やかに届けられるのは、民族音楽を彷彿とさせるドラムの響きと煌びやかな朝露のような透き通るサウンド感あってこそだ。

粟子作詞の「スーパームーン」では《ひとりじゃないような 気持ちにさせてくれた光》、大野作詞の「Together」では《ひとりぼっちじゃないよ 僕らいつでも繋がってる》と、表現方法や視点などは違えども通ずる思想が綴られている。それはバンドの強度であり芯になるものとも言えるだろう。つまり彼ら4人は、ココロオークションという同じひとつの生命体へと命を吹き込むことができるということ。それは4人全員がココロオークションを想うからこそ、ココロオークションを通して誰かを想うからこそ成し遂げられるのだろう。

『Memorandum』以降、楽曲が軽やかになるのと反比例するかのように、物語や思考の密度を高めているココロオークション。彼らによるライナーノーツや、細部までこだわり抜かれたCDというパッケージ、楽曲から派生したアイテムに触れてみると、より楽曲の奥深さに気付けるはずだ。我々の停滞した日常に心地よい風を吹かせてくれる『魔法みたいな / Tegami』と『スーパームーン / Together』。目の前にあるもの、心のなかにあるものを一つひとつを味わうところから、わたしたちの生活の豊かさは始まっていくのかもしれない。(沖 さやこ)


ココロオークション「スーパームーン」Official Music Video

 

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interview:ココロオークションが明確にした自分たちの本質――バンドの新章開幕を告げる『Memorandum』(2020.11.4 up)

◆Release Information
ccr_magic_jksg『魔法みたいな / Tegami』
2021.05.22 RELEASE
¥1,300
[Track List]
1. 魔法みたいな
2. Tegami
CD:https://ccrumbrella.thebase.in/items/44796227
DG:https://linkco.re/aeG4h2bA

ccr_moon_jksg『スーパームーン / Together』
2021.06.11 RELEASE
¥1,300
[Track List]
1. スーパームーン
2. Together
CD:https://ccrumbrella.thebase.in/items/44796282
DG:https://linkco.re/dmRcfpTS

◆Spotify

Artist Page|ココロオークション

◆More Information
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