Beyoncé 【Formation】

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Formation (Dirty)

昨今アメリカ社会で問題になっている黒人差別の問題をうけて生まれたスローガン「Black Lives Matter」(ブラック・ライブズ・マター、黒人の命も大切だ)の想いを込めたメッセージ性の高い曲で、MVは2005年に起こったハリケーン・カトリーナで甚大な被害を受けたニューオリーンズが舞台。また、冒頭ではその時の被害を彷彿とさせる水に沈んだ家屋、そして沈みかけたパトカーの上にはBeyonceが。(当時はイラク戦争を行っていたブッシュ政権下で、災害被害対策の要員が削減されていたことや、様々な要員が重なり、対策が大幅に遅れたこと、そしてブッシュ前大統領の対応の杜撰さ、貧困層が多かったこと、黒人が多く住む地域だっから、と、対応の遅さは差別からでは?とも言われ大きな問題になっていました) さらに、昨年12月に黒人男性のマリオ・ウッズさんが警察に射殺された問題を連想させるシーンや、黒人の子供がひとりで武装警官たちの前で踊るシーン、「Stop Shooting Us」と書かれた壁……と、黒人の差別問題と社会に問い掛ける内容になっています。

「黒人としての誇りを」と歌う彼女に、「生粋の黒人ではない彼女が黒人の誇りを歌うの?」という批判的なコメントもありますが、この問題において人種や肌の色は関係がないと思います。

同曲ですが、中指を立てたシーンにモザイク処理とF用語を伏せたクリーンバージョンのMVもアップされています。また、先日行われたNFLスーパーボウルのハーフタイム・ショウにColdplay、Bruno MarsとともBeyonceも出演。その前日に急遽新曲【Formation】をリリースし、同曲をパフォーマンスしたことでも話題になりました。その時の衣装は1993年にハームタイム・ショウを行ったMichael Jacksonが着ていた衣装を模したもので、バックダンサーは黒人民族主義運動、黒人解放闘争を行っていたブラックパンサー党を意識した衣装を纏っていました。このことで「政治的だ」との批判も起こりましたが、祭典のショーにこういったメッセージをエンターテイメントと織り交ぜて伝えるBeyonceの勇気、そして、その背景を踏まえたうえで見るColdplayとの共演は、争いや政治ではなく、共存を訴える力強さを感じました。そして、彼女がこういう場で、ここまで強く訴えないといけないと、問題が有耶無耶にされてしまうのかな、とも思いました。それらを踏まえて、MJのライブ衣装を模した衣装に身を包んでいる、と考えると、また考えるものがあります。

MVは夫であるJay-Zが運営している音楽ストリーミングサービスの「TIDAL」と、YouTube(VEVOのアカウントではなく個人のYouTubeのアカウント、そしてリンクを知っている人のみが見れるという限定公開)にて公開されています。作曲者はMiley CyrusやKanye Westのヒット曲を手がけているMike Will Made-Itで、MVの監督は2013年12月に発売し大ヒットを記録したBeyonceのアルバム『Beyonce』収録の【Pretty Hurts】を手がけているMelina Matsoukasです。

また、【Formation】はTIDALにて、メールアドレスと氏名を入れれば無料でDLできます。
http://beyonce.tidal.com/

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