INTERVIEW OF CHICKEN ~臆病者2人の取材スタイル~ ONE TONGUE SUMMIT #4

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INTERVIEW OF CHICKEN ~臆病者2人の取材スタイル~

東京と神奈川を中心に音楽ライターとして活動している沖さやこと、福岡で情報誌の編集をし、エンタメ界に幅広く精通しているふくこと福島大祐が、タイムリーな音楽事情を語り合うコラム「ONE TONGUE SUMMIT」。今回のテーマは「インタヴュー」です。インタビューとは、ふたりかそれ以上の間での会話で、一方が他方に質問をして情報を得るために行われるもの。でも質問だけで本当に成り立つものなのかというとそうではないところがインタヴューの奥深さです。社交性がありあまるタイプではない編集者ふくとライター沖、それぞれのインタヴュースタイルとは?

 

◆地方キャンペーンは“お・も・て・な・し”の精神で?

ふく フリーの沖さんと会社員の僕ではだいぶやり方が違うでしょうね。僕の場合、音楽や映画の取材は先方の地方キャンペーンありきなので、同じ人でも年に1回ぐらいなんですね。なのでなかなか信頼関係を築いていくのは難しいんです。その「年に一度」を積み上げて話しやすくなった方々もいますが、毎回新鮮な気持ちで取材しています。

 シングルでもメディア展開があったり、こまめにライヴにお誘いしていただいたりする場合は「月イチペースかな?」と思うくらいお会いします。でもそういうアーティストさんは本当にまれですね。わたしは口下手なので原稿のほうが真意を伝えやすいところが多いです。ところで、前にふくさんとお話したときに、ふくさんは「うちは音楽専門誌ではないから、インタヴューはまず楽しんでもらうことを考えている」とおっしゃっていましたよね。具体的にはどういう方法でしょう?

otsm_interwiew1ふく たとえばまず取材場所自体を福岡の名所やその時に面白いスポットで行ったりします。実家が喫茶店だったサカナクション山口さんは、福岡で全国区レベルの知名度がある喫茶店でロケしたり、福岡出身のクラムボン原田さんは地元の名物うどん屋『ウエスト』で取材したり、「全国いろんなところでナポリタンを食べたけど、福岡の○○という店のナポリタンが一番美味い!」と発言していた吉井和哉さんの取材はそこでしたり。

 それはタウン誌や商業誌ならではすぎる。ワンタンでもそういうことやれたらいいなあ。

ふく 地方キャンペーンならではかもしれませんが、アーティストは音楽専門メディア以外から取材を受けることも多いんですね。僕が制作しているのもタウン情報誌なのであくまでも街ネタが中心です。なので、向こうのテンション的にも「この人は自分のことをどれぐらい知っているんだろう」という懸念があるかも……と思っていまして。実際に取材対象者をあまり知らずに取材する人もいるようです。それでキャンペーンに来られた方に、「話すのはこれぐらいでいいだろう」なモードで話されるのが嫌なので、「自分はこれぐらい普段からあなたの活動を追っています。それを踏まえて今日はいろいろ話しましょう」ということを何気にアピールしますね。その人の最近の活動について質問したり感想言ったり。バンドならそのバンドのTシャツを着ていったこともあります。

 お相手の最近の活動についてコメントするのはわたしも結構します。ネットストーカーばりに逐一チェックしてて(笑)、相手をドン引きさせることもしばしば……。20代のときはその加減が難しくて、アーティストスタッフに「こいつはうちのバンドマンを狙っている!」と誤解されることも多かったです。全然そんなつもりなんてないのに。でも30代になってからパタッと言われなくなったので、ラクになった反面、一抹の悲しさもあります(笑)。

ふく それに加えて、これは邪道かもしれないですが、たとえばその人がTwitterでモンハンについて発言していたりしたらしばらくその話をしてみたり、ミュージシャン相手でも音楽の話以外をしてみたり、脱線してでもその人が楽しんで話せることを掘り下げてみたりします。

otsm_interwiew2 あ、それはわたしもやります!(笑) あとは、やりすぎると逆効果になるので見極めが大事ですけど、自分の身の上話を入れ込んだりします。ライターは芸術家ではないけれど、表現者としてはアーティストとシンパシーを感じることがあるので。

ふく 隙あらば相手を笑わせたいというのもありますね。これは自分のあらゆる取材で大切にしていることかもです。笑いは最高のコミュニケーションだと思うので。周囲のスタッフは「はよ新作の話をしろ!」とか思ってたりすると思うんですが(笑)。

 ははは、あるあるですね(笑)。でも実は脱線や余談は大事なんですよね。その内容は記事にできなかったとしても、その内容を経て出てくる言葉って必ずあるし、それが核心的であることも多いと思います。

>> ライターも緊張するんです。

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