リスナーがリリィ、さよなら。に与えた変化――3ヶ月連続リリース配信シングルを紐解く

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s_lily_A_201604リスナーがリリィ、さよなら。に与えた変化
3ヶ月連続リリース配信シングルを紐解く

取材・文:沖 さやこ

 

昨年セルフタイトルの1stミニアルバムで全国デビューを果たし、2ndミニアルバム『ハッピーエンドで会いましょう』に収録された【フラッシュバック】が首都圏ラジオ7局スーパープッシュに選出されたことで、幅広い層へと知名度を高めたリリィ、さよなら。。彼が6月22日に3rdミニアルバム『どうして君は世界で一人』をリリースする。そのリリースに伴い、ワンタンマガジンではまず4月から3ヶ月連続でリリースされる配信シングル【春色の彼女】【シアワセな機械】【花びら】についてのインタヴューを行った。より色鮮やかになるリリィ、さよなら。の楽曲の背景にあったのは、環境の変化であった――。

 

lily_pomeリリィ、さよなら。
作詞作曲家でもあるヒロキのソロプロジェクトとして2013年より活動を開始。2013年11月【約束】を、2014年1月末に【ナイト・トレイン】を配信リリース。2014年7月~10月に放送されたテレビ朝日「musicるTV」内コーナーの音楽作家塾に出演。その時に創った【EBiDAY EBiNAI】が超特急のシングルとして2014年11月12日に発売され、作家としてデビューを果たす(オリコンウィークリーチャート7位を記録)。2015年2月25日1stミニアルバム『リリィ、さよなら。』をリリース。文化放送「LISTEN? Live 4 Life」2月度後期エンディングテーマとして再度起用されるなど、各所で評判を呼ぶ。3月21日渋谷gee-ge.、3月29日熊本B.9 V3で行われたワンマンライブは両日共にソールドアウト。10月には大阪MINAMI WHEEL 2015に出演し、2ndミニアルバム『ハッピーエンドで会いましょう』をリリースする。同作のリードトラック【フラッシュバック】が「2015年度首都圏ラジオ7局スーパープッシュ!」に選ばれ、大量オンエアされる。11月12日にはアルバムリリース記念ライヴをSHIBUYA duo MUSIC EXCHANGEにて開催、大盛況に終わる。「セカンド思春期」をコンセプトにした、等身大でリアリティ溢れる、私小説のような詞の世界観は、早耳のロックファンやSSW系、ニコ動系など、ジャンルに囚われず、様々なシーンから注目されている。

 

◆リリィ、さよなら。は【フラッシュバック】でようやく始まった

――取材日は4月下旬です。ヒロキさんにお会いするのは約半年ぶりですが、いかがお過ごしでしょうか。

……湘南の暴走族なんか目じゃないくらい人生暴走してます(笑)。大学もエキシビジョンに突入してロスタイム! 学生と何かで二束のわらじの人たちはたくさんいて。その人たちがどういうふうにやりくりしてるかわからないですけど……無理!!

――エキシビジョンの突入はヒロキさんが音楽活動に励んだことと、ヒロキさんの大学が簡単には卒業できない名門校だということが立証されました(笑)。

ミュージシャンとしてお仕事が忙しくなることは僕もとてもうれしいですしありがたいんです。ただ……両立が本当にきつかった。2ndミニアルバム『ハッピーエンドで会いましょう』に収録されている【フラッシュバック】が首都圏ラジオ7局スーパープッシュに選ばれて、『ハッピーエンドで会いましょう』をリリース後からいい意味で環境がすごく変わったんです。「ああ、リリィ、さよなら。ようやく始まったんだな」という感じがして。

2nd m-al『ハッピーエンドで会いましょう』(2015)

――「ようやく」ですか。

それまでの意識は、僕が音楽を好きで音楽を作って、それがかたちになって世の中に出させてもらう……という素人の延長線上だったなといまだからこそ気付いて。やっぱり、ラジオは車で聴いている人が多いんですよね。だから営業周りの人が聴いてくれたり、奥様やおじさまも僕のことを知ってくれたり、オールナイトニッポンのお目当てのアーティストさんのラジオを聴いてる若い子たちが聴いてくれたり……やっぱりラジオはものすごく幅広い年齢層の方々が聴いているんです。それで一気に広がったことで、2、3人しか来なかったインストアライヴもスーパープッシュが決まってからは全部たくさんのお客さんが来てくださって。6月にリリースされる『どうして君は世界で一人』の先行シングルは、そういう環境の変化が一旦落ち着いた年明けくらいに設けた制作期間で「リリィ、さよなら。は今後どういうことを歌っていけばいいんだろう?」というのを意識して作ったんです。

――今回リリースされている配信シングルの【春色の彼女】【シアワセな機械】はそういう心境の変化から生まれた楽曲なんですね。

【春色の彼女】はもともと1年くらい前に書いた曲なんですけど、今回のリリースにあたってリスナーさんありきで歌詞を加筆修正して、歌を歌ったんです。2ndまでは主観のかたまりで、「俺はこう思った、こうしたい、だから聴け! くらえ!」って感じだったんですけど、今回は聴いてくれる人がたくさんいることをわかっているから……。少しずつ聴いてくれる人が増えることでアーティストはプロになっていくんだなと。相手がいることで自分のことを客観的に見れたりするんですよね。

配信sg『春色の彼女』


――修正する前の【春色の彼女】の歌詞はどういうものだったのでしょう。

小悪魔な相手と、ちょっと報われない僕の話を書いた歌詞なんですけど……最初はもっと愚痴っぽかったんです。ディレクターさんに「これどうなんだろうね~」と言われたときに「これは聴き手からしたらよくわからない歌詞かもしれない!」と気付いて。完全に自己満足でした。そこからちゃんと大衆的な音楽になったので、満足しています。【フラッシュバック】の次の作品で中途半端な曲を出したら、聴く人は「なんだ、あの曲だけじゃん」と思うかな……と思ったんです。

――ものすごいリサーチ(笑)。

エゴサエゴサですよ。アーティストは感性も大事なんですけど、研究とか土台はしっかりしてたほうがいいなと思って。勉強になりますね。傷つくことを言われることもあるけど、最近はリリィ、さよなら。のことを「いい」と言っている人のプロフィール欄に飛んで「この人は他にどんなアーティストさんを聴いているんだろう?」というところまで調べてます(笑)。……【春色の彼女】は本当はちゃんとパッケージのシングルとして出したいと思っていたほどの曲だったので、この曲なら【フラッシュバック】の次のステップが始まるんじゃないかと思ったんですよね。それくらい僕はこの曲をいい曲だと思っているんです。

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