SFP×ハイスイ×Annabelら実力派たちの初期衝動、siraph本格始動

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siraph_mainSFP×ハイスイ×Annabelら実力派たちの初期衝動、siraph本格始動

L→R
照井 順政(Gt)
Annabel(Vo)
蓮尾 理之(Key)

取材・文:沖 さやこ
撮影:溝口 裕也

 

School Food Punishmentのメンバーとして活動後は様々なバンドで活躍中の蓮尾理之、ハイスイノナサのブレインでもありアイドルユニットsora tob sakanaのプロデューサーも務める照井順政、映像作品への楽曲提供をメインに活動してきたアルゼンチン出身のシンガーAnnabelが中心となり結成されたsiraph(読み:シラフ)が本格始動。バンド名を発表した約1ヶ月後、2016年5月18日にリリースされた1stミニアルバム『siraph』は好セールスを記録している。「このバンドでないとやれない音楽がある」――その言葉を立証する今作について、バンドの生い立ちについて、そして未来について訊いた。

 

siraph_Aphotosiraph
Vocal / Annabel
Keyboard / 蓮尾理之
guiter / 照井順政
bass / 山崎英明
drums / 山下賢
VJ / 齊藤雄磨
元・school food punishmentの蓮尾理之、山崎英明、ハイスイノナサの照井順政、Mop of HeadやAlaska Jamで活動する山下賢、ソロアーティストのAnnabelによって結成されたバンド。確かな演奏スキルに裏打ちされた緻密なアレンジによる楽曲達に、ライブでは映像投影を交えて独特の世界観を演出している。
公式サイトTwitter

 

◆このバンドはどんどんメンバーの発想を入れていくのが楽しい

――siraphの母体はAnnabelさんのバンドセットのメンバーで構成されています。2014年にバンドセットでの活動がスタートし、2015年からバンドでの制作がスタートしました。

Annabel 『TALK』(2014年)

Annabel 2014年にAnnabel名義でリリースした『TALK』というアルバムに、蓮尾さんと照井さんが1曲ずつ提供してくれて。そのレコ発ワンマンをVJも含めてバンドセットで行ったのが(※その日のドラムは中村一太)、siraphに至るすべてのきっかけでした。それまではひとりでステージに立って、流れてくるオケに合わせて歌うという形態のライヴ出演が多く、プレッシャーも大きかったんです。だからそれまでライヴに対して積極的な気持ちがなかったんですけど、そのワンマンがすごく楽しくて。振り返ったら演者がいるという環境も生演奏で歌うのもすごく楽しくて、バンドセットライヴを継続してみようと思いました。2回目のライヴからドラムが山下(賢)くんといういまの編成になって、彼は後ろ寄りで大きなグルーヴを作るドラマーさんだから、かなりバンド(のグルーヴ)も変わりました。

蓮尾 それで「このメンバーだからできる音楽を作りたいね」「このメンバーの特性を生かした曲を作りたい」という気持ちが盛り上がっていって。

Annabel ライヴの数を重ねるごとにみんなもどんどん仲良くなっていきました。そのバンドで作った曲をイヴェント会場限定で2015年4月に出したシングル(※『然う然う、の雨』)の2ヶ月後くらいにアルバムとしてリリースする予定だったんですけど、タイミングが合わなくて1年経って――それが今回のsiraphの1stミニアルバムなんです。

蓮尾 この1年間ライヴでも『siraph』の曲はだいぶ演奏してきて。歌とうわものを少し最近録って、リズムとかは『然う然う、の雨』と同じときに録ったものなんです。

――Annabel(BAND SET)からsiraphというバンドになり、変化はありますか?

蓮尾 バンドセットだと僕はサポートミュージシャンになるので、Annabelさんチームが話し合って大枠を決めたあとに意見を出していくんですけど、siraphだと最初からみんなで話し合って決めていく。そこはかなり大きいと思います。それにお互いのこともわかってきているぶん「この前はこうだったから、つぎはこうしたいよね」という話もしやすくなりました。曲作りも楽曲提供のときとは違って、メンバーに任せたりすることもできる。それはバンドならではだと思います。

――照井さんはいかがでしょう。

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Annabel 『然う然う、の雨』(2015年)

照井 僕はハイスイノナサでもひとりで全部しっかり曲作りをするタイプなんですけど、このバンドは自分だけで完結させずに、どんどんメンバーの発想を入れるのが楽しいかなと思っています。最初に書いたのが【想像の雨】(※『siraph』M6。『然う然う、の雨』にも収録されている)なんですけど、そのときにはライヴをやっていくなかでメンバーの特徴をだいぶわかってきていたので、「なるべく余白を残して、メンバーのプレイヤーとしての個性が出るようになったらいいな」「蓮尾くんにはこういうフレーズが似合うな、山崎さんにはこういう動くフレーズを弾いてほしいな」と考えながらコード進行と大体の流れを決めて、バンドに持っていって完成させました。

蓮尾 【想像の雨】は『然う然う、の雨』に収録されているのもあって、ライヴでも結構演奏しているし、演奏するごとに自分たちに馴染んでいくのを感じるんです。照井くんの曲はどれもそうなんですけど、やればやるほど「あ、こんなに柔軟な曲なんだ」と思うんですよね。

――蓮尾さんも照井さんもご自分の世界観に則ってきっちり曲を作る人という印象があったので、siraphでそんな曲作りが実現できているとは思いませんでした。

照井 大人になったのかもしれないですね(笑)。大人になってから組んだバンドだから、いままで凝り固まってた部分も解放したいし。自分の思惑ではないものが入ってくることに対して余裕を持って楽しめるようになりました。

蓮尾 メンバー同士で尊敬している部分があるからそれが許せる。Annabelさんの歌詞も含めて、お互いのセンスを信頼しているんだと思います。だからこのバンドをやっていて楽しいんですよね。

>> このアルバムを作ったことによって、今後siraphはどうするべきかが見えた

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