SFP×ハイスイ×Annabelら実力派たちの初期衝動、siraph本格始動

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◆siraphでしか鳴らせない音を作りたい

――照井さんが考える今後のsiraphとは?

照井 人力の揺らぎのあるグルーヴを大事にしながら、それでいて蓮尾くんがSchool Food Punishmentでやっていたようなキレのある感じや、シンセのデジタル的なサウンドも合わせつつ、最終的な出口はAnnabelさんの歌を生かしたポップなもの……という感じですね。

――新しい音楽を作る。

照井 やるからにはsiraphでしか鳴らせない音を作りたいですね。メンバーのテクニックを活かしたこともやりたいです。あと、siraphでは音楽に物語の要素が入っているものもやっていきたい。Annabelさんの特性を活かした幻想的な部分を積極的に出していきたいです。


siraph Xfade demo

――『siraph』の曲もイントロの印象と曲中の印象がまったく違うものが多いので、物語の要素はとても強いと思います。例えばM5【linotype】はイントロはちぐはぐに音を鳴らしていたギターとピアノが、中盤の展開を経てアウトロでちぐはぐだったふたつの音色が重なって終わる。

照井 そうですね。あの曲は主題があって、中で展開していって、最後に主題に戻って変化する――バロック建築的な作り方というか。ハイスイノナサでやっていたようなカチカチした音をsiraphの生バンドらしい感じで表現できたらなと思って作りました。Annabelさんの歌詞も場面場面にはめてあって、最終的にはすごく物語性の強いものになって。この歌詞が入ってすごく伝わりやすい曲になったと思います。Aメロにタイプライターを思わせる表現を入れて、その流れで幻想的な中盤にも自然に滑り込ませるところはすごいなと。

Annabel ほとんど完成形に近いデモが届いて、イントロのカチカチした音から「タイプライターを叩いているたくさんの女性がいる風景」が浮かんだんですよね。そこからどんどんイメージを膨らませて「つまらない日常を窓辺から見ている」というような内容になりました。歌詞を書くのは、曲の言いたいことを探していくような作業ですね。歌に関してはAメロが結構大変で。ふわっと乗せられたらと思ったんですけど、音の刻み方と音数が少ないぶんかっちり歌わないとリズムが崩れて気持ち悪くなってしまうので、そこには時間が掛かりました。

蓮尾 Annabelさんはどの曲でもストーリー、イメージ、音、すべてが曲にはまる歌詞を書いてくれます。【時間は告ぐ】の歌詞、すごく好きですね。

照井 僕がsora tob sakanaというアイドルユニットに曲を作る際は作詞もしてるんですけど、歌詞ありきで曲を作るんですよね。例えば「さよなら」という言葉を歌ってもらう場合、最高の「さよなら」を歌えるための3分間(の音楽)を作るというようなやり方をしたりします。でもsiraphのときは音楽に注力して、歌詞はAnnabelさんにおまかせですね。

Annabel ……そこがわたしが今後変えていきたいと思っているところのひとつなんですよね。歌詞に関してもディスカッションしたいし、何をイメージしてふたりが曲を作ったのか、もうちょっと拾いたいなって。

siraph_siraph_4――みなさん既に、つぎやりたいことが見えてるんですね。

Annabel 世の中的に「歌詞=バンドの言いたいこと」と捉えられることが多いと思うんです。この歌詞はわたしひとりのイメージで書いたものだから、メンバーはいいと言ってくれるけど歌詞がバンドのメッセージかと言われると違うかも……と思ってるところがあるんですよね。だからみんなで話し合えたらなと。「最高のさよならを演出した歌詞を書いて」と言われれば、挑戦します!(笑)

――新しいsiraph、楽しみにしています。siraphは楽曲制作以外にも、「siraph TV」というネット配信番組を行うとのことで、その初回が6月12日20時に決定しています。

Annabel 高円寺のamp cafeというところで小さなバンドセットを組んで、お客さんにも来ていただいて1時間番組を行おうと思っています。半分はライヴで、もう半分はトークやちょっとした企画を考えていて、できれば月に2回程行えたらと。「siraph TV」は自分たちが面白いと思えることをやれたらいいなと思って企画して。

照井 ネット配信番組ならアニメからAnnabelさんを好きになった人も楽しみやすいだろうし。俺自身めちゃくちゃたくさんライヴに足を運ぶタイプではないので、インターネットで生演奏を見ることができたらうれしいんですよね。だから「siraph TV」は全国にsiraphのライヴで届ける方法のひとつかなと思っています。

――siraphはバンドとしてやりたいことがたくさんある。いろんなところで活躍している方々が集まって結成されたバンドだから、言葉は悪いけれど片手間だと思っていた人もいたと思うんです。でもそんなこと全然なさそうですね。

Annabel 全然ないですね。ここから始まりです。

蓮尾 本気でやってます。

照井 俺も次回作のイメージはかなりできてるし、この取材に来る前にsiraphの曲を1曲作ったし……もう、すごい勢いで曲を作りたい! 早くつぎを出したいですね。

 

◆Release Information

Amazon:siraph 『siraph』
Amazon:siraph 『siraph』(digital)

◆siraph TV information

siraphTV -vol.1-
siraphによる生配信番組の第一回放送。ライヴ有り、トーク有りの1時間。
配信日時:2016年6月12日(日)20:00 – 21:00
出演:siraph

◆more information
http://www.siraph.com/

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