就職希望者に捧ぐ! ライター&編集者の山あり谷ありなリアル ~ONE TONGUE SUMMIT #5

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◆自分のやりたい仕事。だけど……

otmg5_6ふく 福岡は音楽専門の媒体などが本当に少ないので、「雑誌の仕事がしたい」と思っても「音楽に携わる仕事がしたい」とはほとんど考えたこともなかったと思います。夢物語だと思っていたので。現在制作しているのは街の総合情報誌ですので、グルメや物販など街ネタを中心に映画、音楽、舞台などなんでも扱っています。僕は映画ページを作りながら街の取材もしていますが、自分の好きな音楽の取材も少々。こういったエンタメの仕事ができるようになったのは、まずは「好きな人間が取材した方がいい」という社風であったことと、自分の好きなことを周囲にアピールしていたからですね。そうすると周囲がパスを回してくれるんですよ。おかげで今でも“自分の好きなものアピール”はオートで出るようになっています。漫画が好きなので今年の春からは書店の方と漫画について話す月4ページの連載も始めたほどです(笑)。

 4ページ! 多い!(笑) わたしに「ライターを目指しているならうちのイベントで書いてみる?」と声を掛けてくれたかたも、わたしがライター志望だと言い続けてたから憶えていてくださったし、インターン後もアシスタントを続けられたのも、インターンのときに編集部でちょっと話したことがある程度のライターさんが、わたしのPlastic Tree好きとDIR EN GREY好きを覚えていて、卒業後もアシスタントの話をくださったので。アピールは大事ですね。自分の好きな仕事とは言っても、続けるのはなかなか困難なものです。好きゆえにへこむこともたくさんありますし、理想が崩れることもありますし。何よりきついのは金銭面と、社会的な保障が何もないことでしょうか。

ふく 僕はフリーじゃなくて会社員ですけど収入はたしかにきついですよね。大手出版社なら例外もあるでしょうけど、年齢やキャリアに応じて順調に上がっていく仕事じゃないですし、これだけ斜陽の業界なので他力本願な景気の上昇も期待できない。だから優秀な人材は独立して自分で稼いでいってますよね。

otmg5_5 フリーランスで活動しているわたしの場合、お仕事を頂くのは主に編集部さんから直接お話を頂くパターンと、レーベルさんからお声かけいただくパターンのふたつで。ギャランティはピンキリ。とあるインタヴュー8000字の原稿料の10倍の金額をライヴレポートで頂いたこともあります。わたしの仕事内容だと、仕事の量が多いわりにはかなり貧困なので、紛れもなくワーキングプアです。プライベートに割く時間はなかなか取れないですし、貯金はないですし、ナイナイばっかできりがなくて生活するだけでいっぱいいっぱいですね。

ふく この業界って「元○○」とかの肩書が重視されるので、重宝されるクリエイターの二極化が起こりやすい気がします。とにかく人気のクリエイターに仕事が集中するんです。

 そうなんですよねえ。「元○○」とか「○○という商業誌で書いている」とか「レギュラー執筆媒体○本」とか、そういうところで格差をつけられてるなと感じることもしばしばです。わたしはそういうものが何もないんですよね。でも、そういうものがないながらにここまでやってこれた、そういうものがなくてもアーティストサイドさんや読者さんと信頼関係が築けてこれた、というプライドもあります。

>> ライター、編集は華やか or 地味?

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