ONE TONGUE AWARDS 2017

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fukushima_award2017ONE TONGUE AWARDS 2017
福島 大祐による年間ベスト・アルバム10選

大々的に言われることは少ないけれど、いつの間にか邦楽ロックバンドブームになっている昨今。それも玉石混交で、なるべくキャリアや年齢にとらわれず良いものは良いとして汲み取っていきたいものです。世の中的にも2018年からはよりふるいにかけられていくんだろうな。生き残っていくアーティストは果たして……。今回のトップ10のうち5組はライヴも観ることができました。それではどうぞ。

 

10位:ふくろうず『びゅーてぃふる』

ふくろうず「びゅーてぃふる」MV(9/6発売アルバム「びゅーてぃふる」収録)
突然の解散を発表したふくろうず。しかも事前告知はなく「先日の公演がラストライヴでした」という、恐らくハッピーエンドではないであろう形でバンド活動10年の歴史に終止符を打ちました。結果的にラストアルバムとなった本作にも、ポップだけどどこか少しだけ物悲しい脱力感のあるボーカルと美しいメロディは健在。惜しいなぁ。【ごめんね】、【砂漠の流刑地】、大好きでした。

 

9位:Mrs.GREEN APPLE『Mrs.GREEN APPLE』

Mrs. GREEN APPLE – 鯨の唄
わかりやすく【鯨の唄】から新規参入した人間なので語る言葉はあまり持っていないのですが、この曲にはVo.大森元貴の抑揚のあるハイトーン使いが巧みに凝縮されていて、サビに向かっての盛り上がりに胸が高まります。カラオケで歌えたら超気持ち良いやつです。ビビッドな【絶世動物】や包み込むように歌うロックバラード【soFt-dRink】など、ただ高いだけじゃない表情豊かな歌声を堪能できる多面的な1枚。

 

8位:大森靖子『kitixxxgaia』

大森靖子「オリオン座」MusicClip
『キチガイア』というタイトルから変更を余儀なくされ、初っ端からケチがついてしまいましたが、内容は大森靖子らしいカラフルでキャラの濃い13曲が揃った充実盤。賞味期限の短い言葉が次々出てくる刹那的な歌詞なのに、かえってそれがいっそうフレーズのパンチ力を増しているような気がする。【ポケベルが鳴らなくて】と同じパターン。ポケベルて! スランプとは無縁のようで、2017年はアコースティックアレンジのアルバム『MUTEKI』までリリース。弾き語りツアーの福岡公演では早くも来年のアルバム発売を予告していました。彼女のカバーも好きなので(【サイレントマジョリティー】見事だった!)、カバーアルバムも期待したい。

 

7位:ポルカドットスティングレイ『全知全能』

ポルカドットスティングレイ「サレンダー」MV
福岡発であっという間に全国ツアーが完売するほどの人気者に成り上がったポルカドットスティングレイ。同じ女性ボーカルの福岡バンドだと黒木渚(現在はソロプロジェクト)が思い出されるけど、ポルカの勢いはその比じゃないレベルのよう。CDのジャケットを手掛けたりMVの監督まで務めるVo.雫のマルチなクリエイティビティやビジュアルに注目が集まりがちだけど、キャッチー&バラエティを突き詰めた本作はメジャーの1枚目として隙のないラインナップ。どうやら最近上京したようで、今後はより洗練されていくのかな。

 

6位:Maison book girl『image』

Maison book girl / sin morning / MV
メンバー4人のパーソナルな部分にスポットライトが当たることが少ないような気がするけど、それは3拍子や7拍子のノリにくいのに気持ちいいが楽曲、作り込まれたアートワークなど、周囲の大人たちの仕事があまりに効いているせいかな。アイドルを受け皿にして優秀なクリエイターが遊び心を炸裂させた成功例が彼女たちで、本作でもその唯一無二な魅力が満載でした。2017年で言えばBase Ball Bear・小出氏が提供したアイドルネッサンス【前髪】も出色の出来栄えだったな。

 

5位:YUKI『まばたき』

YUKI 『さよならバイスタンダー』
YUKIの「check 1、2…」から鍵盤のイントロへ、そして力強いオープニングナンバー【暴れたがっている】。わずか2分39秒の楽曲からスタートを切るこのアルバムはグッドメロディ満載で、彼女のポップネスの健在っぷりをまざまざと見せつける内容。少女性の中にちょっと不良っぽさを感じさせるお茶目さが好きだな。

 

4位:City Your City『N/S』

City Your City 『neon』
音数の少ないアーバンなトラックと気だるいボーカル。フロアをガンガンに揺らすクラブっぽさではなく、静かに、でもたしかに体が揺れるミステリアスな中毒性に惹かれました。漂う都会的なムードが心地よく、夜に街中を歩きながら聴いているだけでなんだか「軽やかに現代をサヴァイブしている俺!」感に浸れる。ユニット名に「City」が2つ入っているだけある。

 

3位:indigo la End『Crying End Roll』

indigo la End「鐘泣く命」
メジャーデビュー以降傑作しか発表していないインディゴの最新作もやはり素晴らしく、この後に配信リリースされた【冬夜のマジック】もだけど、川谷絵音のファルセットを多用した楽曲は難しそうなのについ口ずさんでしまう。センス溢れまくり。

 

2位:DADARAY『DADAISM』

DADARAY 「イキツクシ」
【イキツクシ】をはじめ、凛として上品なREISの歌声を最大限活かした楽曲が並ぶ。久々に動画サイトで何度も繰り返し再生して堪らなくなってアルバムを買いに行ったのがDADARAYです。ツアーの公演を観に行きましたが、バックバンドやコーラス含めて名手ばかりなので再現性も完璧でした。

 

1位:欅坂46『真っ白なものは汚したくなる』

欅坂46 『エキセントリック』
いつの間にか「笑わないアイドル」みたいなレッテルを貼られて、必要以上にダウナーな世界観に押し込められている気がする彼女たち。しかし、それが故に大きく飛翔したことも否めないのかな。ひらがなけやきがいい塩梅でアイドル性を放出しているのが救いです。デビューアルバムにして2枚組ベストとなった本作はこれまでの活動の集大成で、アルバムを引っさげたライヴも驚きの仕上がり。演出がアイドルのそれではない。サカナクションかと思うほどだった。リード曲になっている【月曜日の朝、スカートを切られた】みたいなテンションばかりだと心を病んでいくのではと心配になりますが、ポジティブばかりではない十代の刹那を切り取った作品として非常に完成度が高かったです。

 

>>ONE TONGUE AWARDS 2017(沖 さやこ 篇)
>>ONE TONGUE AWARDS 2017(沖 丈介 篇)
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