流行に乗るよりは生み出したい――現在のバンドシーンに違和感を覚えるMade in Me.の“なるべくしてなる”論
◆ラッパーたちのフットワークの軽さは真似したい、というか追い越さないとなと思っている
――きっといまの姿勢も、自分の性質を曲に出すことができたから生まれたものでしょうね。Made in Me.の楽曲の個性はここ1年でかなり強くなっていると思いますし。
彦 王道であろうとせず、自分たちにしかできないことをやろうという思考になってきている気がします。とはいえたくさんの人から受け入れられやすいキャッチーな楽曲を聴くと「俺もそっちにいたかったな～！」と思ったりもするんですよ（笑）。だから受け入れられやすいキャッチーなものが好きな人にも自分たちの音楽を聴いてもらえたら、ちょっとは報われるのかな、と思ったりもしますね。俺が前々から好きだったバンドの人がMade in Me.を聴いてくれていたりして、そういうときにも「やってきてよかったな」と思います。あと、ライヴをしているときに「いまこのステージのここに立てるのは俺だけだ」「どんなに強いやつでも奪い取れない」という気持ちはすごく強いから、どんなやつでも行動していればなにかがあると思う。……ぶれぶれです（笑）。
――ぶれぶれなのに頑固だし、頑固なのにぶれぶれだし（笑）。
優作 あれだけ「女とは組みたくない」と言っておきながら、いまこんなふうになってね（笑）。でもメンバーの立場からすると、こういうバグッてる人と一緒にバンドをやるのは面白いです。普段の生活でも本当に多動だったり、3つ4つのことを同時にやってたりするんですよ（笑）。「どうなってるんだろう！？」と思います（笑）。
彦 歩くカオスと呼んでもらえれば（笑）。
――いまその“歩くカオス”のちょっとした軸になっているのが“solitaire”という言葉であったり、“Made in Me.”というものなのかもしれませんね。
彦 そういう縛りがあるほうがカオスのなかに軸ができることで軌道が生まれるし、大喜利は好きなので（笑）、お題を出されるのはラクなのかも。不可抗力や照準は嫌いだけど好きというか。……ツーバスでどこどこ言わせるドラミングは、“Made in Me.”という大喜利のお題のなかにはないんだろうな（笑）。ほんとなんでも好きだから、そういう制限があるおかげで、歩くカオスはソフトカオスになれてます（笑）。
――どんな“べくり”がこの先あるかわからないですしね。
彦 ほんとなにが起こるかわかんないですからね（笑）。一貫性はないだろうなと思います。
――最近は朗読や小説、彦さんと優作さんがDETOXの知弥さんと作ったアパレルブランドのSANAGARAなど、音楽から派生させた表現もなさっていますから、表現方法はヴァラエティに富んでいると思います。
優作 アイディアはたくさん生まれてくるんですけど、それをなかなか具現できないことにすごくいらいらしていて。たとえば、次のMVは絶対に正方形にしようと思ってたところに、米津玄師さんが【Lemon】のMVを出したんですよ。「ああー！ やられた！」ってすごく悔しくて。
彦 器用な人はたくさんいるから、思っていることはすぐやらないと先越されちゃうんですよ。バンドにも俊敏さと速攻さが必要だなと思います。みんなできるのに、恐怖心でその可能性を狭めちゃってる。ほかのバンドにも俺らみたいな朗読とかやってほしいです。『solitaire』の特典CDの朗読文は、俺の歌詞に言葉を足したものをゆかりが拡大させて解釈して校正したもので。ゆかりにはそういう世界が見えているし、俺はなるほどなと思うし、聴いてくれた人も自分なりの解釈をしてくれたらと思いますね。
優作 つながっていなかった3曲の物語が、小説というものでつながって。
――『solitaire』軌道が生まれてますね。
彦 そうですね。曲を聴いた人が触発を受けて違う文章を書いたり、曲を作ったり……みたいに、いろんな人に付け足してほしいんですよ。自分たちの楽曲を中心にして『ロード・オブ・ザ・リング』みたいなワールドマップを作りたいですね。いま沖さんがインタヴューしてくれてるのも、新聞として発行されて隣の村の人まで伝わる……みたいな“書物を編んでいる人とのイヴェント中”みたいな感じなんですよ。そういう厨二的世界観で軌道が生まれていけば、みんな楽しいと思うんです。この考え方はクトゥルフ神話からインスパイアされていますね。あと、この先は細かいジャブをたくさん打ちたいなと思っています。録りたい曲はたくさんあるのでこの先もできるだけ音源は出したいですね。ラッパーとか、かなりフットワーク軽く配信で音源を出すじゃないですか。
――そうですね。
彦 おまけに作り込まれてないトラックであることが多くて、それなのにあのラッパーの動きがあれば、その様子を撮影しているだけでMVになる。そういうことがラップやヒップホップシーンの盛り上がりの理由だとも思うんですよ。おまけに向こうはバンドシーンなんて眼中にないと思う。だからこそアピールして「なんかめっちゃキモいバンドいるんだけど」と思ってもらいたいし、バトりたいですね（笑）。あのフットワークの軽さは真似したい、というか追い越さないとなと思っています。ラッパーはおしゃれだし、ちゃんと時代にも乗ってるんですよね。ラッパーに嫉妬しますし、バンドマンよりもラッパーのワルい感じのかっこよさへの憧れが強いです。隣の芝は青いです（笑）。
――ははは。3月から開催される「孤独のレッスンTour 2018」のなかにはレコ発「C.A.M TOUR 2018」、裏レコ発「Made in Night!!! vol.2」、sealfとの共同サーキットイヴェント「MASEGAKI FESTIVAL!!」もあり、『solitaire』をきっかけにかなり盛りだくさんになりそうです。
彦 「SMDR」の仲間もクリエイションについて話せるけれど、「C.A.M」のC SQUAREDのヴォーカルは元ダンサーだったり、Awesome Handsomesのメンバーはアート方面の情報をくれたりするので、「SMDR」の顔ぶれとは違うベクトルで話せるというか。
――中学校の同級生と、大学で同じ科の同期みたいな違い？
優作 あははは！ まさにそれですね（笑）。成長して出会ったのが「C.A.M TOUR」のバンドというか。
彦 僕らも「C.A.M」の向こう側につながれるようにもなりたいし、「SMDR」も「C.A.M」もお互いのことは知っているので、このふたつがつながるようにもしたいし、多少なりともお互いに意識してもらえたらと思います。もともと「C.A.M」が始まったのも、（C SQUAREDとAwesome Handsomesが）「SMDR」に憧れてくれたからなんです。「C.A.M TOUR」はちょうどこの3組のリリースが3月に重なってたから実現した――“べくってた”んですよね。「C.A.M」を開催することはどっちにも僕らにもいい作用が起こるんじゃないかなと思っています。撒いた種のなかのどれが芽生えるかわからないから、もっとフットワーク軽くいきたいですね。
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◆Release Information
3rd single 『solitaire』(¥500- tax in)
収録曲
1. 大停電の夜に
2. 屋上へ 〜feel so good〜
3. 終電DJ
※タワーレコード新宿店（04/11〜）、ライブ会場にて販売
タワーレコード 購入特典：小説『solitaire』朗読CD
◆Live Information
C SQUARED×Awesome Handsomes×Made in Me. presents
「C.A.M tour 2018」
03/30 下北沢BASEMENT BAR［C.A.M SHIMOKITA］
04/21 アメリカ村Beyond ［C.A.M AMEMURA］
05/03 厚木Thunder Snake ［C.A.M vs ATSUGI］
裏レコ発
「Made in Night!!! vol.2」
04/01 町田Nutty’s
sealf×Made in Me. presents
「MASEGAKI FESTIVAL!!」
06/22 新宿MARZ／新宿Marble／新宿motion 3会場
孤独のレッスンTour 2018
03/30 下北沢 BASEMENT BAR(C.A.M SHIMOKITA)
03/31 府中Flight
04/01 町田Nutty’s(裏レコ発)
04/10 立川BABEL
04/21 大阪 アメリカ村BEYOND(C.A.M AMEMURA)
04/23 奈良NEVERLAND
05/03 厚木Thunder Snake(C.A.M vs ATSUGI)
05/04 町田Nutty’s(HEDGEHOGS vol.3)
05/20 立川COSMIC HALL
05/26 名古屋 RAD SEVEN(名古屋 vs SMDR)
05/28 心斎橋 CLAPPER
05/30 下北沢MOSAiC
06/09 横浜 F.A.D
06/10 群馬 SUNBURST
06/22 新宿MARZ／新宿Marble／新宿motion 3会場(MASEGAKI FESTIVAL!!)
◆More information
Made in Me. official site
