自主レーベル設立から1年 空きっ腹に酒が考える「音楽を続けること」と「経験値」
◆ライヴは「俺らがお客さんを観に行っている」という意味もある
――ニガミ17才の岩下優介さん、平沢あくびさんをフィーチャリングした【ナンセンスディスカッション】は、いまおっしゃったような「ロックバンド」がテーマになったリリックですよね。
田中 最近SNSとか見てると、ファンの人たちがみんなバンドの裏事情を知ってるなあと思うんですよ。「このバンドはメジャー契約をしたからこういう部分がなくなった」みたいな細かいこと書いてて……そんなことまじでどうでもええわ!(笑) ライヴを観ろ! 踊れ!! ということですわ!!
――怒りは全然消えてないですね(笑)。
田中 ほんまイライラして!(笑) そういうこともあって「ロックバンドはなぜかっこいいのか」というナンセンスなことを考えたうえで、それが完全に伝わりきらない歌詞にしたれ、と。曲を聴くだけで伝わりきらない、というのは大事なことやと思うんです。
――そうですね。だからこそ音楽として楽しめるというか。
田中 この曲のパワーは怒りだけではないし。ニガミ17才のふたり(岩下優介、平沢あくび)がちゃんと不思議な世界に連れてってくれるやろなと思ったんです。この歌詞はメールのやり取りで作ったから、ニガミのふたりも「俺らの歌詞はこれでええんかな?」と思ってたし、俺も俺で「ニガミは俺の書いた歌詞どう思てんのかな?」と思ってた。でも会った時にお互いからお互いに対して「あの歌詞めっちゃ良かった!」って空気が出ていて、答え合わせができて安心した(笑)。ほんまその心配もナンセンスディスカッションでしたわ。
シンディ ロックンロールでこういう曲を歌わないところもいいよね。
田中 うん。だけどちゃんとロックバンドなんですよね。
――それは空きっ腹に酒が貫いてきたことでもありますよね。
シンディ 曲自体にちょっと喜劇感があるし。最後の感じはそういうのを狙いましたね。
――ユーモアに昇華できるところもこのバンドの強みだと思います。
田中 昔は怒り散らして、ユーモアにもジョークにもならなかった。マイクスタンド投げて、ぐわぁーってなって客席が全員引くという……そんなライヴが何年も続いたんですよ。それが正義やと思ってた。でもそれに飽きたっていうのもあるし「お客さんは遊びに来てんのになあ」っていう普通の感情がやっと芽生えてきて(笑)。ほんまの意味でだめだめな人間が書いただめな歌詞やったけど、ほんまにだめってほどだめじゃなくなった――大人になったパンクスって感じしますね。なにに対して怒っているのかが、自分で明確にわかるようになったのかもしれないですね。
西田 《何となく感じてたことが/はっきりと分かってきた》やん(笑)。
田中 INUの【気い狂て】の歌詞やな(笑)。ライヴでは歌詞の意味とか考えんと、楽しんでもらえたらええなと思ってて。生活してるなかでふとした瞬間に「あの歌詞よかったな」とか思い出してくれたり、「あ、あれってああいう意味なんかな?」みたいに思ってくれたら――空きっ腹に酒にとって、歌詞の伝わり方はそれくらいでいいんです。だからこそ完全に意味がないものを作ってしまうと良くないなとは思ってますね。【Have a Nice Day!!】の歌詞も意味はないけれど、「メッセージ性を込めない」という意味を持たせてるんで。
――すべて経験値の賜物ですね。
田中 うん。そうですね。いま話したことを認められたのは、自分にとっての経験値でもあるんです。このメンバーになって3年ちょいやけど、演奏がうまくて、ギターやヴォーカルに近いベーシストでもあるシンディを受け入れられたのも、それまでに積み重ねてきた経験値があったからやと思うし。シンディとともに迎えた10周年やし、11年続けてきたバンドなんですよね。
シンディ なぜかわからないんですけど、僕もこのバンドとともに11年活動してきたつもりでいますからね(笑)。サポート時代にお客さんからリクエストが来た曲をその場で演奏するという時は地獄でしたけど……。
西田 (笑)。シンディがサポートやってくるようになった時点でアルバム5、6枚出てたしな。
シンディ ほんま頭ぱんぱんで、ずっとびびりながらライヴしてました(笑)。
田中 11年活動してきたつもりになるような状況を俺ら3人が無意識のうちに作ってました(笑)。「受け入れられたのは経験値があったから」って、俺らやなくてシンディが言うべき台詞でしたわ(笑)。
――ははは。『泥.ep』のツアーも期待しています。
田中 ファイナルのO-Crestだけワンマンで。対バンとワンマンは全然別物なんですよね。ワンマンは「対お客さん」やし、空きっ腹に酒として絶対お客さんに負けるわけにはいかないですから。「もっと来いや!」て偉そうに言うてもっと来んかったら俺らの負けですからね!(笑) それはモッシュが起こるとか拳が上がるとかそういう意味ではなく、お客さん一人ひとりの気持ちはちゃんと感覚として伝わってくるんですよ。だからもっと来てほしいし、お客さんの気持ちを引き出すのも僕らやと思う。ライヴはお客さんが俺らを観に来るだけでなく、俺らがお客さんを観に行っているという意味もあるんですよ。かっこつけたうえでお客さんを観られるのはワンマンやなと思うから。
シンディ バンドマンとして「バンドはどれだけお客さんが盛り上がってなくてもかっこいいライヴをやるべきや」という意識もあるけど、僕らはほんまにお客さんが盛り上がってたら自分たちも「負けへんぞ!」と越えようとするので、お客さんからの影響は大きいんです。そういう意味では人間味があるのかなと思ったりもしていて。やっぱりお客さんと一緒に楽しめるライヴがいいなと思うんですよね。
田中 負けへんぞ~!って行きすぎるとぐしゃぐしゃなってちょっと失敗したりしてな(笑)。それはそれで良かったりもするんで。それが成立するのもロックバンドの強みですよね。自主レーベルを立ち上げて回る2本目のツアーなので、ほんまにこの4人で作った世界観を全国に見せられると思うんです。全部にちゃんと理由があるから、対バン含めて楽しめると思う。このツアーでしか見られない空きっ腹に酒が絶対にあるから、ほんま来てほしいですね。
◆Release Information
空きっ腹に酒
会場限定シングル『泥.ep』
2019.01.14 ON SALE
¥1,000(税込)
[Track List]
1. Have a Nice Day!!
2. MOST
3. ナンセンスディスカッション
◆Tour Information
空きっ腹に酒 会場限定シングル「泥.ep」リリースツアー
1月14日(月・祝)大阪 Music Club JANUS w/忘れらんねえよ
1月16日(水)福岡 Kieth Flack w/memento森、SPARK!!SOUND!!SHOW!!
1月17日(木)広島 4.14 w/memento森、SPARK!!SOUND!!SHOW!!
1月24日(木)長野 LIVEHOUSE ALECX w/DALLJUB STEP CLUB、AND LORELEI、No Gimmick Classics
1月25日(金)新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE w/DALLJUB STEP CLUB、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、THE KING OF ROOKIE(O.A)
2月1日(金)名古屋 CLUB UPSET w/ヒトリエ
2月14日(木)北海道 札幌COLONY w/The Floor
3月17日(日)東京 渋谷TSUTAYA O-crest ※ワンマン
※詳細は空きっ腹に酒オフィシャルサイトまで
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