空きっ腹に酒ゆきてるの「酒でも飲まなきゃやってられん」第11回～濁る

Posted by 田中幸輝 | On 15 8月,2019 | In Column

空きっ腹に酒ゆきてるの「酒でも飲まなきゃやってられん」
第11回　濁る

僕は今パソコンの前で頭を抱えながら何をしていると思いますか。
このコラムを書いているんですよ。朝の六時に。
ロックバンドのボーカルが泣きながら〆切を守ろうとするその姿勢にまず感動して頂きたい。なんだその目は。やめろ。笑うな。

いやね、先月から何かと私用に時間を割いている内にあれよあれよと時間は過ぎていくもんで、気付いたら今朝。
ぐへえという変な声を漏らしつつ、私はパソコンを起動して
「何書くか決まっていないけど書き出せばスラスラと筆が進むでしょう。今までも特に何が伝えたいというわけでもなかったんやけど無理矢理脳汁絞って書いてきたんや。やれる。やれ。」と鼓舞して前傾姿勢になって約一時間。一文字も書けず僕の脳汁は完全に枯渇していたのです。
ぐへえ。

というわけで脳汁を補充するには何が一番いいのかということはこのコラムのタイトルを見て頂いてもわかる通り、そう、飲酒なんですね。
しかし朝から酒を飲むわけにもいかず、ましてやつい先日私は禁酒に失敗したばかり。その贖罪というわけではないが少しでも酒の量を減らそうと努力しているそんな朝から飲酒するなんてことを許していただきつつ、本日のお酒はマッコリです。たはは、うまいんですけどこれ。

マッコリ。韓国のお酒で、日本で言うところの濁酒。
日本で言うところのなんて言いましたが、マッコリは日本でもかなりポピュラーなお酒ですよね。
語源は「マッ＋コルダ」（막 거르다、粗雑に＋濾す）という意味らしいです。粗雑て。
知らない方の為に一応軽くマッコリの紹介をしておくと、主原料は米や小麦粉。
白く濁っていて見た目はヨーグルトみたいです。
乳酸発酵による独特の酸味に少しクセがありますが、アルコール度数も6~8％と割と飲みやすい粗雑などとはかけ離れた爽やかなお酒です。
ちなみにパンを発酵させる時にマッコリを入れることもあるそうです。

このマッコリは「農酒」という別称があり、その由来は農作業をしていた人たちが水の代わりに飲んでいたからなんだそうで…
はい、皆さんもどうか
水の代わりに飲むなよ。
というストレートなツッコミを躊躇せずにお入れください。
いくら飲み口が爽やかでも、お酒やから。当時の韓国の農民大丈夫かよ。

え？　コラム書きながら飲んでるお前が言うなって？
いや、まぁそう言われることはわかってましたよ。ははは。
でもちょっと酔ってるくらいの方が作業がサクサク進むこともあるんです。
冒頭に言ったでしょ。脳汁ですよ。わかってないなぁ。

マッコリが日本で流行したのは2004年の韓流ブームがきっかけみたいですね。
当時は相当な量の輸出を行なっていたそうですが、その後年々減っていったそうです。
それでも未だに色んな居酒屋で見かけるし、缶でも売っていたりするので完全に日本に根付いていますね。

そんな中、我々はバンドの遠征で韓国に行った際現地でマッコリをしこたま飲んだのですが、マッコリ用の容器というものが結構変わっていて面白いんですよ。

やかんに入って出てくるんです。
水の代わりに飲んでた感！
そしてサバルと呼ばれるちょっと大きめのお茶碗くらいの容器にドボドボ注いで飲むんです。
これが同じマッコリなのに容器が違うだけで味わいも違ってくるのがとても不思議。
豪快な飲み方の割に口当たりは爽やかなのでついついスルスルと深酒。
翌朝、地獄。大地獄。ソウル。
でも韓国には24時間営業の「酔い覚ましスープ屋」的なものがあちこちにあり、これが二日酔いに効果抜群なんです。それだけお酒を飲む人が多いということでしょうね。
お店のおばさんに自分たちは日本から来たバンド（超売れっ子という嘘も交えつつ）だと伝えると、まるで芸能人にでも会ったかのようにハグを求めてきました。我々が泥みたいなバンドだとも知らずに。かかか。馬鹿め。
ハグした。温かかった。

マッコリは日本酒と同様に数えきれない程の品種があるそうです。
韓国各地のマッコリを飲み比べてみるのも面白いかもしれませんね。
僕が今飲んでいるのはおこげマッコリ。名前の通りおこげを使って作ったマッコリで、こうばしい後味がクセになります。
クセになったついでにもう一杯飲もうかと思っているのですが、今日は昼から別の作業があるので程々にと思いつつ、いやしかしやはり脳汁がなどとゴニョゴニョ語尾を濁し、酒も濁し、水の代わりに。ぐへえ。ぴーす。

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