大橋ちっぽけ【鏡写し】

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大橋ちっぽけ「鏡写し」Music Video

読者さんやアーティストさんからおすすめしていただいたMVを毎日紹介する「紹介されたMV紹介チャレンジ」DAY27は、しょ~さんからおすすめしていただいた大橋ちっぽけさんの最新MVです。監督は映像制作、ライヴ演出、ジャケットデザイン等トータルクリエイティブとして様々なアーティストを手掛けてきた東市篤憲さん。

大橋さんは1998年生まれ、愛媛県松山市出身のシンガーソングライター。2017年4月に上京し、2018年にインディーズデビュー、2019年にメジャーデビューという新進気鋭の若手アーティストです。UKロック、オルタナなどに影響を受けており、楽曲でもそのニュアンスをポップに昇華した洗練された音楽センス、奥行きのある文学的な歌詞、耳馴染みがいいのにどこか物悲しく聴き手の心に痕を残すような歌声など、その瑞々しい才能を発揮しています。

【鏡写し】は「失恋」をコンセプトにした先月リリースのミニアルバム『LOST BOY』のリード曲で、恋愛の男女の関係性を鏡に例えたリリックと軽やかなピアノリフが印象的なポップソング。同MVでは【テイクイットイージー】に続き創作ダンスに挑戦している大橋さん。ダンサーに双子ユニットのSAHO・SHIHOを招き、“鏡写し”を踏襲したダンスで楽曲の世界観を表現しているのですが……これが本当にすごい! ハイセンス!!

白い服を着た女性が「理想」、黒い服を着た女性が「現実」。白いシャツと黒いネクタイとパンツを身に着けた大橋さんが両者のなかで翻弄され、「鏡写しのような関係だったふたりの恋の終わり」という楽曲の核心が描かれていきます。理想ではシンクロしたり向かい合ったり滑らかな動きを見せるも、現実世界ではちぐはぐになってしまったり、かみ合うかと思いきやうまくいかない。でも理想の世界の女性と現実の世界の女性は同一人物なので、このふたりは呼応するような動きを見せているんですよね。ちぐはぐとシンクロを同時に見せるってかなり高度な振り付けだと思う。ここまで生々しく表現できるのも双子さんならではだなと唸ります。

それを効果的に捉えるカメラワークもさすが。女性ふたりのみのシーン、大橋さんのみのシーン、理想のシーン、現実のシーン、ふたつが交錯するシーンをじっくり静かに睨むように捉えています。淡々と終わりに近づくふたりの関係と胸のなかに渦巻く焦りが生々しく伝わってくるし、途中水面のように揺れるシーンは大橋さんが感情的に歌うシーンでもあるので、感情のうねりがダイレクトに飛び込んでくる。すべてにちゃんと理由があって、無駄なものが一切ない。感性と知性を高純度で融合させたうえで生まれた、まさしく「隅々まで洗練された作品」の一言に尽きます。メロディの起伏と、スカートがたなびく様子がリンクしてるのも良きです。

大橋さんは本日、『LOST BOY』リリース後に制作、今の心境を素直に綴ったという新曲【眠る】をSoundCloudにて公開。オルガンリフを基盤に要所要所でギターやグロッケンのような音が入ったトラックで、彼のメロディワークをじっくり味わえるベッドルームミュージック的楽曲になっています。現段階でも様々なジャンルの音楽性をバランスよく取り入れることができる、高いソングライティング力の持ち主ですが、この先さらに楽曲にオリジナリティが生まれそうな予感。今後の活動も要注目です。しょ~さん、おすすめありがとうございました!(沖 さやこ)

 

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Artist Page – 大橋ちっぽけ

◆Artist Information
https://chippoke.themedia.jp/
https://twitter.com/chippokeuta

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