リリィ、さよなら。-2015.3.21 at 渋谷gee-ge.

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リリィ、さよなら。
リリィ、さよなら。Presents「リリィ、さよなら。」リリース記念ワンマンライブ
2015.3.21 at 渋谷gee-ge.

10年目のスタートライン、未来を描いた初ワンマン

取材・文:沖 さやこ
撮影:TAKU(LIVERALLYgood for your job

 

超特急に楽曲提供をし、2014年に作家デビューを果たしたヒロキのソロプロジェクトであるリリィ、さよなら。が2015年2月に全国デビュー盤『リリィ、さよなら。』をリリース。それを記念して、彼の本拠地である東京と彼の地元である熊本での初のワンマンライヴが開催された。東京も熊本もソールドアウト。彼の注目度の高さが窺える。

少々緊張した面持ちでステージに登場したヒロキは、まずピアノ弾き語りで音源未収録の【世界中が雨だったら】を披露。あたたかく力強い歌声で会場を一気に掌握する。続いての【ハルノユキ】はドラムス、ギター、ベースのバックバンドが参加。桜が舞う様を音にしたようなヒロキのピアノを遠くに飛ばすかのごとく、感情のこもった力強く熱いドラムが響く。これはバンドならではの迫力だ。

lily_geege_11インタヴューでも語ってくれた、ヒロキが中学3年生のときに初めて書いたという【夏の匂い】は、軽やかで切ない楽曲。当時の無垢で真っ直ぐな想いが込められた楽曲を優しく歌う姿に、過去の自分へのいたわりを感じた。【ジュブナイル】ではセンターでエレキギターを抱え、バラード【未送信のラブソング】では歌で観客の意識を引き付けるなど、曲に合ったアプローチを、曲ごとに丁寧に展開する。特に【未送信のラブソング】のそれは見事で、この楽曲で歌われている彼の見た景色や感情が自分に埋め込まれていくようだった。歌に関して言えば、現段階ではバンドアレンジよりも弾き語りのほうが、アップテンポの楽曲よりもバラードで力を発揮できるが、だからこそ今後の成長に期待が高まると言うものだ。

続いてはアコースティック編成で数曲演奏。未発表の新曲【Your best friend】について、ヒロキは「静かに淡々と心の傷を歌う曲」と語り笑わせたが、彼のピアノの力も相まってポップに昇華された楽曲だった。彼の作る曲にはやはり「繋がりたい」という人懐こさがあり、その想いの強さゆえ彼の歌にはダイナミズムが生まれるのだと痛感する。センターでエレアコを抱えた【君の匂い】、彼の弾き語りで披露された新曲【君がいなくなっても】は、大切な人との別れを歌った楽曲。「悲しい」と「腹が立つ」、そしてそこから滲む、素直に言えない「ありがとう」が複雑に入り組んだ、人間ならではの想いの強さが生々しく表れた楽曲だった。

lily_geege_22再びバンド形態に戻ると「楽しいターンだから(客席に座ってる皆さん)立ちませんか?」と観客に呼びかけ、疾走感のある【ナイト・トレイン】へ。客席からは自然と手拍子が湧き、最前列ではタオルを回す人々も。笑顔を浮かべて楽しそうに歌うヒロキの声は、より生き生きと伸びてゆく。「まだまだいけますか? 一緒に歌ってください!」と【流星ドライブ】を歌い出すと客席からは歓声が起こる。クラップだけではなく拳も上がり、シンガロングも巻き起こった。ライヴの定番曲となりつつあるダンスビートを交えた未発表曲【Melody】では、さらに観客を巻き込んでメンバー紹介やコール&レスポンスなどを入れてハッピーな空間を作り出す。曲中にある〈僕は歌い続ける〉というフレーズが、とても力強く響いた。「(歌手の夢を)諦めないで良かった」と言い演奏したラストの【snow~君がくれた物語~】では、音がはずれる寸前のエモーショナルな歌声で魅了した。

アンコールではヒロキが「8号車(※超特急のファン)の人いますか?」と声を掛けると、フロアの数人が挙手。超特急に提供した【EBiDAY EBiNAI】をカヴァーした。ヒロキが曲中で超特急の振り付けを踊ってみるなどすると、8号車の面々も笑顔を浮かべ、その踊りで彼の想いに応えていた。続いて彼がキーボードについて演奏したのは高校2年のときの失恋を歌った【約束】。彼のターニングポイントとなった楽曲である。語りかけるように歌うヒロキ。別れを歌った【約束】で、彼はたくさんの人と出会うことができた。さよならは新たな出会いを生むのだ。

バンドメンバーがステージを去ると、最後にひとりで「いちばん大事にしている」という未発表曲【フラッシュバック】をピアノ弾き語りで歌い上げた。彼がインタヴューでも話してくれた「いろんな“好き”のかたちがある」という想いが楽曲に昇華されたものだ。彼はこれからも、そのときそのときに感じた気持ちをすべて歌にしていくのだろう。未発表曲や新曲も多数あったこともあり、この先のリリィ、さよなら。を存分に感じさせるものであった。歌手を志し10年。スタートラインに立ったリリィ、さよなら。が勢いよく走り出した。

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2015/3/21 リリィ、さよなら。@渋谷gee-ge. | LIVERALLY

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