時代に埋もれることのない音楽を――Any、自主リリースの挑戦(後編)

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◆「Anyでないとできない」というものにようやく辿り着いた

――年代順にAnyの曲を聴いていて思ったのは、格段にメロディの強度が増しているところなんですよね。楽曲の顔となるメロディがはっきりしているから、楽器も自分自身の色を出しても散漫としないというか。

s_7L0A9651工藤:なるほど。結構今回はふたりに任せたところが多くて。僕らはあんまりリハに入らないんですけど、曲のアレンジも「こんな感じ?」「うん、オッケー」みたいな。余白を残していくことで感情を継ぎ足したり、逆に抜いてみてちょっと突き放すこともできたりして。隙間のある音楽だと思います。全然埋まってない。

高橋:決め打ちが少ないんで、最低限ここだけは決めておかないと、というところ以外は自由なんです。それはライヴ中のアレンジとかもあるし。隙間の感じは、ここ数年強くなってます。

工藤:そうだね。1個1個の音が濃いんですよね。歌も言葉も全部そうだと思います。

大森:ここ数年片寄さんの影響もあって、いろんな音楽を聴くようになって自分の選択肢もかなり増えたなと思って。

工藤:【風が吹けば】はウッドベース弾いたもんね。そういうこだわりがたくさん出てきたと思います。

――Anyはこれだけできるんだ、というのがぎゅっと詰まった作品になりましたね。

工藤:あとはこれからこの作品をちゃんと届くようにさせていかなきゃいけないから。……やっぱり今回は「自分たちだけでやる」ということが大きいんですよ。だから届く分母を増やしていかないといけないですよね。そこを楽しみながら作業してるので、いいんですけどね。「面倒臭い」とか「だるい」とか思っちゃうと、曲もかわいそうだし。

――そうですね。せっかくいいものができたんだし。

s_7L0A9754工藤:今回そう言ってもらえることがすごく多くて。片寄さんにもそう言ってもらえたし……本当に評判がいいんです。

――やっぱりそれはAnyがちゃんと、自分たちがやりたい音楽を見極めてキャッチして、それをしっかり出せてるからだと思いますよ。迷いみたいなものは感じないし。

工藤:いまのシーンというものも、ちょっとずつちょっとずつ変わってきてるんで……少なくともいままでのAnyとはまったく違うし、ここから新たにAnyを知るきっかけの1枚になるとも思ってます。

――そうですね。【素敵】はメジャー時代のAnyのカラーに近い曲だと思うんですけど、昔とは違う熱量や、楽曲の方向性も明確で、意味合いが以前とは違うと思いますし。だからあの時代があって、いまがあるんだなと。音にもバンドの状態の良さを感じます。それが1年前のレコーディングだとは。

高橋:こういう言い方をすると良くないかもしれないですけど……大概1年経つと「あ~、あそここうしておけば良かったな」というのが出てくるんですけど、これには出ないですね。

大森:うん、出ない。

工藤:なんかね、ないんですよ。「あー、もうこんなの聴いてらんない!」とはならないんです。鮮度が保たれてて。

――それは長い時間掛けて磨き続けてきたから、というのも理由のひとつかもしれないですね。

s_7L0A0104高橋:【眩暈】とかもそうですけど、「Anyでないとできない」というものにようやく辿り着いた気がしますね。なんでもそうだと思うんですけど、「役割」があると思うんです。いま売れてるものには踊れる音楽とか、エレクトリックな音楽とかがあると思うんですけど、やっぱりAnyみたいな音楽は必要な音楽だと思うし。その「Anyの役割」というものが、いちばんはっきり果たせてるアルバムかなと思います。

大森:絶対時代に埋もれることのない音楽だと思います。

高橋:裏を返すとそれは、どこのシーンにも属さないということにもなるんですよね。……美味しいご飯!!

工藤:……え!? なにそれ! まったく意味わかんないんだけど。

高橋:(笑)。ラーメンとかカレーが流行ってる音楽シーンで、僕らは白米というかさ。そういうなかで普遍的な美味しいご飯を食べさせるというのは至難の業というか。どうやって具体的に聴いてもらうところまで持っていくかが、3人がいちばん頑張らなきゃいけないとこかなと思います。

工藤:そうだね、ただ孤独な存在でいてもしょうがないしね。

大森:……あと、『視線』を聴いてくださるかたに、ふたつほどお願いしたいことがあって。

――はい。

s_7L0A0131大森:『視線』は自分たちのやりたいことをやっていて、なおかつ自分たちの最高傑作だと思っているので、ひとりでも多くの人に聴いてもらいたい。そして聴いてくださったかたは、自分のなかだけで留めておくのではなく、家族とか友達とかいろんな人に広めていってほしい。それは僕たちにとっても作品にとっても、すごく幸せなことだし、今後活動していくうえでもものすごい原動力になります。『視線』を広めていってほしいという思いがひとつと、あともうひとつ、単純にCDで聴いてほしいと思ってます。いまはネットで聴けたり買えたりすると思うんですけど、手にとって聴いてほしいし、音質的な問題でもCDで聴いてもらいたくて。僕ら、今回サウンドにもこだわっているので、100%の環境で聴いてほしいという想いがあります。やっぱりMP3は僕らが作った音の60%くらいしか楽しめないと言っても過言ではないと思っていて。実際に買っていただいたり、友達に借りてもいいので、CDで聴いてもらいたいという願いがあります。

高橋:うん、そうだね。正しい。

工藤:聴いている人がアルバムを好きになるかどうかは、自己投影できるかどうかだと思うんです。だからどういう反応が来るか楽しみだし、今回は僕にとっては挑戦なんですよ。音楽を好きな人には「いいアルバムだ」と評価してもらえるものだと思うんですけど、聴いてくれる人は僕らが本当に好きなことをやってどういう評価をくれるのかが、単純に怖くもあり楽しみでもあり……まだ未知数ですね。でも僕らにも次の手はあるので、今度はもう少しコンセプトのあるものを作ろうとも思ってます。やりたいこと変わっていくと思うんですけど、歌があって言葉がしっかりしてれば、表現の仕方はなんでもいいなと思ってて。「これでAnyというものが限定されるわけではない」ということは思っておいてほしいですね。

 

s_7L0A9633

 

 

MG_3473Any(エニー)
工藤成永(クドウ ナリヒサ、Vo/Gt)、大森慎也(オオモリ シンヤ、Ba)、高橋武(タカハシ タケル、Dr)の3人組。2006年12月結成。メンバー全員1989年生まれ。2007年YHMF2007(横浜ハイスクールミュージックフェスティバル)グランプリ受賞。2008年4月、YHMF2007で出会ったドラム高橋が加入、現在のメンバーに。2009年5月1stミニアルバム『102』でインディーズデビューし、2009年9月にポニーキャニオンよりGREAT3の片寄明人プロデュースのもとメジャーデビュー。2012年9月に枚数限定で3曲入り会場限定音源『抱擁』をリリース。ライヴではサポートミュージシャンを招いたり、アコースティック編成で行うなど、様々な形態で自身の音楽を表現する。(オフィシャルサイトTwitterFacebook

 

◆Latest Disc Information◆
ANY_Jacket
『視線』
¥1,500(tax in)
2015.6.24発売 DDCZ-2031
[Track List]
1.太陽と月のように
2.STRANGER
3.UNDO
4.眩暈
5.気配
6.素敵
7.風が吹けば
Amazon:Any/視線

◆Tour Information◆
「視線」RELEASE TOUR 2015~Summer eyes~
7/27(Mon) 大阪 福島LIVE SQUARE 2nd LINE
7/28(Tue) 名古屋 池下CLUB UPSET
8/16(Sun) 群馬 前橋DYVER
8/17(Mon) 埼玉 熊谷MORTAR RECORD
8/18(Tue) 栃木 宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-2
8/20(Thu) 宮城 仙台FLYING SON
8/28(Fri) 下北沢CLUB Que

※詳細はオフィシャルサイトをご覧ください


【PV 】UNDO/Any【公式】

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