ストリーミング革命勃発! 音楽の聴き方はどう変わる?~ONE TONGUE SUMMIT #2
◆音質はどうなる?
沖 わたしが取材をしているアーティストが公式LINEで「自分たちの音楽をより美しく届けるにはCDが最上級の届け方だとまだ思っている」と発信していました。やっぱり特にバンドサウンドは人間の作る正確じゃないところが魅力だし、それを届けるにはスマートフォンよりもステレオ、スピーカーだと思います。だから「いい音」って大事だなあと思っています。ピロカルピンが最新作『a new philosophy』にハイレゾDLコードを封入して販売していたんですがこれが定番化していくと、オーディオブームまた来るんじゃないかな!? と思ったりしていて。やっぱり音楽ライターとしてはいい音に固執したいし、バンドマンも録音に妥協しないでほしい!(笑)
ふく ストリーミングの音質に関してはそこまで危惧していないと言うか、音質含めアーティストの意図するより純度の高い作品を欲しいならパッケージ、安価かつ気軽に、そこそこの音質で楽しむならダウンロードやストリーミング、という区別をしています。もちろん良い音で聴けるにこしたことはないんですが、ストリーミングでも高音質再生みたいなものがそのうち登場するかもしれないとも思っています。あと、ストリーミングの音質に関して問題提起するのはアーティスト側だったりいわゆる業界側ばかりで、そこそこ音楽聴きますぐらいの一般的なリスナーは正直そこまで気にしていない印象です。意識の違いが、ありません?
丈介 音質に関しては、リスナーと作り手側での温度差はあるなと思います。やっぱり作り手側は音質というこだわりはあると思うんですよ。僕は俳優や声優業もやっていますけど、良いシーンなのに画質や音質が悪かったらムキー!となるし。
沖 音質の違いがわからない人であっても、いい音で聴くと感動が全然違うと思うんですよ。なかなか広まるのは難しいと思うんですけど、「CD+ハイレゾで現在の価格を維持」が定番化してほしいという願望があります。音質低下は音楽の良さを殺すことになる気がしてますし、業界側が音質を意識しなくなったら終わりだと思ってます。いくらリスナーが気にしていないからって、そこを妥協しないのは業界の人間の宿命なのではないかなと。
丈介 Neil Youngがストリーミングの音が悪いからとストリーミングから作品を撤廃したり、ハイレゾオーディオを出したり。最近はハイレゾ配信も増えてますよね。機器も増えてきましたし。そこも含めて、音楽ファンが、音楽の聴き方を選択出来る幅が増えてきたのかなと思います。そういう面では、ハイレゾもストリーミングも含めて面白いなと。
沖 なるほどなるほど……。わたしは音楽ライター、ふくさんは情報誌編集者、丈介さんは俳優業と、全員がそれぞれ違うエンタテインメントの世界に身を置いていても、いろんな考え方があるのだな~と知れて、今回は面白かったです。我々リスナー側の意見をいろいろと言ってみましたので、次はアーティストサイドの意見も聞いてみたいなと……。というわけでアーティスト対談を考えております! 「なぜアーティストは“いい音”を求めるのか?」をアーティストに語っていただいたらどうだろう? と。この談義を進めていくなか思い立ちました。
ふく 音に関する対談なんて面白そうですね。オーディオマニアの奥田民生とかどう思ってるんだろう? 気になります。ちなみに僕も「聴ければ音質なんてどうでもいいぜ」というわけではなく、ちょっと良いイヤフォン使ってますので……。
沖 ははははは。というわけで今回は3人が3人の意見を言い合ってみました。読んでくださった皆様はいかがでしょうか? きっとワンタンマガジンを読んでくださっている方々は音楽が好きな方々だと思うので、ちょっと考えるきっかけになっていたら幸いです。アーティスト対談、実現に向けて水面下で動いておりますので、どうぞお楽しみに!
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◆沖 さやこ(ライター)
2009年3月に音楽系専門学校卒。音楽ライターのアシスタントを経て、2010年5月からフリーランスライターとして活動を開始。横浜、大阪、伊豆に在住歴があり、現在は神奈川県屈指の城下町と江戸を往来する毎日です。ライターの傍らで実家の飲食店の手伝いもしてます。日本文化とダムと漫画と文学をこよなく愛す。→ワンタンマガジン内記事一覧
◆ふく(福島 大祐、編集)
福岡で情報誌の編集をしているエンタメ好きのアラサー男です。映画ページ担当。街の取材をしたり、いろんな人にインタビューしたり。音楽は「偏見をなくして触れる」がモットー。漫画も愛していて年間100冊以上買って読みます。多分。→ワンタンマガジン内記事一覧
◆沖 丈介(俳優/モデル/手タレ)
ゲン企画プロダクション、劇団ムーンライトに所属。→ワンタンマガジン内記事一覧