ONE TONGUE AWARDS 2015

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ONE TONGUE AWARDS 2015
沖 さやこが選ぶ年間ベスト・アーティスト
=川谷 絵音(indigo la End/ゲスの極み乙女。)

今年は彼しかいないと思いました。ONE TONGUE AWARDS 2015ベスト・アーティスト(沖さやこ篇)、それは川谷絵音さんです。ふたつのバンドをあれだけ動かしながら、SMAPへの楽曲提供、THE BED ROOM TAPEにゲスト・ヴォーカルとして参加、ゲスの極み乙女。のDVDの監修もご自身で行うなどなど非常に働き者の絵音さん。彼は日本の音楽界の革命児だと思っています。こんなナポレオンをわたしはずっとこの日本の音楽界に求めていました。

indigo la End 『悲しくなる前に』(2015)

ベストアーティストの理由、まず何と言ってもふたつのバンドをどちらも意欲的に動かしている点。indigo la Endの活動だけを見ていてもメンバーチェンジ直後にフル・アルバムを1枚リリース。新メンバーとともに全国ツアーを完遂すると、6月に新体制初のシングル『悲しくなる前に』をリリース(ゲスの極み乙女。の『ロマンスがありあまる』と同時リリース)。その直後に初のホールワンマンツアーを行います。そして9月には新体制2枚目のシングル『雫に恋して/忘れて花束』をリリースし、そのスピードはバンドの充実具合を世の中に広めたことでしょう。シングルのc/wでは【夏夜のマジック】などの楽曲で新たなインディゴの一面を見せ、今後のバンドへの期待をかなり高めました。12月3日、彼の27歳の誕生日に行われたindigo la End最大キャパシティのワンマンライヴも大成功。メンバーチェンジを繰り返してきたインディゴがとうとうしっかりとバンドとしてまとまったことが証明されました。

ゲスの極み乙女。『オトナチック/無垢な季節』(2015)

ゲスの極み乙女。は4月に『私以外私じゃないの』、6月に『ロマンスがありあまる』、10月に『オトナチック/無垢な季節』のシングル3部作をリリース。1月にリリースされる2ndフルアルバム『両成敗』は大体が8月に制作されたものだといいます。TV出演も精力的に行いながらライヴ活動も欠かしません。2月には新木場STUDIO COAST2days、4月には日比谷野外大音楽堂、6月には幕張メッセ2days、10月にはアリーナツアー……ととんでもないスピードでキャパシティを広げていきました。ライヴキッズが多かったライヴにも、アリーナツアーには家族連れの姿も。完全にお茶の間の人気者となりました。ひとつひとつのバンドの活動だけでもものすごいのに、どちらも彼が作詞作曲をしていてフロントマン。間違いなく人間ひとりで行える仕事量を超えています。それでも彼が活動を続けているのは、音楽への純粋な探求心が根源にあるからなのでしょう。

そしてもうひとつベストアーティストに相応しい大きな点は、今年の絵音さんにはソングライターとしての成長や挑戦もたくさん見られました。2014年にリリースしたゲスの極み乙女。の1stフルアルバム『魅力がすごいよ』直後に音楽的開拓を行います。よりアレンジはテクニカルに、メロディと歌詞はさらにキャッチーに。そのバランスがお茶の間からは「面白い!」と受け入れられた。ゲス乙女が子供からも受け入れられている理由はリズム芸的なニュアンスもあると思っています。お茶の間からコアな音楽リスナーまで唸らせる音楽を作る、それはオーバーグラウンドとアンダーグラウンドの架け橋でもある。それをJ-POPというフィールドで貫き通すのは並大抵の体力と精神力ではないのでは。だからこそわたしは絵音さんは戦っていると思います。


ゲスの極み乙女。 – 私以外私じゃないの

積極的に地上波TVに出演なさるところ、CDとしての意味を高めるところは、ライヴに行けない・行かない層への配慮につながるところだとも思います。どう考えても世の中はライヴに行かない人のほうが多いわけですから、そういう音楽に関心のない人たちをどれだけ引き付けるか、という戦いでもあると思う。それを自ら納得する方法で行い実行に移し、様々な人々が納得できる音楽を作る。とんでもない才能でありセンスであり、努力だとも思います。

年明け早々にメンバーチェンジがあり、そこからバンドをしっかり育んできたindigo la Endも2月にリリースするシングル『心雨』の内容は川谷絵音初の幸せな恋愛ソングやドラマー佐藤栄太郎さんのプレイを活かしたかなりアグレッシヴな楽曲を収録とのことで、表題曲の素晴らしさは勿論なかなか攻めの姿勢の予感。インディゴもゲス乙女も絵音さんが主体のバンドではありますがキャラクターがまったく違うので、それぞれ別バンドとして楽しめるところも素晴らしいです。この才能はどこまで行くのでしょうか。絵音さんにインタヴューしたときに「作った曲は早く届けたいから、そうするとリリースペースが早くなる」とおっしゃっていましたが、もう少しゆっくりでも全然大丈夫ですよ、という気持ちもあります。絵音さん、本当にお身体にはお気をつけて……! 2014年から言い続けてることだけど、もっともっと遠くにいってほしい。現在の音楽の、そしてバンドの活性に不可欠な存在ではないでしょうか。ライヴハウスから素晴らしい音楽家が生まれてくれたことを、心から誇りに思います。(沖 さやこ)

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>>ONE TONGUE MAGAZINEの2015年を振り返る
>>ONE TONGUE AWARDS 2015(福島 大祐 篇)
>>ONE TONGUE AWARDS 2015(沖 丈介 篇)

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