ONE TONGUE AWARDS 2015

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ONE TONGUE AWARDS 2015
沖 丈介が選ぶ年間ベスト・アーティスト=Miley Cyrus

2015年はMiley Cyrusが面白かった。これに尽きます。

2014年のMTV Video Music AwordでRobin Chickとのコラボパフォーマンスで、Robinの股間にお尻を擦り付けるようなパフォーマンスで物議を醸しましたが、今年のMTV VMAでまさかの総合司会に抜擢され、その会場でNicki Minajに喧嘩をふっかけられるもシレッと受け流したことも話題になったMiley Cyrus。今年の彼女は表現したいこと、やりたい事に対する“肝の据わりっぷり”が昨年よりもしっかりとした形になっていた印象があります。表現が音楽活動は勿論、音楽以外の面でも発揮されていました。彼女の創作への好奇心と行動力は見ているだけで心が躍りました。中でもLGBTとホームレス支援を掲げた非営利慈善団体「Happy Hippie Foundation」を創設したことと、音楽プロジェクト「Miley Cyrus And Her Dead Petz」を始めたこと、その2点が大きな出来事だったと思います。

「Happy Hippie Foundation」の活動宣伝の一環として、交流のあるアーティストを招いた野外ライブセッションをYouTubeに多数投稿する等、音楽を通した慈善活動は非常にインパクトがありました。「Miley Cyrus And Her Dead Petz」では、同名のアルバムをsoundcloud上にフリーアルバムとして公開。しかも公開の発表は、自分が総合司会を務めたMTV Video Music Aword 2015というサプライズっぷり。Mileyが作詞作曲したものから、The Flaming LipsのWayne CoyneやMike WiLL、そしてお父さんのBilly Ray Cyrus等も参加した全23曲。”売るためではない音楽”だから出せる面白さに溢れている作品です。ちなみに最作はレコード会社などのバックアップは受けておらず、Mileyのポケットマネーからだそう。ドロっとしていたり、煙たかったり、シルキーになったり、甘くなったり、ラリッた感じだったりと、このプロジェクトだから出来る音の世界が詰まっています。そして彼女の寂しがり屋なところや、動物やペットのことが大好きな優しい心など、ピュアなMiley Cyrusと楽曲を通して知れたことが嬉しくもありました。亡くなってしまった愛するペットたちの写真と共にアルバムのラストを飾るMileyの作詞作曲のピアノ弾き語りソング【Twinkle Song】のSatuday Night Liveでのライヴ映像は必見です。


Miley Cyrus – Twinkle Song (Live from SNL)

彼女のパフォーマンスや振る舞いは決してお行儀が良いとは言えないところがあるし、見る人が見たら下品極まりない感じはあるんですけど、その中にはちゃんと確固たる信念や説得力があるんです。だから彼女のライブパフォーマンスも音楽も、乱痴気でサイケデリックな要素が強くても散漫としないんですよね。“ぶちまけた”という言葉が似合う表現なんですけど、何を見せたいかというヴィジョンがしっかりしているので、トータルバランスが取れているんです。それは彼女が元来持つアーティストとしてのポテンシャルがなせる技でもあり、彼女のことを理解して協力している友人やスタッフなど仲間の力あってこそ発揮できることではないかと思います。来年彼女がどんな表現を見せてくれるのかも楽しみです!(沖 丈介)

◆Recently Disc◆
「Miley Cyrus And Her Dead Petz」
http://www.mileycyrus.com/andherdeadpetz

>>ONE TONGUE MAGAZINEの2015年を振り返る
>>ONE TONGUE AWARDS 2015(沖 さやこ 篇)
>>ONE TONGUE AWARDS 2015(福島 大祐 篇)

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