リスナーがリリィ、さよなら。に与えた変化――3ヶ月連続リリース配信シングルを紐解く
◆【春色の彼女】は実体験の含有量が100%
――ヒロキさんはひとりの人でたくさん曲をお書きになるけれど、【春色の彼女】の「彼女」にあたる女の子は、これまでリリースしてる曲のなかに出てきてますか?
出てきてないですね。
――あら、そうなんですね。わたしはてっきり【snow~君がくれた物語~】(※1stミニアルバム『リリィ、さよなら。』収録)の女の子なのかと。
リリィ、さよなら。の曲に出てくる〈君〉に性格がきつい子が多いのは、要するに僕が好きになる女の子が性格がきついってことですね。小悪魔! そういう子がたまに優しかったり、俺にだけ特別に甘えてきたりするのが好きなんですよね……。
――ではなかなか幸せで穏やかな恋愛をするのは難しそう……。この女の子も〈君が恋人ならよかったな〉と言っているのにもかかわらず、恋愛感情はないんですよね。
俺それでチューまでされてるんですよ? 歌詞通り「何でそんなこと言うんだー!」って川べりで泣きました。俺のピュアな気持ちズタボロですよ……。最近俺も自分のこと幸薄いなと思います。ハッピーエンドはどこなんでしょう……。もうやだ! いつまでもいつまでもふたりで幸せに暮らしたい!! 28で結婚したい!! 曲に出てきた親友や女の子たちが結婚して結婚式に呼ばれたときに自分が独身だったら死ぬ!! ……俺はナーバスになりやすくて余計なエネルギーを使っているような気がします。
――だからこそ音楽が生まれるんですけどね。
リリィ、さよなら。と言えば等身大の歌詞世界ですけど、実体験の含有量は楽曲によって違うんです。でも【春色の彼女】は100%ですね。あのときは曲書いてないとやってられなかった! この曲、本当にリリィ、さよなら。節が効いてるな……と思うのは、これだけ胸にくる辛らつな歌詞なのに、メロディがすげえ明るくてサビがポップ!!
――(笑)。歌っていて心がどうにかならないか心配です。でもこうやって曲にすることでヒロキさんはご自分の心を救っているんですよね。
僕は曲を書いた時点でそのエピソードに関して気持ちが落ち着くパターンなんです。でも、こういう経験をしている人は多いと思うんですよね。人を好きになってハートを痛めている人に聴いてほしいな……と思う曲になりました。【春色の彼女】は1stと2ndの流れを汲んだ「リリィ、さよなら。はやっぱりこうだよね」という内容になったんですけど、【シアワセな機械】はそれとは真逆のものになって。
>>幅広く人に伝わるものになったのは、聴き手のことを意識したから