JARNZΩが最新作『Flick The Switch!』で提唱する“ボーカルバンド”とは?
JARNZΩが最新作『Flick The Switch!』で提唱する
“ボーカルバンド”とは?
L→R
TOSHIΩ
HIDEΩ
C.ChanΩ
SEIYAΩ
KEIΩ
取材・文:みきちぱんだ
撮影:Taku(good for your job)
JARNZΩが自らを「ボーカルバンド」と名乗り始めたころ、私は彼らの存在を知らなかった。というよりも、2008年に『ハモネプ』で華々しく優勝を飾ったアカペラグループのまま記憶に留まり続けていた。自身の編集していたフリーペーパーを通して再会した当時は「ロックやソウルをアカペラで表現していて他のアカペラグループとは違うなぁ」というふんわりとしたイメージだった。今年5月、ステージ上に登場したループマシンの存在に期待と疑念を抱く。しかしそれをよそに、アルバム『Flick The Switch!』は確かな「ボーカルバンドJARNZΩ」を連れてきた。「アカペラとしてどうか」などと考えるスキを与えない群声の波に、この音の正体が知りたい!そればかりを考えるようになった。「ボーカルバンド」とはなにか。自分たちの声を楽器として最大限に活かす術を模索し、その音を編み出したインタビュー。
JARNZΩ(じゃーんず)
北海道にて結成の男性5人組ボーカルバンド。2008年「青春アカペラ甲子園全国ハモネプリーグ」で優勝。2011年から活動の拠点を北海道から東京に移し、CDリリース、全国ツアーなど精力的に活動している。2014年には毎年香港で行われている国際的アカペラフェスティバル「HONG KONG 2014 international a cappella Extravaganza」に出場し、会場を大いに盛り上げJARNZΩの存在感をアピールする。2014年5月、AL『SOUL JARNZΩ Vol.2』とSg『光源』を同時リリースし、【光源】は有線週間インディーズチャートで1位を獲得。年間チャートでも10位となる。同年5月にSHIBUYA WWW、11月にはSHIBUYA CLUB QUATTROにてワンマンライヴを敢行。共に大盛況に収める。2015年12月、自身初の1,000人規模のワンマンライヴを渋谷 TSUTAYA O-EAST で開催。更に、全国規模のアカペライヴェント「KAJa!(関西アカペラジャンボリー)」「JAM(Japan A cappella Movement)」「50Fes」「金沢アカペラ・タウン」などにも出演し、2016年6月より「 JARNZΩ Go ahead !! Six months Live」と題して 6 ケ月連続での自主企画ライヴを開催中。アカペラのイメージを一新する重厚なリズムセクション、鮮烈なボーカルサウンドは他の追随を許さず見る者すべてを魅了する!(公式サイト/Twitterアカウント/Facebookページ)
◆「アカペラ=ダサいってイメージがあるから外せば?」
――JARNZΩは“アカペラグループ”ではなく“ボーカルバンド”を名乗っています。この言葉を使い始めたきっかけはなんでしょう?
TOSHIΩ 僕の親友にすごくロックが好きなやつがいるんですけど、そいつと飲んでるときに「アカペラ=ダサいってイメージがあるから外せば?」と急に言われたんです。たしかにそれだけでダサいと思う人がひとりでもいるなら、僕ら自身が演奏している音楽にとってはもったいないなと思って。同じ形態でも違うアカペラを作りたかったし、そこでネーミングを変えるのはどうかと(チームで)相談しました。
HIDEΩ 他のボーカルグループにはいないロックな歌声を持つC.ChanΩがセンターにいるからこそ、それに合ったフレーズがほしいなという話はずっとしてたんだよね。
SEIYAΩ シングル『光源』(2014年4月リリース)を出したころからそう思い始めたんですけど、楽曲もそういうパワーを持っていたので、これを武器にしようという意識も高まって。同じアカペラでも唯一無二の存在になれたらいいなと考えましたね。
――ニューアルバム『Flick The Switch!』は声にエフェクトをかける箇所もありますが、それについての賛否両論はありましたか?
KEIΩ メンバー間で反対する人はいなかったよね。
HIDEΩ 【徨星】(M5)のイントロ部分はひとつのキーポイントでした。
SEIYAΩ あの音源をライヴで表現できたらというのがはじまりかもね。とにかく新しいこと、やれることを全部試してみようと。スナップしながら歌っているアカペラが大好きな人がたくさんいるイベントで俺たちが歌うと、声以外の音色が聴こえることでアカペラじゃないと思う人もたしかにいるんですよね。最初はそれをすごく気にしました。ロック好きな人もアカペラ好きな人にも聴いてほしいので、どっちも救う方法はないのかと悩んで。
TOSHIΩ 5人になったことがその気がかりを振り切るきっかけにもなったよね。バンドと競演することも多くなってきたし、形態問わず音楽が好きだっていう人の反応も知りたいし。
HIDEΩ 好き嫌いはどうしたって分かれるんですよね。でもバンドのヴォーカリストはC.ChanΩを讃えてくれるし、リズムが好きな人はKEIΩとTOSHIΩを誉めてくれる。
KEIΩ ベーシストから「よかったです」と言ってもらえる機会が最近増えました。やっぱり素直にうれしいです。「あれを声でやるのって頭おかしくないですか?」ともちょいちょい言われますけどうれしいですよね。もちろんアカペラが好きでやっているのでそこに敬意は持ってますけど、まずはまだ誰も見たことがないものを投げかけてみないことには始まらない。いまあるJARNZΩという楽器を使ってどれだけのいいものが作れるかってことですね。
SEIYAΩ それが今回のアルバムのテーマになっている「声だけでバンドサウンドを感じてもらいたい」ってところに繋がったと思う。
KEIΩ みなさんがお持ちのアカペラのイメージは1回捨てて聴いてほしいです。「これが何?」と聞かれたらもう「JARNZΩです」と言うしかないので。そういうものが作れました。