若手カメラマンは写真でどう生き残る? 本音と悩みと大きな夢

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◆悪目立ちしないように、お客さんの邪魔をしないように徹底している

――伊藤さんは「同じバンドを撮り続ける難しさ」を感じることはありますか?

伊藤 ありますね。よく撮っているQOOLANDが8月に14本ライヴをやったんですけど、QOOLANDは毎月のように出ているハコ(ライヴハウス)もあるし、小さいハコは照明が暗かったり、柵前にスペースがないことも多くて。でも代わり映えしない写真を撮って「なんか見たことある写真だな」と思われるのも良くないから。

安西 よく撮るバンドを、よく撮るハコで撮るのも変化を出すのが大変ですよね。

伊藤 悩みながら撮りました。あるときQOOLANDのドラマーのタカギ晧平さんがボソッと「俺のところ暗いからなあ……」と言っていて。せっかく写真に残す人間がいるのに、暗いから撮れないというのは申し訳ないな……と思って、頑張ってドラムに光が当たる瞬間を狙ったりして。

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QOOLAND 2017.11.22(撮影:伊藤由岐)

安西 狭い箱だとドラムに照明が当たるときって少ないですよね。ライヴハウスの照明さんはライヴ写真のための照明を考えているわけではないから仕方ないんだけど、ドラマーは「いつも撮られない」「やっぱり俺写ってない」ってよく言う(笑)。

伊藤 スモーク焚かれるとドラムは消えちゃう(苦笑)。

TAKU 4人組だとドラムの前にヴォーカルがいることも多いしね。隙間隙間を狙って……。

安西 うんうん。シンバルが丁度顔の位置とかぶってると撮れないし(笑)。

伊藤 QOOLANDもギターの川﨑 純さんがコーラスでマイク立てるようになって、カメラマン的にはマイクが来てしまったかー……と(笑)。

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INFOG 2017.3.25(撮影:安西美樹)

――そういう関門をくぐり抜けたものが公開されている写真ということですね。ステージのことはもちろん、お客さんの配慮も必要ですし、撮るときに考えることは多そうです。

伊藤 わたしの大好きなハブさんというカメラマンさんがいらっしゃって、あの人は撮ってるときにどこにいるのかわからないくらいすごく気配を消すんですよ。わたしも悪目立ちしないように、お客さんの邪魔をしないように徹底しているんですけど、気配消しつついい写真を撮るのはすごいなと思っていて。それは見習いたいなと。

安西 わたしもいかにお客さんの邪魔にならないかは気を付けているから、フロアにいた友達に「どこで撮ってたのかわからなかった」と言われると「よっしゃ!」と思いますね(笑)。うちの師匠が気配を消すというよりは、瞬間移動をするタイプなんです。セキュリティの人が師匠のことを「さっきまでここにいたと思ったら、今度は遠くのほうにいる」と驚くことが多くて。本当にすごいなと思います。

――TAKUさんは動画も撮ってらっしゃるんですよね。

TAKU 下北沢CIRCUSがやっている「下北沢CIRCUS FES」というフェスの動画を2年前に撮らせていただいて。僕を入れて3人カメラマンがいて、それを僕が編集しています。あとレコ発のトレーラーの撮影と編集、MV撮影をしたこともありますね。


circus fes 2015.10.12

伊藤 へええ。わたしも広くなんでもやってみたいタイプなので、動画をやってみたい欲はあって。

安西 やっぱりムービーできたほうがいいんだろうなあ。よく言われるんだよね、「ムービーできない?」って。

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カメラマンも含め、クリエイターとは切っても切れないギャランティ問題。若手3人はどのような思いのもと自分の尊厳を守っているのか

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