自主レーベル設立から1年 空きっ腹に酒が考える「音楽を続けること」と「経験値」

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◆YouTubeに上がってるMVの1個聴いただけじゃ俺ら一生勘違いされたままやと思う(笑)

――自主になっていちばん大きいのは、これまで対バンしていなかった人をゲストに招いていることでしょうか?

シンディ そうですね。全部自分たちで対バンしたい人たちを言い合って、自分たちから「一緒にやりたいです」とオファーをしていて。空きっ腹に酒でもヒップホップをやっているけど、ヒップホップの人とは交わる機会がなかなかなかった、そういう人ともやれる機会が増えたんです。

田中 誘った人たち、けっこう空きっ腹のこと知っててくれてるんですよ。サーキットで一緒になった大先輩にも「空きっ腹に酒好きなんだよね~!」って言われて、ええっ!?って。自分らが知らんだけで、いろんなところに知られてるなと思うことが多いです。でも空きっ腹に酒は、どんなバンドと対バンしてもやれるバンドやとは思ってるんで。

――そうですね。空きっ腹に酒はいろんなジャンルを内包しているバンドですから。

skpprnsk1901_6田中 側面が多すぎるんですよね。対バン相手のファンの子が「ええっ!? 空きっ腹に酒と?」と驚いたりするんですけど、YouTubeに上がってるMVの1個聴いただけじゃ俺ら一生勘違いされたままやと思う(笑)。そういう意味でも、いろんなジャンルのバンドと一緒にライヴをすることに意味があるなと感じてますね。俺ら、ロックンロールもパンクも大好きやし、いろいろ聴いてきた結果がコレなんで。

――どの曲も違う面を持っているからこそ、いろんなバンドと対バンができますし。

skpprnsk1901_7西田 ただ幅が広すぎるぶんセトリは組みにくいですけどね(笑)。

田中 な! 時間が短いライヴやと「あれもでけへん、これもでけへん」って感じになる(笑)。見せたい面が多すぎる! ワンマンだけしたろかな!(笑) でもいろんなジャンルのバンドと対バンして、対バン相手のお客さんも「自分の好きなバンドは自分の好きなバンドやし、空きっ腹に酒は空きっ腹に酒」と別物として見てくれて、認めてくれてるなあと思うんです。

西田 「この人、肉しか食わへんのかと思たけど、肉だけでなく野菜も食べるんや」みたいなな(笑)。

田中 そうそう! めっちゃわかりやすい例えやけど、「空きっ腹に酒」ってバンド名でその例え使うのどうなん?(笑) お客さんを信用できるようにもなりましたね。

空きっ腹に酒『泥.ep』(2019)

空きっ腹に酒『泥.ep』(2019)

――そういう経験を経てできたのが新作の『泥.ep』。前作の『酔.ep』と対のようなデザインと名前ですが。

シンディ 『酔.ep』は「自分たちを一文字で表すなら」と思ってつけて、今回出すにあたってそことリンクさせて「泥酔」にするのはどうか、ということで『泥,ep』というタイトルにしました。

西田 すぐ決まったよな。

田中 その結果、「名は体を表す」じゃないですけど、泥っぽい曲が集まったなあと(笑)。

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空きっ腹に酒『酔.ep』(2018)

――たしかに(笑)。めちゃくちゃパンチが強い。

シンディ 『酔.ep』は『粋る』の流れを汲んでいろんな楽器を入れた制作をしたんですけど、『泥.ep』はほぼ自分たちだけの音しか使ってないので、僕が入る前の空きっ腹に酒の感じに近いというか。

田中 歌メロもほとんどなくて、ガッと叫ぶ感じ。空きっ腹に酒がバンドとしてまとまってきたかな?といちばん最初に感じた時、みたいな初期衝動が込められてるかな。歌詞とかまじで意味ないんですよ。

西田 いちばんテキトーに曲作ってた時期の歌詞(笑)。その意味のなさが意外といいんですよ。

田中 歌詞書く時も出てきた言葉どんどん並べてって……【Have a Nice Day!!】とか、ほぼほぼフリースタイルっすね(笑)。「これ意味通ってんのか!? 通ってることにしよ!」って。空きっ腹に酒がベースレスとかパンクをやってた時の作詞方法に近いかもしれない。僕らはもともと意味のあるものが作りたかったわけじゃないんです。かっこいい音楽がしたかった。でもメッセージを凝りすぎると逆に言いたいことが言われへんなあと。

>> 衝動的な最新作『泥.ep』の実態とは?

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