美的計画【KISSのたびギュッとグッと】
読者さんやアーティストさんからおすすめしていただいたMVを毎日紹介する「紹介されたMV紹介チャレンジ」day5は、しょ~さんからおすすめしていただいた美的計画の2019年8月公開のMVです。
まず美的計画とは、川谷絵音さんが作る曲を様々なヴォーカリストが歌唱していくプロジェクト。発端は川谷さんのひとつのツイートからでした。
突然ですが、なんかカバーの弾き語り動画とかリプライで送ってくれたらもれなく見ます。一番良かった人には新曲作って、その曲あげます。
— enon kawatani (@indigolaEnd) 2019年3月5日
【発表!!】
にしなさん(@nishina1998)に曲作ることに決めました!!声の良さがダントツでした。。本当良い。。曲はそのうち発表します!! https://t.co/2yUO5Q0bxg— enon kawatani (@indigolaEnd) 2019年3月8日
ここに弾き語り動画を投稿した「にしな」さんが選ばれ、美しい声を更に美しくする音楽を作る「美的計画」というプロジェクトへと発展。第1弾楽曲として【キスのたびギュッとグッと】が2019年8月にリリースされたのでした。
イラスト&アニメーションで制作された同MV。アートワークを担当するのはイラストレーターの雪下まゆさんです。雪下さんは、写実的でありながらイラストならではのデフォルメやラフなタッチを残した個性的な画風で人気を集めているお方で、クリープハイプのトレーラー映像や東京モード学園などのCMでご存知の方々も多いのではないでしょうか。女の子をモチーフにした彼女の絵の、その強い視線と今にも動き出しそうなウェットな唇に息を飲みます。
その雪下さんのイラストが、クリエイティブカンパニー/プロダクション「THINKR」所属のアーティストたちによって映像へと落とし込まれています。絵の筆づかいがしっかりと息づいていて、絵画がキャンバスから動き出すよう。完璧なアニメーションになりきらないところが、楽曲の持ついじらしさやもどかしさ、胸のなかを小さくつねられるような切なさを際立たせます。
主人公がキャンバスに絵を描いているのですが、主人公の描く絵の世界と主人公の生きている世界の境目がわからなくなるシーンや、ひとりから唇を重ねる瞬間のふたりの描写になるシーンなど、「動画」ではなく「絵が動く」という概念を大事にした作りがストーリーに抽象的な余韻をもたらします。部屋の雑多な感じやベランダからの景色はとてもリアル。それはまるで現実世界にアーティスティックなフィルターをかけているよう――我々の見る世界まで美的計画してしまっているのだなと唸りました。魔法みたい。
とある絵描きの女性の恋愛模様や心のなかを覗き見しているようなドキドキ感。ラストシーンの手前の小気味よい狂気に息を飲みました。しょ~さん、おすすめありがとうございました!
◆Song on Spotify
Artist Page – 美的計画
◆Artist Information
https://wmg.jp/biteki-keikaku/