欅坂46 【黒い羊】

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欅坂46 『黒い羊』

読者さんやアーティストさんからおすすめしていただいたMVを毎日紹介する「紹介されたMV紹介チャレンジ」。DAY36は、ナミさんからおすすめしていただいた2019年公開の欅坂46のMVです。

彼岸花を持った平手友梨奈さんが歩いていくなかで、死を取り囲む野次馬、家庭崩壊、暴力、非行、精神障害、貧困、異性トラブル、妊娠、いじめ、説教、スマホ中毒、死別、リストカットなどを演じるシーンを、ワンカット(のように見える手法?)で撮影していきます。でも平手さんはそれらを蹴散らすように、つらい目に遭う女の子たちを振りほどき、抱きしめていく。それを突き放していくメンバーもいれば、受け入れるメンバーもいる。必死にぎりぎりで生きている少女たち……あああああああ。1番を観終わったあたりでもうおいらのハートはぼろぼろよ。。

そのあと彼女たちが階段を駆け上がり、逃げ込んだ先は荒れ狂う大人たちと憔悴した若者たちが集う、カオスに満ちた学校。そのなかをカメラが平手さんの視点になったり、彼女の背中を追っていく画角に切り替わるなどして、視聴者に平手さんが演じる「黒い羊」の心情が植え付けられていくわけですね(途中で手紙を持ってすれ違うのは長濱ねるさん?)。すると平手さんの目の前に現れるのは幸せな家族のお誕生日のシーン。そんな過去の回想と、大人たちからの糾弾が交錯し、彼女は咆哮を上げ彼岸花を投げ捨てます。そんななりふり構わず捨て身の状態でメンバーを抱きしめるんだけど、拒絶されてしまう。もうおいらのメンタルはぼこぼこです。

みんなと少し遅れて階段を駆け上がろうとした平手さんは、幼い頃の自分から彼岸花を手渡されます。彼岸花は「信念」の象徴なのかな。そんな彼岸花を持って、平手さんは傷ついた若者たち、大人たちと対峙していく――という構図です。抱きしめ合うことはできたけど、最終的には平手さんvsそれ以外の人々という絵になる。結局人はひとりで、黒い羊であっても自分の信念を掲げて大勢と戦っていかなければならない、それが人生である……というふうに、彼岸花を抱きしめて前を見つめる平手さんの姿が語っているようにも見えました。人と接するということは、大なり小なり衝突するということですしね。

MVの監督は【二人セゾン】や【不協和音】などを手がけてきた新宮良平さん。振り付けもこれまでに引き続きTAKAHIROさんが担当しています。絶望に見えるいっぽうで、勝算がないわけではない。そのリアルさも欅坂っぽいなと思います。いやーそれにしても曲の世界観に体当たりしていくメンバーさんたちの鬼気迫るパフォーマンスは、観ている人間の感情をこれでもかというくらい掻きむしりますね。。 10~20代の時に感じた生きた心地がしない感覚や居心地の悪さ、感情を吐き出すことで襲い掛かる心の苦しさまでもが蘇ってきました。

若い子はまだまだ外に出ていくといっても敷地内の屋上までかもしれないけれど、そのうち敷地の外へと飛び出せる。身を置く場所が変われば見える景色が変わって、そうすると出来ることも変わっていく。こうやって抱きしめ合って、突き放し合って、いろんな衝突を繰り返しながら大人になっていくんだよなあ……なんてしみじみ思いました。ナミさん、おすすめありがとうございました!(沖 さやこ)

 

◆Include Album on Spotify

Artist Page – 欅坂46

◆Artist Information

https://www.keyakizaka46.com/

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