Arakezuri 【結果論】

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Arakezuri 『結果論』MusicVideo

2021年3月度のラジオコーナー「ONE TONGUE Sound Groove」にもご協力いただいた滋賀県出身のロックバンド・Arakezuri。初の全国流通盤『PORTFOLIO』収録曲であり、バンドを支えてきた名曲のMVが、1993年生まれの映画監督・近藤啓介氏の手により全面リニューアルされました。

以前のMVはギターボーカル・白井峻馬さんがカメラに向かって強い眼力を放ちながら歌い続けるというシンプルかつインパクトのあるMVでしたが、今回の作品はバンドの演奏シーンと、落語家・鈴々舎馬るこ氏によるサラリーマンの悲哀の描写、じりじりと映し出される落語の一挙手一投足が交錯しています。この新旧2本のMVに共通するのは強烈なまでもの人間力です。

それはArakezuriの音楽とも直結しています。彼らの音楽は簡単に説明するならば「歌心のあるギターロックバンド」という14文字かもしれませんが、ここまで正統派で直球なのに、似ているバンドを具体的に挙げろと言われるとどれもしっくりこないんです。バンプでもラッドでもアジカンでもマイヘアでも9mmでもない。これはとても稀有なことです。

それが成せるのは、彼らがライブハウスという場所を拠点にして、なによりも心意気で音楽を作っているからだと思います。だから誰かの背中を追い求めた音ではなく、ライブハウスの匂いが立ち込める音になっている。生き様や人間力がそのまま音楽へと昇華されているのです。特に【結果論】が生まれた時期の白井さんは踏んだり蹴ったりだったようで、背水の陣だからこそ芽生えた強い感情だからこそ、色は多少違えども聴く者を奮い立たせる楽曲としての筋力をめきめき上げているのだろうなと思います。

『PORTFOLIO』はそんな彼らのロマンチシズムがぎゅっと詰まったアルバムで、頭から最後まで巧みな緩急と多彩な楽曲でドラマチックに駆け抜けます。【結果論】や【テンダー】も単品で聴くのとはまた違う表情を見せてくれるのは、まさにアルバムマジックです。どうやらライブをイメージして曲順を組んでいったとのことで、曲間にもこだわられています。

バンドの人生がドラマみたいだとはよく言いますが、『PORTFOLIO』を聴くとこれまでArakezuriがどんな人生を歩んできたか、どんな表情や美学を持っているバンドなのかがわかると思います。J-POP色の強い曲も、ユーモア溢れるロックナンバーといった、これまであまり表に出ることがなかった面が見えるのも、アルバムのスパイスとして効いています。バンドのこれまでとこれからを感じられる渾身のフルアルバム、ぜひチェックなさってください。(沖 さやこ)

 

◆Spotify

Artist Page : Arakezuri

◆Artist Information
https://www.arakezuri.com/
https://twitter.com/arakezurishiga
https://instagram.com/arakezuriofficialphoto

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