生まれた場所に何かを返したい――cinema staff 三島想平が語るDIYな自主企画フェス「OOPARTS」の未来(後編)
生まれた場所に何かを返したい――
cinema staff 三島想平が語るDIYな自主企画フェス「OOPARTS」の未来(2)
取材・文:沖 さやこ
2015年1月29日に公開した、cinema staff三島想平氏へのインタヴュー後編。前編ではDIYな自主企画フェス「OOPARTS」の立ち上げから初挑戦までを振り返りながら訊ね、この後編ではOOPARTSの課題や未来について語ってもらっている。より良いイヴェントにしようと、様々なアイディアを考える彼の頭のなかを少し覗けるような内容になった。そして最後、バンドのメインソングライターでもある彼にcinema staffの2014年と2015年にも訊いてみた。2015年のcinema staffは、OOPARTSとともにさらに飛躍を遂げるだろう。
■インタビュー前編
生まれた場所に何かを返したい――
cinema staff 三島想平が語るDIYな自主企画フェス「OOPARTS」の未来(前編)
「もっと先のことを考える」というのがモチベーションになっている
――2014年の三島さんはOOPARTSのために岐阜と東京をしょっちゅう往復してらっしゃいましたよね。
そうですね。やっぱりスケジュールの合間を縫ってバスや新幹線で帰ってるんで、正直それはしんどくて……そうすると楽曲制作ができなくなっちゃうので。2015年はもうちょっと人に任せる割合を増やしたいですね。ボランティアスタッフを大々的に募集しようかと。それも、岐阜に住んでいる人が動いてくれるのがいちばんいいなと思っています。
――OOPARTSチームはほぼノーギャラで動いているんですよね。となるとチーム内にモチベーションの差が生まれることもあるのではないでしょうか。
2014年はみんながみんな「終わったあとに気持ち良く酒飲めればいいじゃん」と思いながらやれていたので、なかったですね。でもそれは正直なところ、みんな「OOPARTSは最終的には絶対にちゃんとビジネスになる」と考えているからだと思います。いまは種をまいている時期だと思うんです。「もっと先のことを考える」というのは、それぞれのモチベーションになっていると思います。
――たとえばビジネスにするために何が必要でしょう?
もう死ぬほどありますね(笑)。まずもっとビジネスに詳しい人を味方につけて、いろんな話を聞かなきゃいけないなと思っていて。あとは行政からお金を出してもらうためにはどうするか、というところですね。岐阜県でもイヴェントに出資する行政は多くて、市の職員さんが仕切ってる音楽イヴェントもあるんです。出資に関してはいろいろハードルもあると思うのですが、どうにか辿り着けたらと思っていて。そのためにどうするか、いろいろ方法を考えてます。それも楽しんで考えているので、全然苦ではないですね。面白いですよ。
――実際OOPARTSを行うことで、「考えていたのと違った、こんなはずじゃなかった」と思うことはありますか?
それもめちゃくちゃありますねー……。まずブッキングがうまくいかなすぎる(笑)。まずは「岐阜でこのバンド観られたらやばいでしょ!」と思うヘッドライナー的なバンドに声を掛けて、あとは僕らが観たい、そのなかでも、岐阜に来たことがない人に声を掛けるんですけど。やっぱりオファーする時期はOOPARTS当日よりもだいぶ前なので、バンドも予定を決めづらくて、なかなか決まらないんです。あと、普段顔を突き合わせない人と何かをやるときは意志疎通を取るのに時間がかかるんで、やっぱり団体で何かひとつのことをやるのは大変ですよね。それが面白いところでもあるんですけど、スケジュールどおりにいかない理由でもあると思います。
――お客さんからのOOPARTSについてのご意見も、いろいろあるようですね。
初年度に「物販スペースが暗い」という意見をもらったので、2014年は照明を増やしたりもして。でもどうしたって欠陥はあるし、完璧なことはないと思うし。それは仕方のないことですよね。昔だったらつらくて逃げてるだろうけど(笑)、いまはだいぶ大人になったので受け入れられてるので、「じゃあどうしようか?」と考えることができるようになってます。
――つらいことが多くても、課題をひとつひとつクリアして、ステップアップしていくと、やりがいを感じますし、もっとがんばろう!と思えますよね。
やっぱりOOPARTSは最終的にはちゃんとビジネスにできるとも思ってるし……そしてなにより、ステージから見る景色がいいんですよね。めちゃくちゃ気持ちいいんです。岐阜の人たちも岐阜以外の人たちも、ここにいる人たち全員を岐阜に集めたぞ!という気持ちになれるんで(笑)。あれは快感ですね。2014年に出演してくれた東京カランコロンも「いや~、すっごくいいイヴェントだね!」と言ってくれて。やっぱりそういう言葉をもらうと「がんばろう!」と思えますよね。でもOOPARTSはやりがいや、やるべきことがありすぎて、年明けまではそのことを考えたくないくらいで(笑)。(※インタヴューは2014年12月下旬)
――(笑)。そんななかインタヴュー受けてくださって本当にありがとうございます。
やっぱりOOPARTSは、それだけのエネルギーを使う価値のあることだとは思っています。
――でもがんばりすぎちゃうと他のことができなくなってしまったりもするので。
そうなんですよ……。2014年はライヴのサポートをやったり、cinema staff以外の活動もたくさんあったので。自分で動くのもこれくらいが限界かなー……と思います。人に頼むことを上手にやることも課題のひとつですね。勿論やれることはこれからもやっていきますけど、バランスを考えてやっていきたいです。