フリーペーパーとウェブマガジン、ふたつの自主制作メディアが考える「いま発信したい」こと
フリーペーパーとウェブマガジン
ふたつの自主制作メディアが考える「いま発信したい」こと
取材・文：沖 さやこ
インターネットの影響で誰しもが発信者となって久しい今日この頃。様々な音楽系サイトも増えてきました。自分の時間やお金を割いてでもそれを続けたいと思う理由とはなんなのでしょう。今回ワンタンマガジン新春企画として、ワンタンマガジンの発案者であるフリーランスライターの沖 さやこと、2014年夏から隔月発行されているフリーペーパーFACE編集長の四関愛里奈さんとの対談を行いました。プロのライターとして活動してきた人間が生んだウェブマガジンと、雑誌と音楽が好きな音楽愛好家が始めたフリーペーパー。互いのメディアがいま発信したいこととは？
◆「あまり知られていない素晴らしいバンドを
もっと広められたら」と少しずつ思い始めた
沖 まず、四関さんがFACEを立ち上げた経緯とは？
四関 前の仕事を辞めたあと、雑誌編集の勉強がしたいと思って週1回半年間の社会人用のスクールに行きました。卒業制作のフリーペーパーで「好きな人にインタヴューをしていいよ」と言われて、よく通っていたO-Crestの店長の室さんにインタヴューをさせていただいて。その室さんのお話とフリーペーパーを作る行程がすごく楽しくて、あまり知られていないけどすごくいいバンドさんをもっと広められる何かができたらいいな……と少しずつ思い始めました。学校を卒業するタイミングで先生から「自分でフリーペーパーを作ってみたら？」と提案してもらったことがきっかけで「やってみようかな、面白そうだな」と思って。Crestに出ているバンドさんが好きだったので、室さんに企画書を持っていって「一緒にやらせてほしい」とお願いしたところが始まりでした。それが2014年に入ってすぐで。
FACE Vol.1 （2014年7月発行）
沖 そして2014年7月25日に創刊号を発行するんですね。O-Crestに通っていたのは前職の頃から？
四関 そうです。もともとはそんなに音楽に興味があったわけではなかったので、実は音楽雑誌もほとんど読んでいなくて。ファッション誌が好きだったんです。でも専門学校に通っている頃に別学科の友達がヤマハのMusic Revolutionの東京ファイナルに残ったので観に行って、そこに出ていたGOOD ON THE REELとLyri & Songにヤラれてしまって。それからその2組のライヴを観に行くようになって、その流れでO-Crestにも通うようになりました。
沖 室さんとはインタヴュー前から面識もあったんですか？
四関 全然！ わたしはただのお客さんだからという意識が強くて、バンドさんにもライヴハウスのスタッフさんにも話しかけられなくて。でも室さんの存在は知っていたので、スクールの卒業制作のインタヴューのタイミングで初めてお話をして。
沖 ああ、すごくわかります。わたしはものすごい人見知りだし、自分にとってアーティストさんは自分の心を救ってくれる神様みたいな存在だったので、自分なんかがアーティストさんと話すなんてとんでもない！と思っていて。だからいま自分が仕事でアーティストさんとお話をしたり、ワンタンマガジンで取材のオファーをしているのは不思議で。それもこれも「いい記事を揃えたい」という動機だけなんですよね。その気持ちが自分を突き動かしているなと思います。
四関 本当に！ わたしも「全部FACEのためだ」「いましかない！ 行け！」と追い込まれてる感じあります。お洋服もなんでも欲しいものは手に入れないと気が済まないタイプなので（笑）。いいものにしたいがゆえに、最近はチャンスがあれば声を掛けるようにしているし、だめもとでもオファーするようにしてますね。
>> もっとちゃんとバンドさんの魅力を伝えるためにどうするべきかを考える
