フリーペーパーとウェブマガジン、ふたつの自主制作メディアが考える「いま発信したい」こと

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◆すでに知っている情報しか載っていない媒体が多い

 FACEのメインコンテンツはインタヴューですか?

四関 一応そうですね。最近は特集ばっかりなんですけど……。

 企画立案からオファー、日時決め、取材と撮影をしたあとにインタヴュー起こしをして原稿と写真チェックをしていただいて、記事ページを作ってそれを確認していただいて、うちはウェブなので公開日時を決めて……とやっていくと、インタヴュー取材は行程が多いですよね。

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四関編集長の七つ道具

四関 本当に(笑)。わたしは自分の感情を文章にするのが苦手なんですよ。だから自分がどう感じたかを伝えるよりは「アーティストさんの言葉を伝えたい」という気持ちが強いんですよね。そういう意味でインタヴューに力を入れたいなと思っています。

 スクールでインタヴューの仕方を習ったりは?

四関 紙は決められた範囲しか載せられないので、スクールでは「どこの部分を使って、どこを削るか」というまとめる能力は鍛えられたんですけど、インタヴューの仕方はほぼほぼ習ってないんですよ(笑)。人がインタヴューをしているところを見たこともないので独学というか……。どんなものがインタヴューなのかがはっきりわからないから、楽しくラフに話すなかで出てくる言葉が、その人の素にいちばん近い言葉なんじゃないかな……と思っていて。そういうインタヴューが自分らしさなのかなって。

 なるほど。FACEを始めてから音楽メディアを読んで研究する、ということはありましたか?

四関 一応フリーペーパーから大手商業誌まで読んではみたんですけど、読んだからってどうなるわけでもなくて。寧ろそこに影響されて寄ってしまっても仕方がないし意味がないなと思っちゃって。ほぼ読まないです。

 それは「同じようなものになってしまったら嫌だ」というのもあるかもしれないけれど、もしかしたら「それほど魅力を感じるメディアがない」のも理由のひとつだったりしますか?

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「インタヴューはまずノートや紙に手で書き起こし、そこからPCに打ち込む」という四関編集長。その理由は「文字を書きたいから」

四関 ああ、どうなんだろうなあ(笑)。確かに最近はTwitterとかウェブとか、アーティスト自身が発信できる場所も多いじゃないですか。だからフリーペーパーを読んでも知ってる情報が載ってたり、ブログに書いてあることを言っているだけのものも多いし。だから読まない……というのもあるかな。

 それは結局、メディア人が「アーティスト自ら発信することだけしか引き出せていない」ということだと思うんですよね。わたしはアーティスト自身が気付いていないことを引き出すこと、自分なりに楽曲の魅力を切り出すことがメディア人の使命だとも思っています。わたしはライターだから「原稿のなかでどうそれを提示しよう?」と考えるので、インタヴューもアーティストの空気感に身を委ねつつ、自分の本音を投げるんです。そのキャッチボールのなかで生まれる言葉は絶対あるなと。でも球をどれだけ投げても返してくれない人もいて。そういう人はメディアというものに一切の期待していない、もう諦めているんです。それはちゃんと仕事を全うしているメディア人が少ないのも理由のひとつだとも思うんですよ。アーティストにわざわざ家から出てもらって、1時間から2時間対面で話すわけだから、実のある時間にするのは最低限の礼儀だと思うんですよね。その時間でもしかしたら1曲作れるかもしれない。

四関 うんうん、そのトータルの時間で歌詞も2行くらいは書けるかもしれない。

 貴重な時間を頂いているから、アーティストの刺激になったらいいなと思って。読者さんにも記事を読む時間や労力を頂いてるので、「本当にがんばらなきゃ! もっと腕を上げなきゃ!」って、いつも考えてます。

>> 尖ってるライヴにもあたたかさはある、その空気を伝えていきたい

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