フリーペーパーとウェブマガジン、ふたつの自主制作メディアが考える「いま発信したい」こと

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◆尖ってるライヴにもあたたかさはある、その空気を伝えていきたい

 わたしが以前若い子に対して「リスナーを代表して話を訊きに行ってると思っている」と話したら、その子から「いまはTwitterがあるからライターがいなくてもリスナーの気持ちは簡単に伝えられる」と言われたことがあって、それは結構衝撃的な意見でした。

四関 Twitterは簡単にアーティストとつながれるのかもしれないけれど……アーティストはアーティストで、ファンはファンだとも思うんです。そこの線引きはちゃんとつけるべきだと思うし。

アイコン アーティストとファンの間にいたのがメディア人だったけれど、ネットの影響でそこが壊れている。おまけに「雑誌のレヴューよりもAmazonのカスタマーレヴューのほうが的確」と言われたり「音楽雑誌はどいつもこいつも褒めてばっかり」と言われたりもしていて、メディアはリスナーからの信頼を失ってきているとも思うんです。わたしは全然無名だけど、そこは取り戻したいと思っているんですよね。基本的には自分の訊きたいことを訊くんだけど、ファンの子だったらここ気になるだろうなと思うことは訊くようにしていて。でも、基本的にわたしの場合は自分の感情を伝えたいだけでもあって。「ここがいいんだよ、ここがこうで、このときのこれがすごくこんな感じだったんだよ!」「ちょっとこの感じはどうかと思うわ」みたいに、読者さんともアーティストさんとも話したいというか。だからインタヴューもアーティストさんのその場の空気に合わせつつ「自分はこう感じたんですけど」という切り出しから話を進めるパターンです。

四関 わたしはあんまり「自分はこう思った」とかが書けないんですよ。だからライヴレポートとかを書くのは苦手で。でもそれでも大事にしているのは、その場所に来ていない人もその空間を感じられるような描写がしたいということなんですよね。わたしはライヴレポートが物語みたいだと言われたことがあって。それがいいのか悪いのかはわからないけれど……好きなバンドもGOODみたいな物語のような世界観を持っているバンドさんなので、そういう感じになっちゃうのかもしれない。優しい感じやあたたかみを伝えられたらいいなと思っているんです。やっぱりどんなに尖ってるライヴでもあたたかさはすごく感じられるものだと思っていて、その場の空気を伝えられるものにはしたいんです。

 四関さんのレポートはすごくやわらかいし、人柄が出てるなと思います。……でも本当に四関さんみたいに紙でやっている人は尊敬します。わたしも紙育ちだから紙願望はあるけれど、イラレも使えないし資金もないので。

四関 でもリアルタイムで掲載できるのはウェブの良さだと思います。FACEは隔月発行なので遅れすぎちゃうところもあるのかなー……って。やりたいライヴレポートも、掲載が2ヶ月先になることもあったりするし。

 紙には紙の、ウェブにはウェブの良さがあるから、お互いそこと上手に付き合うのも課題ですね。これからFACEはどういうふうに進んでいくおつもりですか?

FACE_logo_small四関 いままで12ページでやっていて、アーティストさんも載せられて3バンドだからもうちょっとページを増やしたいなと思っています。1冊をちゃんと読んでほしいという気持ちがあるので何十ページみたいなボリュームにしたいとは思ってなくて。ちょっとの移動でも全部読みきれるくらいにしたいんです。だけどもうちょっと充実させたい。

 充実というと?

四関 まだまだCrestに偏っている部分もあるし、でもここをなくしたくもないし。もうちょっと新しい部分を開拓できたら……と思うし。まだ何ができるかわからないですけど、このままだとどこにでもあるフリーペーパーのままかなとも感じているし。ざっくりですけど、もっと面白いことがしたい。カメラマンさんのつながりも増えてきたし、カメラマンさんも紙媒体に載る機会があまりなくて紙に自分の写真を載せられることを喜んでくれる人も多くて。

 ああ、紙に載るのがうれしいのはカメラマンさんもライターも一緒なんだなあ。わたしも自分の文章が紙になるのは本当にうれしいし、それを手元に持てると感動する。

四関 もともとわたしがファッション誌が好きなのもあって、最近のバンドさんはおしゃれだから、そういうところを見たい人も結構いるのかなと思ったりもしていて。もっと面白いコンテンツを増やせたらなと思っています。でもひとりで作っているので、発行することが最優先ですけど(笑)。滞ったら意味がないし……。

 でもクオリティを落としたら本末転倒ですしね。

四関 本当に(笑)。慎重に真剣に作っていきたいなと思います。

 

◆FACE information
face_vol9
隔月25日発行
配布場所:SHIBUYA TSUTAYA/TOWER RECORDS 渋谷店/TSUTAYA O-Crest/稲毛K’s Dream/ORPHEUS RECORDS全店
Twitter:@FACE_shiseki
最新号FACE Vol.9好評配布中! 次号Vol.10は1月25日発行予定。
詳細→http://face-info.tumblr.com/

 

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