人情の街・亀有に音楽を――朝倉 駿×大泉スバル「葛飾スクランブル2017」開催記念対談
◆初回は「自分たちと同世代のバンドとやってみたい、それでどこまでいけるんだろう?」という気持ちが強かった
――朝倉さんも大泉さんも、アイディア力だけでなくそれを実行に移す行動力がものすごいなあと感心しています。
大泉 頭悪いだけですよ(笑)。
朝倉 計算できないんだよね(笑)。
大泉 普通10000枚CD配ろうと思わないよね。聴かない人がほとんどだと思うもん。
朝倉 そう思う。配る場所のターゲットを絞っていたのもあってお客さんからも「うわ、またいるよ」って感じになってたし。でもそれを無理やり渡すんです(笑)。だから人によっては同じものを何枚も持っていて、「わたしこんなに持ってるのにまだ聴いてない!」という罪悪感に駆られて聴くんじゃないかと(笑)。
――あはははは、物理的で間接的な精神的圧力!(笑) kisekiが期間限定で10月5日にリリースする新譜を無料ダウンロードしたのもそうですが、それだけ強く「まずは聴いてほしい」「まずはライヴに来てもらいたい」ということですね。
大泉 それはTHE SNEEZE時代から変わらないところですね。ほかのバンドは結構縮こまって配るけど、俺らは通り道の真ん中に立って「お願いします!」って配ってた(笑)。勝手にカバンのなかに入れたりしてたし。
朝倉 素通りする人に「駅前まで一緒にフライヤー読んであげる! THE SNEEZE! 東京都葛飾区出身の――あ、すみませんでした」と読み聞かせたり、「家帰ったら捨てて」と無理やり渡したり(笑)。
大泉 「大丈夫!」って言うと大体もらってくれる(笑)。
朝倉 そうそう! 「大丈夫! 大丈夫だから!」って言いながら渡して――みんな励まされたいんでしょうね(笑)。
大泉 ちげーよ、めんどくせえからもらってんだよ(笑)。
――(笑)。「葛飾スクランブル」もその行動力の賜物だと思います。亀有で500人キャパという状況は集客面ではシビアな部分も多いかと。
朝倉 キャパが大きいので有名どころのバンドを集めて開催すれば話は早いですけど、初回は「自分たちと同世代のバンドとやってみたい、それでどこまでいけるんだろう?」という気持ちが強くて。必然的にkisekiの活動で出会ったバンドや、いままでやってきたことをちゃんと汲んでくれるバンドが集まりました。ひとつひとつのバンドに濃い縁がありますね。例えばポタリは対バンをしたことがないんですけど、kisekiになってから連絡を取るようになって、このタイミングで初対バンをお願いして。かっこいいライヴをするバンドばかりだし、バラエティに富んだラインナップになりましたね。で、「第1回目ならスバル必要だろ!」と思って、プレイボールズを辞めるという連絡をもらって即誘いました。
――大泉さんは「葛飾スクランブル」のトップバッター。弾き語りでの出演です。
大泉 葛飾区で行われるイヴェントだし、前のバンドのメンバーが主催するイヴェントなので「ここから始めよう」という意味も込めて、ひとりで弾き語りでいちからスタートします。自分もプレイボールズのボールボーイとして月20本のライヴをやって、大きなステージをいろいろ経験できたし、アイドル運営の人は面白いことをしようとする人が多かったからすごく勉強になったし。解散してからの1年はただ楽器を持っていなかっただけで、休んでいた感覚はないんです。
――大泉さんのセットリストはどうなりそうでしょう?
大泉 全部新曲ですね。いま作っている最中です。
朝倉 この前新曲のサビを1フレーズ聴かせてもらったんですけど、それだけでコードとキーも一発で覚えました。「なるほど。やっぱりいいね」と思いましたね。
大泉 ……頑張らないといけませんね。これからは駿ともライバルになるので、曲の面でもイヴェント面でもアドヴァイスはやめておこうと思います(笑)。
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まさかの平日開催となった「葛飾スクランブル2017」。その背景には偶然と運命があった