Bentham【Cry Cry Cry】

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Bentham / Cry Cry Cry【Official Music Video】

本日からしばらく、いろんな方々からおすすめしていただいたMVをMV Watcherの記事にしていきたいと思います。その名も「#紹介されたMV紹介チャレンジ」です。毎日投稿目指してがんばります。

先日「みなさんのおすすめのミュージックビデオ教えていただけませんか?」とつぶやいてまず最初にリプライを下さったのがBenthamのフロントマン・小関竜矢さんでした。オゼさんからおすすめされたMVはBenthamの【Cry Cry Cry】。自薦! それもそのはず、このMVはBenthamにとって初の、ファンの方々をエキストラに招いたMVなのです。冒頭から参加者さん全員のクレジットが映し出されるのは、観ている人間としてもインパクトがあるし、参加なさった方々もとても感動的ですよね。概要欄に「公募エキストラとともに撮影」と記載していないところもスマート。

公募エキストラのみなさんが演じるのは、Benthamを360度で取り囲む「顔のない観衆」。監督の佐藤 敬さんはこのMVについて「俺の勝手な想像だけど一つのバンドが大量の人々に批評されながら音楽で世界と戦っていくってとんでもないことじゃないか? そのとんでもなさが少しでも伝えられたらと。だからあのような異様なライブハウスにしたかったのです。周りの人たちは敵か味方かわからない怖さ不気味さありがたさ」とツイートしていました。

【Cry Cry Cry】は「負け犬賛歌」というキャッチフレーズがついた曲で、Benthamの十八番と言うべき前のめりなキャッチー&エモーショナルナンバー。歌詞にはオゼさんなりの皮肉や弱音、ピュアリティなどがぐちゃぐちゃになっていて、書きなぐるように綴られています。その泣き虫感と強がり感が入り乱れた感じがめちゃくちゃオゼさんっぽい。

MVはオゼさんがライブハウスで顔のない群衆のなかに飛び込んだ瞬間、感情的かつ衝動的にバンドに没頭します。それまでの気怠い様子はワンカットで、楽器を持った瞬間からカットが一気に多くなるという大きな緩急も効果的です。

そして意外だったのは、面をつけた群衆が最後まで面を取らぬまま、微動だにしないままだったということ。ふつうなら最後は面を取って、ライヴに興じるというハッピーエンドに着地させると思うんですよね。でもこのMVはそれをしなかった。これこそこのMVでいちばん重要な部分なのではないでしょうか。

それに対してまず後味の悪さを感じたので、「表現者が抱える不安」を表現してるのかな?と思ったけど、この面をつけた群衆は、静かにしっかりと見守ってくれるようにも見えるし、無言の圧を掛けてくるようにも見えるんですよね。「レスポンスがなくても自分のことを大事に想ってくれてる人もいるし、傍にいても自分に無関心な人もいる」という解釈もできる。

でも総じてこのMVに感じる違和感は「衝動にレスポンスがないこと」。同じ空間にいるとそれは「違和感」として表れるんだけど、アーティストが表現を生み出す瞬間って孤独や個であることがほとんどだろうから、こんな感覚に近いのかもしれない。受け取り手のモードによって捉え方が変わりそうなMVなので、また何年後かに観てみるとまた違う解釈ができて面白いかも。みなさんはどう感じましたか?(沖 さやこ)

 

◆Include Album on Spotify

Bentham – MYNE

◆Artist Information
https://www.bentham-web.com/
https://twitter.com/Bentham_band
https://www.instagram.com/bentham_band/

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