ガストバーナーが『MAGIC』で到達した「4人全員が妥協しない音楽」
◆『MAGIC』は人生のようなアルバムになった
――アルバムのラストの「春来」はソングライティングに立花ロンさん(ex.或る感覚/Burgundy)が関わっていますが、どういう経緯で共作が実現したのでしょうか?
はるきち ロンくんが岐阜に来たタイミングで、りっちゃんとロンくんとロンくんの仲間と僕で飲んだ日があったんです。その流れでロンくんがガストバーナーの東京のライブを観に来てくれて、「俺、メンバーの仲がいいバンドめちゃくちゃ好きなんだよね。曲書きたいわ」と言ってくれて。僕はロンくんの書く曲大好きなので、興味津々でぜひお願いしますと返事をしたら、後日がっつりギター、ベース、ドラム全部打ち込んで、歌詞もしっかり書いてくれたデモが届いたんですよね。それをメンバーで全部解体しまして……。残したのはメロディと1行目の《酩酊イズカミング 薄れていく記憶》という歌詞です。
――そうでしたか。「春来」ははるきちさんとマイケルさん以外の人が作っているわりにガストバーナー色が強いのと、はるきちさんにしては歌詞が地の底から這い上がる系のポジティビティを持っていたので、どういうことなのかなとは思っていたんです。
はるきち やっぱり歌詞って、アレンジやメロディ、曲の持っている雰囲気に呼ばれるところがあるんですよね。紛れもなく僕のなかから出てきた言葉ではあるんだけど、「春来」はコード進行が結構明るかったのと、ロンくんの書いたメロディのカラーが明るい感じの歌詞を呼んでくれたのかな。とはいっても《最低》とか《味のない日常》とか、暗い言葉は多いんですけどね。いちばん社畜で病んでた時期に書いたので。
りっちゃん はるきちさんが病んでる状態から這い上がろうと、無理やり明るくなろうとしてた頃ですね。
――「春来」を書ききった後、はるきちさんは無事退社すると。変な言い方ですが、はるきちさんが追い込まれたのが『Good Luck』を作った後で良かったですね。その前にはるきちさんがこんな状況になっていたら、集められたメンバーも路頭に迷っちゃうだろうなと。
はるきち 間違いなくみんなに愛想つかされて、バンドは解散してますね。それで僕は病んでいることに気付かないまま、ビー玉の目のまま 80ぐらいまでその会社で働いていたと思います。入社した頃は、あんなにハードな仕事だとは思わなかったんですけどね……。ほんと今こうしていられてるのはメンバーのおかげですね。
――『MAGIC』はバンドのさらなる結束と、はるきちさんの波乱の社畜ライフが化学反応を起こした結果生まれた名盤ということで。
はるきち 人生のようなアルバムになりました。みそっかすの頃からずっと、「Knife」みたいなオルタナサウンド全開で、グランジっぽい疾走感があって叫んだりしつつ、サビがキャッチーな曲をやりたくて。「GOODBYE」も一筋縄ではいかない感じなのに、ちゃんとポップでキャッチーな、いろんなものを両立できた曲になって。「Knife」と「GOODBYE」という、僕がずっとやりたかったことがどっちもできたという達成感がありますね。めちゃくちゃいい出来だし、すごくうれしい。ほんと「うれしい」しか出てこないんです。言葉にすると安っぽいですけど、最高傑作だなと思っています。
加納 僕の持論なんですけど、バンドは3枚目のアルバムが勝負だと思うんです。ここでいいものを作るか作らないかで、バンドのその後や寿命が決まると思っていて。だから今回、かなり気合い入れて作りましたね。バンドをやり始めて15年ぐらいになって、いちばんいい作品ができたなと思っています。
りっちゃん 今回はベースから始まる曲が3曲もあって、そのどれもがベースという楽器の概念が覆される音になっているので、めちゃくちゃにやったった感がありますね。過去2枚以上にコーラスも楽しく歌ってるし。
はるきち りっちゃんのコーラスすごくいいよね。「GOODBYE」とかすごく神秘的だし、今回のボーカル録りもりっちゃんにリズム指導してもらって、いいテイクになったなって。
りっちゃん 今回は前回以上にボーカルディレクションもさせてもらってます。あとコーラスは主張せず、いろんなものを隠しながらボーカルとうまく馴染ませるのが役目だと思っているので、それがうまくできたからすごくうれしいんです。メンバー一人ひとりのこだわりがいっぱい詰まってるアルバムですね。
はやお いい大人が4人集まって、こんなふざけてて羨ましいだろう!って思います(笑)。僕も会社員なので平日普通に働いて、週末は感情が赴くままにふざけ倒して……。
りっちゃん 放課後って感じですよね。
はやお 本当にそう! そんな人生の一面が『MAGIC』でも見せられていたらいいなと思います。(了)
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◆Release Information
2nd Mini Album『Good Luck』
2022.6.14 on sale
ドリルおじさんレコーズ
¥2,200.- (tax in) DOR-007
[Track List]
1.Knife
2.アンダーワールド
3.ブラックホール
4.KORECOLE
5.Fake
6.Blue Monday
7.GOODBYE
8.春来
Streaming : https://linkco.re/cYhDUCGF
CD : https://gasandburner.base.shop/items/73832265
◆Tour Information
3rd mini album『MAGIC』Release Tour 2023
2023/7/15(土) @名古屋・新栄CLUB ROCK’N’ROLL
OPEN 18:00 / START 18:30
前売 3,000円 (D代別)
w/アルカラ
2023/8/19(土) @千葉・稲毛 K’s Dream
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 3,000円 (D代別)
w/Giallo, the twenties(+ 1Band)
2023/8/26(土) @京都・二条GROWLY
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 3,000円 (D代別)
w/終活クラブ, ヤジマX (feat.ガストバーナー), 歴史は踊る
2023/8/27(日) @富山 SOUL POWER
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 3,000円 (D代別)
w/終活クラブ, ヤジマX (feat.ガストバーナー), セックスマシーン!!
2023/9/9 (土) @大阪・扇町 PARA-DICE ※SOLDOUT
第一部 OPEN 15:30 / START 16:00
第二部 OPEN 19:30 / START 20:00
前売 2,000円 (D代別)
※30人限定ワンマン
2023/9/23(土) @名古屋・栄 CIRCUS
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 3,000円 (D代別)
w/ QOOPIE, HERE (+ 1Band)
2023/9/24(日) @兵庫・神戸 太陽と虎
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 3,000円 (D代別)
w/ YOWLL, (+ 2Band)
2023/10/14(土) @茨城・水戸 CLUB SONIC
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 3,000円 (D代別)
w/ 鴉(+ 2Band)
2023/10/15(日) @東京・池袋 Adm
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 3,000円 (D代別)
w/ ???
2023/10/20(金) @名古屋・池下 CLUB UPSET
OPEN 19:00 / START 19:30
前売 4,200円 (D代別)
w/ ???(ツーマン)
◆Spotify
TuneCore|ガストバーナー
◆More Information
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