就職希望者に捧ぐ! ライター&編集者の山あり谷ありなリアル ~ONE TONGUE SUMMIT #5

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◆大切なのはコミュ力と質の高い○○

 ここからはワンタンマガジンの読者さんの質問に答えていこうかと。「ちょっと笑えるお仕事の失敗とかありますか?」

ふく 失敗たくさんありますよ~。音楽関係でライトなやつで言うと、aikoさんのライヴに招待していただいたとき、彼女は物凄く人当たりがいいので楽屋挨拶にめちゃくちゃ人が集まるんですけど、いよいよaikoさんが楽屋に入ってきて話を始めて、みんなが聞いている時になぜか手に持っていた紙コップのお茶をバシャリとこぼしちゃいまして、スタッフさんがお茶を拭いてaikoさん自ら注ぎ直して渡してくれました。すんごい恥ずかしかったですねえ。

 aikoさん優しい~!! aikoさんの人柄の良さは噂に聞いてましたが、本当に女神みたいな人ですね……。39度の高熱でインタビューをしたり、中学時代から知っているアーティストを目の前にして緊張がどうしようもない、というピンチはたくさんありますが、失敗らしい失敗は2回ですね。道に迷って大遅刻をかましたことと――これはまったく笑えないんですけど、取材相手を怒らせてしまったことです。それはわたしだけの問題ではなく、本当にびっくりするほどいろんな不運が重なってしまったからなんですけど。そこから得た教訓は大きいです。

otmg5_9ふく 最近はないですけどそれこそ取材に遅刻して焼肉屋の店主にガッツリ叱られたり、記載ミスで刷り直しとはいかないまでも訂正紙を会社の人間数人がかりで数千部挟みこんだりしたこともあります。しかも2度……! 心から凹んだのはこの挟み込み事件です。今でもこの「お詫びと訂正」の挟み込み用紙は戒めとしてPCのモニターに貼っています。

 わたしは編集者さんからチェックされる立場だから助けられてますが、編集者さんはそうはいかないですものね……。責任も全部編集者さんになりますものね。紙資料の文章がちょっとわかりづらくて、わたしが解釈を間違ったまま原稿を書いてしまって、編集者さんがそれに気付かないまま、世に出たことがありました。では続いての質問。「編集やライターの仕事に就くためにやっておくべきことはありますか?」です。

ふく 「雑誌が好き」という気持ちと「他にやりたい仕事が一切ない」というのは自分の中に強くありましたが、自分自身が編集になるために「これをやった」という実感はあまりないんですよね。専門学校でフォトショップやイラストレーターを習っていたおかげで、今の会社に入ったときも基本的なことはできたのでそれは良かったです。ウチは簡単な文字修正やデザイン修正ぐらいは自分たちでやっちゃいますし、下手すりゃイラストも自分たちで描いたりするので(笑)。あと、カメラも今の会社に入る前に出版社でのアルバイトで絞りとシャッタースピードの関係、ISO感度など基本的なことはおぼえたので、それも良かったですね。結構編集自ら写真撮って記事書く機会も多いので。

 確かに編集者さんは万能な方が多いですよね。ライターは書くことしかしないけれど、編集者さんは雑誌を作るというお仕事ですから、雑誌作りに関することならなんでもできるイメージあります。

otmg5_10ふく それと、自分自身そんなに得意ではないので言いにくいんですけど、やはりコミュニケーション能力ですよね。これはどんな仕事でもそうですけど。毎日のように「初めまして」がある業界なので、相手の懐に入っていける人がいいかと。自分の周りで「この人凄いな」と思う編集やライター、カメラマンなどはみんなコミュニケーション能力が高くて人から好かれる人物ばかりです。

 コミュニケーションが苦手な子たちは、まずあいさつをしっかりできるようになることから始めてみるといいかもですね。「お疲れ様です」「おはようございます」「ありがとうございます」、この3つを元気よく目を見て言えるようになれば大抵のことは切り抜けられます(笑)。基本的だけどすごく大事なコミュニケーションだと思います。

ふく グループ魂にも【アイサツはハイセツよりタイセツ】という曲がありますしね。プラスで愛嬌があればなおGoodでしょう。あとは、「質の高いインプットをたくさん経験すること」じゃないでしょうか。アウトプットをする職種の人間はインプットしてなんぼなので、「これは面白そうな経験ができそうだ」と思ったら積極的に飛び込んでみたり、自分の好きな分野はひたすら掘り下げてみたり。僕は漫画と音楽は物心ついた時からすんごい摂取してきました。子どもの頃から友だちの多いタイプではなかったので、周りが勉強や部活、恋愛などに熱中していた時に部屋でイヤフォンで音楽を聴いているようなタイプで(苦笑)。でもその結果、今こういう仕事しているのかなと。「友だちの多い人気者」タイプならそれにこしたことないですよ。

 完璧なアドヴァイス。もうわたしが言えることは何もないです(笑)。もし高校生なら、高校の勉強をしっかりしておけばいいかなと思います。あとは出来る限り読書をして、音楽を聴くことでしょうか。好きな本ばかり読んで、好きな音楽も好きではない音楽も興味を持ってたくさん聴けたら最高です。

 

ONE TONGUE SUMMIT archive
#1 音楽ライター×地方誌編集者のフェス論’15
#2 ストリーミング革命勃発! 音楽の聴き方はどう変わる?
#3 アーティストのTV露出と日本の音楽文化の活性
#4 INTERVIEW OF CHICKEN ~臆病者2人の取材スタイル~

ABOUT AUTHOR
◆沖 さやこ(ライター)
2009年3月に音楽系専門学校卒。音楽ライターのアシスタントを経て、2010年5月からフリーランスライターとして活動を開始。横浜、大阪、伊豆に在住歴があり、現在は神奈川県屈指の城下町と江戸を往来する毎日です。ライターの傍らで実家の飲食店の手伝いもしてます。日本文化とダムと漫画と文学をこよなく愛す。→ワンタンマガジン内記事一覧

◆ふく(福島 大祐、編集)
福岡で情報誌の編集をしているエンタメ好きのアラサー男です。映画ページ担当。街の取材をしたり、いろんな人にインタビューしたり。音楽は「偏見をなくして触れる」がモットー。漫画も愛していて年間100冊以上買って読みます。多分。→ワンタンマガジン内記事一覧

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