横浜発・異ジャンル同世代4バンド、身内ノリを飛び越えた結束――SMDRフロントマン座談会
◆刺激を与えあう存在同士が1年の集大成を見せる場所
「SMDR vol.3」は12月に大阪、1月に町田で開催される
――回を重ねるごとにSMDRに対する意識が変わってきたな、と思う部分はありますか？
知弥 俺はないかなあ（笑）。別に俺は彦みたいに「シーンを盛り上げよう」という気持ちはないし、シーンは勝手に盛り上がってくれればいいかなと思うから、始めたときと気持ちはあまり変わらないですね。でも恒例行事になってきてるのはいい傾向かなと思います。SMDRは終えたあとすぐに1年後のSMDRの予定を決めていて。1年後の予定を決めたら、基本的にはそれまで活動を辞められないじゃないですか。だからSMDRを終えて次の日程を決めるときは「ここから1年は辞めません」という契約を結んでいる感じ（笑）。
秀星 それはある（笑）。
知弥 日程は1年前に決めるけど、どのバンドもSMDRを中心に活動しているわけではないから、実際に動き出すのは3ヶ月前とかだよね（笑）。この4バンドは個々で対バンをすることもあるけれど、4バンド全部が揃うのは年に1回、SMDRだけ。そういう距離感がいいんだと思います。感覚としては“同窓会”ですね。
秀星 俺も同窓会みたいな感じかな。あるからやる、でも本気。この4バンドが集まるからSMDRがあるんじゃなくて、SMDRがあるからこの4バンドが集まるっていうか。
SMDRvol.1～3の会場である町田Nutty’s前にて
彦 SMDRは所属するものではないからね。SMDR以外でこいつらと対バンしたときの印象や変化は持ち帰るようにしてるんです。たとえばROARでいまドラムを叩いているサポートメンバーがすごくいい感じだなと思ったり、saitaが音楽性をガラッと変えてきてるのを見たりして、「あいつらすげえ良くなってるぜ、俺らもやんねえとやばい」と刺激をもらう。それで「あいつら全員SMDRでぶっ飛ばさねえと」と思うというか。お互いナメられなくないところはあると思う。
知弥 確かに、1年の集大成を見せる場ではあるかな。音楽に向かい合う姿勢とか、音楽そのもの以外にもお互いが刺激を与えあう存在でもあるし。
彦 普段はゆるい感じなんですけど、ライヴになるとみんな「負けねえ！」って感じでいいライヴするんですよね。バンド単体で地方に行くときも、ハコ（ライヴハウス）の人にSMDRのオムニバスを渡して「今度はこいつらとも一緒に来たいです」と話したりするし、「あ、今日DETOX大阪でライヴだわ」と思ったりするし。ほかにも仲のいいバンドはいるけど、この4バンドは特にいま何をしているかを把握してるかな。
秀星 うん。SMDRのバンドが何してるのかは結構いつも気にしちゃう。
――この4バンドは仲がいいけれど、馴れ合いではなさそうですね。各々でSMDRの解釈も違うようですし。
知弥 SMDRがどういうものか説明しろと言われると結構難しいんですよね。中学生や高校生の「我ら最強卍チーム！」とか思ってるグループLINEみたいな感じ（笑）。そいつらで放課後集まるような、そういう空気感をいまもずるずる持ち続けてる。
彦 バンドマンは比較的そういうのを忘れてない人が多いよね。SMDRはそれをだらだらやるんじゃなくてイヴェントに持ち込んだ。よく友達のバンドマンから「俺らもSMDRに入れてくれよ」と言われたりするんですけど、「俺ら以外の仲間がお前らにもいるんだから、お前らでやってよ」と思うんですよ。それ、超見たいじゃん。
金木 そうだね。
彦 今回12月19日にSMDRで大阪に行く（※「SMDR vol.3 大阪冬の陣」。梅田Zeelaにて開催）のもそういう気持ちからなんです。4バンドだと1バンドで行くよりインパクトがあるし、4バンドで行くから4バンドで迎え撃ってほしい。地方にもそういう仲間が欲しいというか、いろんな地域のバンドがこういうことをやってほしいんですよね。バンドが地元を盛り上げるってそういうことじゃないかな、と思う。
秀星 ノリで始めた企画なんですけど、始めてからさらに3バンドの活動が精力的になってきていて刺激を受ける部分もあるし、外野が「いいね」と言ってくれることで「SMDRに関してそう思うやつがいるんだな」と思ったりして、どんどん意味が足されているなと思います。音楽のジャンルがばらばらの、地元が近い同世代4バンドが一緒にやるというのも、ひとつの意味になってるのかな……と最近考え始めました。どんどん重みが増している、それが面白いですね。
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閉店してもなお、彼らから消えないclub Lizardの空気感
町田という街はいまの彼らにとって新しいホーム？ それとも？
