リリックは懺悔箱――DETOX・知弥が綴る「主人公ではない人間」の心の叫び

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◆「一人でいるときの“独り”」があったほうが、いい作品は書ける

――『ネグニン』の注目点のひとつは、DETOXの代表曲である【世紀末の詩】の再録だと思います。

本質的には俺もハジも暗い人間だと思うんですけど、この曲はもろ「太陽」みたいなのをイメージして書いたので、この曲を入れるとなると自然とあったかいアルバムになっちゃうというか(笑)。ストーリー的にやわらかい1枚になったっすね。

――当時の知弥さんは、なぜ太陽みたいな曲を書こうと思ったんですか?

高校の特別授業で、クラスみんなで視聴覚室に集まって『世紀末の詩』っていうドラマを観たんですよ(※1998年に放送されたTVドラマ。野島伸司脚本。各話の主人公たちは悲劇的な愛の結末を迎える)。映像超古いし、世界観とかもすげえ好みで。1話1話で、いろんな人や家庭の「愛とは」みたいな物語が展開していって。「俺的な“愛”ってこんな感じかな?」「ラヴソングはこの世にめっちゃあるけど、“ラヴ”って何?」――その「ラヴ」を死んだ母ちゃん、友達、当時の恋人それぞれで思い描いた曲というか。で、ドラマの最後に決め台詞が入るんですけど、その冒頭が必ず「ハローベイビー」で。


DETOX – ネグニン ティザー

――だから【世紀末の詩】の前に【ハローベイビー】という曲が入っていると。

そうっす。まさか高校の特別授業が俺に影響を及ぼすとは(笑)。俺、劇団四季好きなんですけど、それも中学の芸術鑑賞会がきっかけなんですよ。ひとりで行くのもなんか違うなと思うんで、彼女が出来たタイミングで「まじで超いいから!」って彼女を誘って一緒に観に行ってます(笑)。

――(笑)。知弥さんひねくれてるけど、ピュアですもんね。

意外と(笑)。だから物語でもなんでもハッピーエンドが好きなんですけど、それ以上に頭で思い描いているものを裏切ってほしい願望があるんですよ。すると自然と好きなものがバッドエンドのものになるんですよね。どんよりとした曲を書く理由はそういうとこかな。

――実際『ネグニン』は【バッドエンドさ、路地の裏】というタイトルの曲で幕を開けますし。

よくWE ARE FROM YOU(WAFY)のARATAとかMade in Me.の彦とかと「一人でいるときの“独り”があったほうが、いい作品は書けるよね」と話すんですけど、たしかになと思います。俺がふだん曲に書いてるのはそういう部分ですね。素っ裸になるという意味ではいいのかなと。へんな話、リリック上なら誰にも言えなかったあの話、隠していたあの話、どんなこともぶっちゃけられちゃう。

detox_2002_2

DETOX 知弥(Vo)

――たしかに知弥さんの書くリリックは、独りの時の知弥さんの見た景色や心情がスクラップされているような印象を受けます。

削ぎ落していくほうがいいヴォーカリストになれると思うんです。オンとオフがない、ラフな感じでステージに立てるアーティスト。要は嘘がないってこと。難しいものを難しく考えさせることは超簡単だと思うんですよ。意味を知ろうとする時点で頭で考えちゃう。でもふだん俺らが普通に会話で使ってる言葉や風景で「ああ、なるほどな」と思わせるのが俺なりのプロフェッショナル、みたいなところなんですよね。

――その美学でもって、ラフな部分を表現に落とし込んでいく、と。

リリックは懺悔箱なんですよ(笑)。「俺みたいになるな」というわけではないんですけど、「そういうことしてるとこうなっちゃうよ?」って感じ。みんな気付いているけどわかってないことが多いと思うんです。でもわかるタイミングって、けっきょく本人が失敗したり後悔したりして傷ついた時なんじゃないかなと思っていて。聴いてくれた人が実際にそういう目に遭って、リリックの意味がわかったときに「だべ?」っつって、一緒に酒飲みたいっすね(笑)。

>> 次頁:知弥の懺悔箱に溢れる「生きる」というテーマ。その奥にあるもの

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